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中国平安保険のOMO医療プラットフォーム「平安好医生」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げるのは、14回目でも取り上げた中国平安保険です。

中国平安保険は、2020年8月13日、「Technology Empowers Ping An’s Health Care Amid Coronavirus(テクノロジーは新型コロナウイルス感染拡大のなかで中国平安保険のヘルスケアを強化する)」とプレスリリースしました。

プレスリリースによると、MITスローンスクールのIDE(MIT Initiative on the Digital Economy)が7月にオンライン開催した「MITプラットフォーム・ストラテジー・サミット2020」で、中国平安保険のジェシカ・タン共同CEOが、「新型コロナウイルス感染拡大の中でテクノロジーがヘルスケアサービスをどのように進歩させたか」をテーマとするディスカッションにのぞみ、中国平安保険の医療エコシステムについて紹介したとしています。(動画参照)

中国平安保険は「ファイナンス+エコシステム」戦略のもと、「ファイナンス」「ヘルスケア」「自動車販売」「不動産」「スマートシティ」という5つのエコシステムを構築しています。その中で、タン共同CEOが強調したサービスの一つが、アプリ「平安好医生(Ping An Good Doctor)」を入口とするヘルスケアのエコシステムでした。

中国平安保険の子会社で香港市場に上場する「Ping An Healthcare and Technology Company Limited」は、アプリ「平安好医生」を通して、患者/ユーザーに対して、24時間年中無休のオンラインコンサルティング、処方箋、医療機関の紹介、予約、セカンドオピニオン、ドラッグデリバリーなどのend-to-endのOMO(Online Merges Offline)プラットフォームを提供しています。

「平安好医生」はAIなどテクノロジーをベースに中国最大のOMO医療プラットフォームにまで成長し、「Ping An Healthcare and Technology Company Limited」の2019年アニュアルレポートによると売上高、登録ユーザー数やMAUは順調に増加、また株価も堅調に推移・上昇しています。その一方で、税引前損益での巨額赤字は解消されておらず、営業キャッシュフローもマイナスとなっています。報道によると、今年5月には経営陣が総入替されました。

「平安好医生」はコロナ禍もありMAU・トラフィックを伸ばしていますが、それを今後いかに利益に結び付けていくかが課題です。

田中道昭

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