人を惹きつけるのは

魅力のある人になりたくて

魅力のある人間でありたいと思うことがあります。どんな人が魅力のある人なのかと調べていたことがあるんです。笑顔が素敵な人、自分に自信がある人、謙虚さを持ち合わせている人、人との距離感が分かっている人、愚痴を言わない人、聞き上手な人、前向きにさせてくれる人。他にも色々と調べてみれば、まだまだ出て来そうでした。

ですが、ここまで挙げた段階で、僕は憂鬱になってしまいました。

どう頑張っても無理な気がして挫折してしまうのです。

だって、何処からどう見ても完璧な人間にしか思えないのです。

僕とは、あまりにもかけ離れ過ぎている。

人を惹きつける人間に欠かせないもの

身近な人で、魅力的な人はいないのかと探してみると、ある人が思い浮かびました。その人のことが、何処かほっとけないのです。ほっとけないということは、僕が、その方に惹かれている部分が何処かにあるからだと考えました。

その理由を僕なりに探してみたんです。素晴らしい部分を探してみたら、確かにたくさん挙げることが出来ました。ただ、失礼は承知で言わせて頂くのですが、僕が調べて出てきたような完璧な人間だとはとても言えなかったのでした。確かに、僕自身が見えていない部分があるのも事実です。そもそも人というのは自分の都合でしか人を判断することが出来ませんから。

その方は、物事に誠実であることは間違いありません。真面目に仕事に取り組んでいるし、誰がみても努力しているのが分かります。それによく笑い、周りの人を笑顔にもしてくれます。でも、どこかおっちょこちょいでだらしない部分もあります。お酒が好きだし、細かいことは何にも気にしていません。非常に忘れ物が多いです。酷い時は、大事なことだと伝えたことさえも忘れてしまいます。明らかに人との距離感も分かっていません。人の言われたくないこともためらいなく言ってきます。自己アピールも凄いしてくるし、愚痴も山ほどいいます。でも、どこか憎めないんです。

そのことが、ずっと僕の中でも不思議だったのでした。ですが、ある話を聞いたときに、僕の中で非常に納得することが出来たのでした。物語の主人公を描くときに、二つの武器を与えると、その人物は魅力的になるというお話しです。

その二つの武器は何かというと「長所」と「短所」だそうです。

本来なら、短所があれば責めたり否定したくなるように思うものだけれど、その主人公に短所があれば、見る人は親近感が湧いて愛されるのだということでした。

この話の中で、ドラえもんの話が出てきたのですが、ドラえもんにのび太やしずかちゃんにジャイアンにスネ夫が多くの人に愛されているキャラクターであるのは誰もが認めるものです。それぞれの特徴を挙げてみると、ドラえもんは道具を何でも出せるけれど、おっちょこちょいだしねずみが苦手。のび太は優しいけれど、何にも出来ない。しずかちゃんは可愛くて優秀だけど、バイオリンが下手くそ。スネ夫は金持ちだけど腰巾着。ジャイアンは喧嘩がつよくて頼りになるけれど、歌が下手くそで母ちゃんにはめっぽう弱い。みんなそれぞれ、長所と短所が設定されている。だから、愛されるキャラクターになっているのだということでした。だけど、ドラえもんのアニメに登場してくるけれど、完璧な人間なのにあまり登場してこないキャラクターがあります。そのキャラクターは、できすぎ君です。この子には短所が描けれていないからあまり人気もないし、映画でもあまり登場してこないのだということでした。

そうした背景があることを知ったときに、短所だらけだけど、あの人が何処かほっとけない理由が分かった気がしたんです。その短所の部分こそ、僕の中で共感している部分があり、とても身近な存在に感じているのです。それに、あの人が過去にとても苦労をしていることを僕は知っている。それも、大きい要因となっているのは間違いありません。

人を惹きつける人間であるには、何も完璧でなくてもいいし、長所を増やす必要もなかったんです。誠実でさえいれば、自ずと人は集まってくるというものでした。

自分は魅力的な人間とかけ離れているからといって、落ち込む必要は何処にもなかったのです。

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