今年いちばん読まれた「チェッカー時給の話」で来年を思う

 2023年もいよいよお終いというところで、noteのダッシュボードを開けてみた。「ビュー(読まれた数)」も「スキ」もダントツだったのがこの投稿である。
 ある翻訳会社が開催する翻訳グランプリ(実態は大規模なトライアル)で優勝すると、1年間で200万円の仕事がもらえる。レートは、翻訳8~10円/ワード、チェック1300円/時、MTPE1900円/時。詳しくは ↓ のリンクを見てほしいが、優勝者はこの「賞」を獲得したということになる。

 AI、とくにChatGPTの登場、発展に伴い、翻訳という仕事の二極化がすさまじい勢いで進んでいる。チェックの仕事は「最低時給を下回る」と嘆くSNS投稿も増えてきた。
 二年くらい前までわたしは、チェック時給がそんなに低いはずはないと思っていた。SNSには書かなくても、実際はちゃんと「生活できる」額のレート、時給で受けている人が多いはずだと。
 だが、ここの「グランプリ」という名の募集広告において、トライアル優勝者のチェック時給1300円という数字を見た瞬間、息が止まった。翻訳チェックというのは、応募者から選ばれた上手い人であっても、1300円の価値しかない仕事になってしまったと眼前に突きつけられたのである。
 ここで話を校正に転じるが、どんどん料金が下がっているのは校正も同様だ。念のために書いておくが、フリーランスは自営業者である。会社員なら得られる手当や有休はとうぜん存在しない。それだけではなく、各種社会保険が全額自己負担。この負担額が会社員とは比べ物にならないほど大きい。かつ、PCなどの備品もすべて自前でそろえなければならない。
 それを踏まえて「自営業者が得る価格」を考えると、会社員、いや非正規労働者の「最低時給」では、到底生計は成り立たないのである。
 さて、ある校正スクールでは、フリーランスの校正者の時給は1500円(以上)と謳っている(↓ の記事を参照)。

 スタートが1500円でも、そこから上がっていけばよいという向きもあるだろう。だが、おそらくそんなことはない。10年やっても同じなのだ。この時給から各種保険を支払い、備品を購入していくのがフリーランスである。
 しかもインボイス制度に代表されるように、フリーランスを取り巻く状況は悪くなる一方である。じっさい今年は、フリーランスを廃業して、就職したり派遣社員になったりするという投稿を多く見かけた。
 ここで自分のことを考える。今年仕事を休んだ日は数日しかないが、生活はかつかつで「余裕ある暮らし」にはほど遠い。会社員の「大黒柱」が家族にいないフリーランスの人は、大体同じ状況だと思う。
 では今後どうするか。来年の話をすると、自分の場合は外勤の道を探すことはない。混んだ電車と夏の暑さが「異様に」苦手で、その傾向が年々強まっていくので、自宅以外で働くという選択肢がないのである。収入が減れば、得意先を開拓していくしかない。
 というわけで、来年も健康にお金と時間を使ってやっていく所存である。読んでくださった方、ありがとうございます(あ、明日も何か書きますが、今日でSNS納めという方も多いと思いますので……)。

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