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橋爪大三郎『はじめての構造主義』 ― 昔から今に息づくもの

とにかく、あの時以来、「構造」というものが私に植え付けられたのです。

私のある原点。


メンタリスト 彩 -sai-(@psychicsorcerer)です。

今回は本のご紹介です。

今回紹介するのはこちら↓

橋爪大三郎『はじめての構造主義』です。

内容は、20世紀に生まれた現代思想である構造主義を、代表的な人物レヴィ=ストロースの解説を中心に、優しく述べているものです。

優しくというか軽い!

例えばこんな感じ↓

その構造主義とやらの旗頭が、レヴィ=ストロースという学者らしい、ということもわかった。レヴィ=ストロース!? ……こいつはぜひ、読まなければならないゾ。

1988年発行の本ですが、この語り口調ね(笑)

なんかこう「ナウいヤング」感があります(笑)

比較的読みやすい本なので、中学生や高校生にもオススメできますよ。


というか、実際に私がこの本を初めて読んだのは、高校生の時でした。

当時、私は、哲学と数学に興味を持っていて、文系・理系の両方に目が向いてしまうことに、進学の面で悩んでいました。

(これに加えて心理学への興味もありました。)

この本は、その2つが交差することをあると知らしめてくれたという点で、本当に私にとって大きなものだったんです。


この本で中心的に語られるレヴィ=ストロースは、哲学から人類学に関心を向けていった人物です。

そして、未開社会を分析していき、先住民たちに、科学の発達した私たちの社会と基本的に変わらない思考が働いている、ということを見出していきました。

そこに数学が大きく関わるところがあったんですね。

本書でも多く紙面を割いて解説されているレヴィ=ストロースの著作『親族の基本構造』の内容がそれです。

これは未開社会の婚姻に関する話です。

婚姻、その関係に数学出てきちゃうんですよ!

すごくないですか!

(ってこれだけじゃ何も伝わらないよね……とにかく読んで!)

とにかく解き明かしが、すごい。

「え、数学なんて関係なさそうなこんな場所に、数学出てきちゃうんだ?」

という、もうこれは推理小説ですよ。


今回久々に通読したのですが、高校生の時にはこの本の内容を全然わかってなかったなーと痛感させられました。

(その一方で、初読時の衝撃は未だに変えがたいものがありますが。)

構造主義の展開(というかレヴィ=ストロースの展開)は、人間の歴史を見る視点を根こそぎ持っていって、改められて返されるというか。

初読時に既に、

「この世には通底する秩序がある」
(→構造主義の「構造」ってやつです)

という意識を私がこの本によって植え付けられたのは疑いえないのですが。

それは、現代人の歴史に対する見方の大転換でもありえたということに今回気付かされました。


今書いた「この世に通底する秩序」、私はこの本を読んで以降それを強く意識するようになったと思います。

秩序というか……多くのものが共通して持つ「構造」、という方が適切かな……

……うん、やっぱり構造としか言えない。

この、構造を複数のものに見出して「違うように見えるこれらも、結局は共通しているものが働いているんじゃん」と考えるやり方は、ずーっと私の考え方の基本になっています。

こういう考え方のベースとなるものが、20世紀の後半に世の中を席巻していたわけですね。


余談ですが、今回読んでいて、次の箇所に時代を感じました。

本屋さんに行くと「思想書コーナー」のあたりは、ポスト構造主義やポストモダンの本ばっかり山積みになっているので、世界中そのての思想で塗りつぶされてしまった、みたいな印象にどうしてもなってしまう。

上でも書きましたが、この本は1988年に出たものです。

今の日本の状況は、上で書かれている感じではないので……そういう意味では、当時はまさに構造主義以降の思想が日本でブームになっていたんだな、と思わされました。

(余談終わり。)


高校を出た私は、哲学への関心はそのままに、大学は数学を専攻しました。

そして、結局は哲学も修めることになりました。

そして、人生の過程で色々なことを知っていったけど、

それこそ未開社会にも現代人と変わらない構造が息づいていたように、

今の私にも、当時の自分と変わらない思考の構造がずーっとあり続けていると思います。


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