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苦手なことを見極めて努力する【書評】「大人のADHD」のための段取り力 司馬 理英子

司馬理英子氏は、長年、ADHDの啓蒙をしてこられたので、このシリーズも非常に具体性がある。おそらくは、読書が苦手な大人のADHDでも読み進められるような図・絵の多い読みやすい作りになっている。読みこむような本ではなく、パラパラとめくりながら、できることを探すのに使える。私はトイレ読書においておいて、少しずつ読んでいた(眺めたって感じ)

妻はADHDへの理解が乏しいので、トイレにこういう本を置いておくと、何ができないのかを理解してもらうのに役立っている。悩んでいない人には、悩みってわからないもんだからね。

5つの課題を意識する

一口にADHDといっても、個々の特性は様々だ。そこで、自分にとって、特に課題になることを見極めて、それを行うようにしたい。ADHDにとっての5つの課題とは、次の通り。

1:時間の管理
2:ものの管理
3:プランニング
4:記憶の補強
5:気持ちの継続力

この本の中では、それぞれの課題を解決するための具体的なアイデアが列挙され、ADHDが苦手な状況で、これらの解決策をどのように使うかが例示されている。非常に実用度が高い。

改めて分解してみると、私の場合は「気持ちの継続力」のあたりに集中して取り組む必要があることが分かった。というのも、結婚してからは「ものの管理」「記憶の補強」は、ほぼ妻任せで解決。時間・プランニングは必死で取り組み徐々に克服してきている。

問題は「それでもうまくいかない」と感じるメンタルだ。または、そのようなメンタルを引き起こすエネルギー切れの存在だ。ここは、今集中して取り組んでいるところだ。

「段取り力」と、まとめると、少し大きすぎるが、個々の課題に分解すると、今の自分にとってできているところ、できていないところがはっきりして、自分の成長に取り組みやすくなる。

さて、さらっと目を通して、関心を持ったところを少しピックアップしてみよう。

忘れやすいを解決!「OHIO方式」

「記憶の補強」のために、使える「OHIO方式」というものを知った。「OHIO」とは「Only Handle It Once」(一度だけ触る)の頭文字をとったものだ。つまり、ADHDにとって「大事なことを記憶する瞬間は1回しかない」と自覚することだ。

指示された時、頼まれごとをした時、アイデアを思い付いた時、その場で書き留めなければ確実に忘れてしまう。すぐにメモしたり、すぐに実行したりする能力を磨くことだ。これは、別の本で「決定的瞬間」という言葉でも学んでいたのを思い出す。ADHDは本当に忘れやすい。「あとでやろう」と思ったら、もうそれで終わりだ。だから、とにかくボールが来たら、ワンタッチでパスを回していくかのような、素早い処理が求められる。

私の場合は、一週間刻みで、タスクを忘れないように自分なりのシステムを構築している。結局、これはOHIO方式だったのだと気づいた。

短距離走型として生きる

ADHDをランナーに例えると、長距離走ではなく、短距離走型の選手ということになるだろう。瞬発力に優れており、一度集中し始めると仕事もできるタイプが多い。その分、持久力は悲しくなるほど少ない。ただ、長距離の選手と同じことをしようと思うのは無理ってものだ。それぞれ、特性が違うと割り切ることだ。

ちなみに、妻は間違いなく長距離タイプの人間だ。コツコツ、何年でも何十年でも同じことを継続することができる。その分、走り出しには弱く、新しいことにチャレンジしない。私はどんどん新しいことにチャレンジしては、飽きて放置を繰り返す人生だった。驚くほど二人は違う。そして、その違いが良いんだろうな。

こういう人による違いを知って、自分は短距離走型だと分かれば、エネルギーを上手に使えるようになる。大きな意味で、ADHDはインターバルトレーニングのような働き方をしていけば、疲れないで、やり続けられる。わ~っと走って、少し休んで、またわ~っと走る。

この辺は、メンタルタフネスの英知をもっと当てはめたいと思っている。

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq