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アントグループが上場に向け”暫定”目論見書を提出、売上構造が明らかに

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

16回目の『戦略をアップデートする』でテーマにしたアリババ傘下のアントグループのIPOですが、その”暫定”目論見書が開示されました。今日の『戦略をアップデートする』は、その開示情報からわかるアントグループの売上構造を取り上げます。

アントグループが上場する予定の市場の一つ、香港証券取引所は、2020年8月25日、新規上場申請に関するニュースサイトで、アントグループが提出した「Ant Group Co., Ltd.  Application Proof (1st submission) (暫定目論見書)」を開示しました。

暫定目論見書では、公開株式数や公募に関する詳細はまだ明らかにはされていませんが、これまで開示されていなかった株主やグループ会社構成などアントグループの様々な情報が公表されています。ここでシェアしたいのが、アントグループの売上構造です。

暫定目論見書によると、アントグループの売上高は、①決済関連の「デジタル・ペイメントおよびマーチャント・サービス」、②フィンテックの「デジタル・ファイナンス・テクノロジー・プラットフォーム」、③ブロックチェーン・サービス「AntChain」などの「イノベーション・イニシアティブ」の3部門から成り立っています。

そして、順調な伸びを示し2019年度売上高の56%以上を占める「デジタル・ファイナンス・テクノロジー・プラットフォーム」は、消費者金融や中小・零細企業向け小口融資の「クレジットテック」、投資や資産運用の「インベストメントテック」、保険商品の「インシュアテック」という3つのフィンテック・プラットフォームからの売上高の合計となっています。(グラフ参照、日本円換算)

グラフ_note

さらに、モバイル決済「アリペイ」のMAUが7億人以上、「アリペイ」に対応するオンライン決済が可能な国・地域は200以上、提携する金融関連機関が2000以上との情報も公表されています。

アントグループは、テクノロジーをベースに、オープンに、消費者、事業者、金融関連機関などを囲い込むことによって、決済システム、信用システム、リスクマネジメントなどを含む総合金融サービスのプラットフォームの会社であることがわかります。(図も参照)

図_note

田中道昭

留意事項: 本note記事のグラフや図、内容は香港証券取引所が2020年8月25日に開示した「Ant Group Co., Ltd.  Application Proof (1st submission) 」に基づいて作成・記述したものであり、開示内容の正確性と安全性を保証するものではありません。また、本note記事は、冒頭に書いた通り情報のシェアを目的とするもので、いかなる売買や契約の締結/解約を勧誘するものではありません。

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