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めけめけの徒然なるままにアンチテーゼ
2019年2月6日 11:53
※こちらをお読みになる前に『mizuwari』を読んでいただけると、より楽しんでいただけます。「いらっしゃい」 懐かしい声が、僕を迎えてくれた。「どうも、ご無沙汰しています」 カウンターの席に座る。マスターはグラスを拭きながら温かく、そしてさりげなく迎え入れてくれた。「どうも、お久しぶりですね」 忘れられているとは思わなかったけど、不安がなかったかといえば、嘘になる。
2019年2月5日 12:47
「"ありがとう"って言って、それで別れるつもりだったんだぁあ。わたし」 彼女は手に持ったグラスを眺めながら、口をとがらせて、そう訴えた。「でも、あの人があんなこと言うから……」 カラン、カラン、カラン グラスにはすっかり溶けてしまった小さな氷が浮いている。それをくるくると回すたびに、安っぽい音がする。「わたし、わかってたんだ。こうなること。だから覚悟はしていたし、あの日だって半