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名刺代わりの小説"以外"10選

自分をあらわす本を、さらに10冊選んでみました。

私を形作った10冊です。


メンタリスト 彩 -sai-(@psychicsorcerer)です。

先日、「名刺代わりの小説10選」というテーマの記事を書きました。

上の記事を書こうと思った時に、

「小説だけの紹介じゃ足りない!」

と思わされました。

そこで今回は、小説以外の活字の本で、私の名刺代わりとなる10冊を選んでみました。

最初の方は哲学系の本が並んでいますが、後半は少し趣きが変わっていきます。

それでは、行きましょう。


1. ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』

この本に私の十数年が費やされました。

本書は、20世紀の哲学書の中でも、有名なものの一つです。

その内容は、論理学が密接に関わっているのですが、その論理学との関わりのまま、最後には倫理に関する考察に行き着きます。

高校時代に、「この本の真意を知りたい」と思ったことが、そこから色々なことを学ぶためのモチベーションになっていたように思います。

私の人生の一冊。


2. 野矢茂樹『無限論の教室』

物語形式で、「数学の無限とは何か」について語られている本です。

高校時代、数学に少し関心を持った延長でこの本を読んだんだと思います。

この本の切り込み方は哲学的なもので、私は、この本に惹かれた時点で、数学から哲学への関心に方向付けられていたのかもしれません。

何よりこの本は、登場人物3人の掛け合いが本当に面白いんです。

実は、本書はウィトゲンシュタインの数学の哲学が根本にあるとも、あとがきで述べられています。

楽しい内容でありながら、しっかりと考えることをする本なので、チャレンジしたい方は是非。


3. 古東哲明『ハイデガー=存在神秘の哲学』

大学1年の頃、哲学者ハイデガーに関して勉強する機会に恵まれました。

学生同士の勉強の場で、その時は残念ながら、ハイデガーの思想に全く入り込むことができませんでした。

そんな自分が、後にこの本を読むことで、「ハイデガーとは何なのか」を一気に理解した感覚になりました。

(ハイデガーの思想を知る人に向けるなら、「理解した」ではなく「了解した」と言った方がいいかもしれません。)

著者の語り口が独特で、なぜこういう語り方ができるのか不思議なのですが、理解しがたい事柄を伝える力を感じます。

ハイデガーを知りたい人なら、是非一読するといい本です。


4. ジョルジュ・バタイユ『有罪者』

過去に、

今まで読んだ本の中でも、一二を争うほどに好き

と思っていた本がこれです。

この本は、思想家バタイユが、第二次世界大戦の始まりの時期から書き出した日記に基づいたものですが……

混乱を混乱のままにして、思索を書きつけていった本作は、本当に刺激に満ちています。

この本、以前は単行本だけしかなくて、私の人生の夢の一つがこの本の文庫化だったんですが……

それが、2017年に叶った時には心底歓喜しました。

私の裏ベスト的な一冊。


5. 松岡正剛『多読術』

この本については既に今月、記事にしていますね。

何度も読み返し、私が読書人生を歩む中で、参照し続けている本です。

(この本について詳しく述べた記事はこちら↓)


6. 遠藤周作『私のイエス』

私自身はクリスチャンではないのですが……

それでも、人間の生き方について関心を持っている私は、その点でイエスという存在にも関心を持っています。

その原点となったのは、この本があったからです。

この本で遠藤周作は、日本人がどうキリスト教を受け入れていけるか、について述べていきます。

イエスの解釈が人間的になるのですが、そこが、私の関心と沿う感じなんですよね。

個人的には、ここから宗教的ではない形での、イエスの言動の受け入れが開かれると思ってもいます。


7. 岡本太郎『自分の運命に楯を突け』

岡本太郎の本はどれも好きなのですが、一番自分が必要とするエネルギーを感じるのが本書です。

岡本太郎は人間の一つのあり方のモデルになると思っています。

(上のイエスとその意味ではつながるかもしれません。述べた内容の違いは大きいですが。)

この本は、一文一文が格言めいて響いてしまうぐらいに強いのですが……

そのパワーだけでなく、述べることの流れなどを受け止めるように読むことが、岡本太郎の言葉をさらに味わうことになると思います。

と、こんなことを考えずに、まず岡本太郎の言葉を浴びてみてください。

私自身は、自分が人間としてどうかを確認する時に、参考にするために岡本太郎の言葉に触れています。


8. 巖谷國士『シュルレアリスムとは何か』

シュルレアリスムに強い関心を持っていた時期がありました。

ただし、絵画ではなく、詩の手法としてのシュルレアリスムにです。

「自動記述」によって詩を書くこと、そしてシュルレアリスムによる世界観(むしろ認識観という方が正確?)からは多大な影響を受けています。

本書は講演録で、著者自身が「フリースタイル」的な内容で語ったものなので、すっと内容が入ってきやすいです。

シュルレアリスム以外にも、メルヘン、ユートピアがテーマとなり、それぞれの既存の思い込みを砕くような解説がなされていきます。

「幻想世界」といわれる領域を縦横無尽に語っていく感じが、私にはとても合います。

私の幻想世界に対する見方を形作った一冊、といえるかもしれません。


9. 澁澤龍彦『エロスの解剖』

中学時代だったか、澁澤龍彦の本を何冊か読んでいました。

主にこの本と『黒魔術の手帖』の2冊でしたが、それだけで十分な影響を受けたのは間違いないです。

タイトル通り性的な内容に関するエッセイ集なのですが、澁澤龍彦らしい知的な内容になっています。

特に「性とはなにか」というエッセイからは、大きな影響を受けたと思います。

上で述べたバタイユについて知ったのも、この本からです。

その後の私の様々な興味、そして私のパフォーマンスの雰囲気の原点となる一冊かもしれません。


10. ヘルマン・ヘッセ『ヘッセ詩集』

一時期、ヘルマン・ヘッセの書いたものを読み続けていたことがあります。

そのほとんどが小説でしたが、この詩集読んだ時に、この味わいは格別だと思わされました。

一度、この本の詩を、口に出して通読したことがあります。

それは、ドイツ語の響きまでは感じられなくても、そこにある詩情を味わいたかったからです。

私自身は、ヘッセの考えていることにはかなり共感できる部分もあるのですが、何より、それに感情や感性を乗せてくれるところが、この詩集のいいところですね。

ヘッセの詩は、好きな人同士で一度語り合ってみたい、と思うぐらいに特別なものです。


というわけで、私の「名刺代わりの小説"以外"10選」は、

1. ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
2. 野矢茂樹『無限論の教室』
3. 古東哲明『ハイデガー=存在神秘の哲学』
4. ジョルジュ・バタイユ『有罪者』
5. 松岡正剛『多読術』
6. 遠藤周作『私のイエス』
7. 岡本太郎『自分の運命に楯を突け』
8. 巖谷國士『シュルレアリスムとは何か』
9. 澁澤龍彦『エロスの解剖』
10. ヘルマン・ヘッセ『ヘッセ詩集』

でした。

「名刺代わりの小説10選」の時と同じで、今回取りあげたものも、どれも個別で記事にしたいものばかりですね……。


今回は、思考や人生の枠を語る本が主となってしまいましたが……

今回のセレクション以外にも、実用書に関するセレクションもありえたと思うので、そちらに関する記事ももしかしたらまた書くかもしれません。

また様々な本の紹介をしていきますね!

(こちらのマガジンでは、本の紹介含め、広く読書について述べています。関心がありましたら是非↓)

それではまた別記事で!


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