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アントグループのブロックチェーン「AntChain」ベースの貿易サービスプラットフォーム「Trusple」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、アリババ傘下で現在香港と上海でIPOを予定しているアントグループについてです。第35回ではアントグループは決済、フィンテック、およびブロックチェーン・サービス「AntChain」他という3事業部門から成り立っていることをシェアしましたが、今回その3つ目の「AntChain」(2020年7月23日付けプレスリリース参照)を取り上げます。

アントグループは、2020年9月25日付けプレスリリースで、「Ant Group launches “Trusple,” an AntChain-powered global trade and financial services platform for SMEs and financial institutions(アントグループは中小企業や金融機関向けに「AntChain」ベースの貿易サービスプラットフォーム「Trusple」をローンチ)」と発表しました。

プレスリリースによれば、これまでの貿易には取引コストが高い、料金回収までの時間が長い、透明性や信頼の欠如など課題があったが、「AntChain」ベースの「Trusple」プラットフォームが生成するスマートコントラクトが機能することで、買い手と売り手による取引注文、ロジスティクス、税金還付など、また銀行による決済や注文追跡などが自動化、課題が解決され、より効率的かつ安全な貿易が実現するとしています(図参照)。サービス名の「Trusple」は「Trust Made Simple」コンセプトからきているとのことです。

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現在「AntChain」の売上高の全売上高に占める割合は1%以下に過ぎませんが、「AntChain」は既に中国で最大のブロックチェーンプラットフォームに成長し、一日当たり10億のユーザーアカウントと10億のトランザクションを処理する機能を備えていると言います。「AntChain」は貿易の「Trusple」だけではなく、医療、金融、物流、慈善活動など多様な取引のベースになっています。 

アントグループは「金融サービスを提供するテクノロジー企業」。その基盤インフラ「AntChain」のコンピューティングは、アントグループの決済「Alipay」やフィンテック(小口融資、投資、保険)はもちろん、消費者、事業者、金融関連機関など第三者をも囲い込んでいます。

田中道昭

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