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名刺代わりの小説10選

自分を小説10冊であらわしてみるとどうなるか……。

これが、現時点での私です。


メンタリスト 彩 -sai-(@psychicsorcerer)です。

今回の記事は、Twitterでよくタグとして見かける

#名刺代わりの小説10選

をタイトルとしました。

タイトル通り、自分をあらわすような10冊の小説を紹介していきます。

早速、いきましょう。


1. リチャード・バック『イリュージョン』

真っ先に取りあげたいのがこの本。

自分の人生観の中の大きな部分を、この本のテーマとするところが占めていると思います。

飛行機乗りの主人公リチャード(作者リチャード・バック自身?)が、同じ飛行機乗りドンと出会い、「救世主」について知っていくというファンタジー。

内容的にもライトな読み物にも見えるのですが、非常に示唆に富んだところの多い作品だと思っています。

作中に出てくる『救世主のハンドブック』の言葉は人生のヒントに溢れています。

この本についてお話ができる人とは仲良くなりたいとも思いますね。


2. パウロ・コエーリョ『アルケミスト』

副題にある通り「夢を旅した少年」の物語です。

夢を追うことで起きる様々な出来事が、数多くの象徴によって語られています。

それは私たちの人生に通じるものです。

「作中のこの出来事は、自分の人生であのことと同じではないか?」

という視点で見ていくことで、学びとなると思っています。

この作品であらわされている象徴が一体何を述べているのか、一度じっくりと取り組みたいと思っている作品です。


3. コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』

私の人間としての憧れの大部分は、シャーロック・ホームズにあるといっても過言ではありません。

特にこの短編集は名作も揃っているので、皆様にも是非読んでいただきたいです。

この小説については過去に記事を書いています↓


4. 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』

この本の作品世界は、私を満たしてくれます。

日本のミステリの中でも、特に難解で知られるもので、無数の知識が散りばめられています。

(よく「衒学的」とも評される本作ですが。全ページからその香りが漂ってきます。)

私が学生時代に取り組んだ際には、通読に非常に苦労しましたが、作品世界に一度取り込まれたら、もう出られなくなりました(笑)

ゴシック的な趣向が全編に溢れ、個人的には、どこから読んでもそこから数ページは浸れるような本です。


5. 笠井潔『哲学者の密室』

タイトルからも想像がつく通り、哲学が題材となるミステリです。

文庫でも1000ページ超(!)のボリュームで、死に関する哲学やナチス・ドイツの収容所も絡み、本当に重厚な内容となっています。

その重厚さを中心に、この本は私がミステリに求めるものを、ほぼ完璧な形で満たしているように思います。

(それは、私がミステリに求めていることが特殊ということでもありますが……。)

それにしても、この記事を書くにあたって、本作を読み返したんですが……これは長いですね(汗)


6. レフ・トルストイ『イワン・イリイチの死』

自分にとって一番大事なことを忘れないようにさせてくれる本。

そこまで長い作品ではないので、内容を知ることなく読んでほしいですね。

ある意味で、ここで挙げた中で最重要作かもしれません。

(これと北野武の映画『ソナチネ』が、自分には同等なところがあります。)

日々忘れることがあっても、忘れてはいけないことを感覚から思い出させてくれる作品。


7. 宮内悠介『盤上の夜』

囲碁や麻雀や将棋等の盤上ゲームを題材にしたSF短編集。

全短編に通底するのは、ゲームという勝ち負けを決めるものの「その先を求める姿勢」です。

私はそこに大きく惹かれ、至高を感じてしまいます。

勝ち負けや楽しさ(エンターテインメント)の先に何があるか。

これは私自身が、自分の活動の中で追求していきたいものに似ていると思います。

この短編集であらわそうとされている「事柄」は、SFではなく、きっとリアルです。


8. ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』

この本を読んで、ミラン・クンデラの小説の手法が、私にとって重要なものになりました。

恋愛小説でありながら、作者が地の文で自己主張を始める。

哲学的なエッセイや歴史上の話が、物語に有機的に絡まってくる。

私が単独ライブで、構成を意識することになったのも、この本があったからこそだと思います。

(クンデラが『小説の技法』で書いていたことにも、影響を受けています。)

『哲学者の密室』もそうですが、この作品は、自分が何か形にする上で雛形となり、理想となっています。


9. 石田衣良『娼年』

この10選には、死を主題にした作品が2つありますが、死と対になるものとして、性を扱ったこちらの作品も大事な作品です。

「コールボーイ」となった男性の主観で描かれる物語です。

この後に『逝年』『爽年』と続き3部作になっていますが、全編通じて、主人公の女性を見つめる視点が本当にいいんです。

性的なことに従事する話という、一見して過激な内容でありながら、静かさや受容の精神に貫かれている。

その精神に、私は(ホームズに憧れる部分と合わせて)憧れているのです。


10. 清涼院流水『コズミック』

清涼院流水は、学生時代に出会った時以来、ずっと気になる作家です。この作品はデビュー作。

1994年の元日に、

「1200個の密室で、1200人が殺される」

という犯行予告状が送られ、それを実現するような事件が日本各地で起こり出すというとんでもない内容。

作者はその後もとんでもない作品を続々書いていくのですが、このデビュー作にエッセンスが詰まっていると思います。

私にとって「清涼院流水とは何なのか」は長年の問いなのですが……

いずれ、noteの記事で「私的清涼院流水論」を書くことを予定しています。

気長にお待ちください。


というわけで、私の「名刺代わりの小説10選」は、

1. リチャード・バック『イリュージョン』
2. パウロ・コエーリョ『アルケミスト』
3. コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』
4. 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
5. 笠井潔『哲学者の密室』
6. レフ・トルストイ『イワン・イリイチの死』
7. 宮内悠介『盤上の夜』
8. ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
9. 石田衣良『娼年』
10. 清涼院流水『コズミック』

でした。

このうち一作だけは既に個別で記事にしましたが、どの小説もいずれ個別で記事にしたいと思うぐらいです。


今回の記事は、ここまでの読書体験でとりあえず現時点の10選なので、また人生を重ねると結果は変わると思います。

候補となる他の作品ももちろんありました。

今後の記事でも、今回の本や紹介できなかった本についてお話していきますね。

もしよかったら、あなたの名刺代わりの小説もお聞かせください!

それではまた別記事で!


2022.9/21追記:

この記事の「続編」として小説以外の本も選んでみました。ご関心ありましたらこちらも是非↓


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