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震える心、揺れる心

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心を動かすことはできないかもしれないけれど、震えさせたり、揺れさせたりできるのなら、僕はそれをしよう
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#恋愛小説

オン・ザ・ロック

オン・ザ・ロック

※こちらをお読みになる前に『mizuwari』を読んでいただけると、より楽しんでいただけます。

「いらっしゃい」

 懐かしい声が、僕を迎えてくれた。

「どうも、ご無沙汰しています」

 カウンターの席に座る。マスターはグラスを拭きながら温かく、そしてさりげなく迎え入れてくれた。

「どうも、お久しぶりですね」

 忘れられているとは思わなかったけど、不安がなかったかといえば、嘘になる。

 

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MIZUWARI

MIZUWARI

「"ありがとう"って言って、それで別れるつもりだったんだぁあ。わたし」

 彼女は手に持ったグラスを眺めながら、口をとがらせて、そう訴えた。
「でも、あの人があんなこと言うから……」
 
 カラン、カラン、カラン

 グラスにはすっかり溶けてしまった小さな氷が浮いている。それをくるくると回すたびに、安っぽい音がする。

「わたし、わかってたんだ。こうなること。だから覚悟はしていたし、あの日だって半

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