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ポンコツ宣言

私はもともと承認欲求が強い男だった。
なにかにつけて「認められたかった」のだ。
心理学的にいうと、親との愛着形成に問題があると思われる。
確かにうちの両親は、私に無関心だった。
スキンシップの記憶もない。

多分そういうこともあって

「僕を見て!僕をほめて!」

みたいなところがちょっと過剰にある子だった。

普通こういうときは、
勉強とか運動とかで頑張るものだ。

勉強はちょっとできた。
でも親が「子どもが勉強できる」ということに
まったく興味がない人だった。
そうなるとほれ、勉強しなくなるじゃんw

なら運動を!ということなのだが
これがまた運動神経というものを
まったく持ち合わせていなかったので
早々にあきらめるしかなかった。

勉強も運動もアカンとなると
親に認めてもらうには「いい子」でないといけない。
なので私は「手のかからない良い子」を選択した。
具体的になにをしたかというと、

 家でずーっと本を読んでいる

こういう作戦に出た。
そう親がいようが、買い物に行ってようが
私はいつも変わらず本を読んでいるのだ。

これは成功した。両親は問題を起こさない私を
「この子はほんとうに手がかからない」と
周りに言ってくれた。

しめしめ。うまく行った。
これでいいのだ、これで。

幼いながらそう思っていた。
ところが、予期せぬことが起こった。

私には3つ下の弟がいる。
もともと活発な子どもであったが、
年々ヤンチャぶりを発揮するようになった。
すると両親の関心はすべて弟にいくようになった。

おとなしくまじめ戦略よりも
ヤンチャでふまじめ戦略の方が効果があったのだ!

でもずーっとおとなしくまじめ戦略をしているので
今さらヤンチャもできない。

おそらく人生において、一番大きな挫折はここだったと思う。

それ以降も、友人や先輩、後輩、会社の上司とかに
「認めてほしい」をずっと抱えていた。

これやっかいなことに、ときどき「マウント」になったりする。
認めてもらいたいあまり、他の人を下げようとするんだな。

「それあいつより俺の方ができてるで」

みたいな。

今考えると、これは痛い。
そりゃ女子にもモテへんわww

まあ万事こんな感じだったから
メンタル的には結構不安定なことが多かった。

だって認めてほしいし、認められないと落ち込むし、
勝手に周りをライバル視しているわけでしょ?
落ち着くわけないじゃんね。

それでも歳を重ねて、いろんな勉強をして、
今こうして心理の仕事をしているわけだけれども
コーチになってからもまだ「認められたい」はあった。
ただ、これまでとは少し形が変わっていて

「コーチはできなければならない」

みたいになっていた。
そうなのだ。コーチングをするときに

「コーチはちゃんとしていないといけない」
「コーチはなんでも解決できないといけない」
「コーチは優れていないといけない」

そう思うようになっていた。

これはしんどい。
セッションの度にプレッシャーで吐きそうになる。
次第にセッションが憂鬱にさえなってきた。
予約の時間が近づくと

「キャンセルの連絡入ってこないかなあ」

そう考えるようになった。
これではなんのためにコーチになったのかわからない。

そんなややこしい状況を続けていた私だが、
数年前に考え方が変わる出来事があった。

あるセミナーを受けて自分の価値観が変わったのだ。
なんというかな、すごく楽になったの。
肩の力が抜けたというか、緊張がほどけたというか。

そこからは「自分はポンコツなんだ」ということを
当たり前のように認めるようになった。
そしてそれを周りにも伝えるようにした。

「私、実はポンコツです」って(笑)

いや、実際結構ポンコツなんだけどね。
ただ「承認欲求」があったころには
このポンコツな自分を認められなかったんだ。
なぜなら「ポンコツ=相手にされない」そう思ってたから。

ポンコツになってから本当に楽になった。
ポンコツだから助けてくれる人が増えた。
それまで一人で孤軍奮闘していた感じだったが、
今はたくさんの人がサポートしてくれる。
すごく楽だし、すごく楽しい。

これまで全然届かなかったような仕事も
任せてもらえるようになった。
そう。ポンコツな私だけれども
役に立てるところもあるんだ。

もしあなたが
「自分はこんなに頑張っているのにうまくいかない」
とか
「誰も自分のことを認めてくれない」
ということで悩んでいるのなら、
ぜひ一度「できない自分」を認めてあげてほしい。
そして「できないから助けて」と言ってもほしい。

あなたを助けたいと思っている人は必ずいる。
その人にぜひ出会ってほしいなあ。


追伸1
私のポンコツぶりは、元々発達ボーダー(グレーゾーン)から来てる。
機会があればそういう話も書こうかな。

追伸2
ポンコツなエピソードには事欠かないが、自分でもちょっとショック
だったのは、眼鏡をかけたまま顔をあらったときだ。