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大人のADHDにおすすめの本(書評)マンガでわかる発達障害 特性&個性 発見ガイド 福西 勇夫 福西 朱美

発達障害(ADHD)の本は数多く読んでいるけれど、流行りに乗った内容が薄い本も少なくない。そんな中で、豊富な臨床経験を感じさせると同時に、発達障害に対する温かい支援(マインド的にも、ノウハウ的にも)に満ちた一冊を発見した。

単に発達障害とは何か?に終始せず、その特性を「個性」に変えられるように具体的な手引きが書かれている。そして全編を通して見やすく要点が分かりやすいマンガがあるのもおすすめポイントだ。この手の本では、本文を繰り返しているようなマンガもあるけれど、この本の場合はマンガページにも内容がしっかり入っている。

もし、大人の発達障害に悩み、従来の発達障害本でモヤモヤしているなら、手元に一冊あると良いかもしれない。

私は発達障害の中でもADHD専門なのでw ADHDに絞って、良かった点などを紹介してみようと思う。

発達障害を個性に変える4つのステップ

この本で何度も繰り返されている主な考えは「発達障害自体は問題ではない。「適応」が問題になる」ということだ。

つまり、学生時代は母親が細かく生活指導をしてくれて、学校では理解度の高い友人に囲まれていた人は発達障害を障害とはとらえないものだ。しかし、大人になって一人暮らしをして、キビシイ上司や冷たい同僚に囲まれるようになると、一気に問題が顕在化する。

つまり、発達障害とは「適応障害」と言える。

環境次第では障害は発現してこないからだ。マンガの中で、学校で生きづらさを抱えていた男の子の親が、一念発起して家族で海外生活をすることにしたら、それだけで障害は解消したという事例が出てくる。環境次第では発達障害というラベルすら無意味になる。

その点を踏まえたうえで、著者は発達障害を個性に変える4つのステップを紹介している。あくまでも、私が自分の理解でまとめた点なので、ざっくりなんだけど。

1:まずは自分の障害に関する知識を得ること
2:自分自身の特性を知ること
3:考え方を変えること(ネガティブに考えない)
4:ひとつひとつ改善していくこと(行動・環境・サポーター)

この本では、この4つのステップを丁寧に、丁寧に説明している。発達障害という知識を知ることは、自分を責めない助けになる。私もそうだった。でも、それだけでは「自分は障害だから、何もできない」と、かえって可能性を封じてしまうリスクがある。

大切なのは、自分にとっては何ができて、何ができないのかという特性を知ること。何に困っているのかが分かれば、それを解決するための様々な工夫を見つけることができる。一口で発達障害といっても、人によって困りごとは異なるのだ。

発達障害でもあきらめない

発達障害だから、その人は一生変わらないというのは間違っている。人は変わるし、成長する。

マンガの中に面白いエピソードがある。45歳の精神科医、自らもASDだ。空気を読めずに、ビシビシと何でも言ってしまい、感情移入が下手。しかし、ある時、患者の診察を行い、ASDについて学び、学問的興味からASDについて学ぶことにした。その結果、自己理解が進み、自分がこれまで、周りの人にどれだけフォローしてもらっていたかに気づいたという事例だ。

一般的には、ASDは人の気持ちが分からない、それは治らないで終わってしまいそうだけど、人は変われる。少しずつでも成長できるというのは元気が出る考え方だ。

私自身、ADHDについて知った20年前とは、まるで別人のようになっている。苦労(苦闘)しながら、自分自身の行動パターンを変えてきたし、結婚することで妻からのサポートを受けることもできるようになった。そして、今も、新しいADHDハックを生み出しては、前に、前に進んでいるのだ。

ひとつでも、日常の困りごとを減らしていくことができれば、発達障害だとしても幸せに生きていける。そんなメッセージを感じ取って、心が温かくなった。大人のADHDは時々、ひどくブルーになるかもしれない、そんな時に見返すと励みになる。ぜひ、手元に置いておきたい一冊だ。

「発達の凸凹があるかないかはもはや大きな問題ではなく、重要なのは「適応」であるということはこれまでにもくり返しお話ししてきました。」

「そうした特性は捉え方によってはその人の「強み」にもなりうるのです。そして、「成功」とそうでないケースの違いは紙一重である場合も多いのです。なにがどこでどう転ぶかなんて誰にもわかりません。ですからどのような特性を持っていたとしても、現時点で行える方法を模索し、可能性を追求する姿勢は大切です。」

(マンガでわかる発達障害 特性&個性 発見ガイド 福西 勇夫 福西 朱美 法研 P187~188)

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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq