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「アルプススタンドのはしの方」(城定秀夫監督)

8.12 U-NEXTにて鑑賞

前の記事でも触れたが「青春感じてえ〜〜」という薄い感じで、まぁまぁ巷で好評の噂があった「アルプススタンドのはしの方」を観よう!と思い立った。U-NEXTで配信してると知り、初めてU-NEXTで映画をポチった。2日間レンタルでお金が別途掛かるらしいのだが、金払って更に金払わないといけないだなんて何か嫌な気持ちになる。しかしU-NEXTポイント貯め侍の俺はポイントを消費し、0円で鑑賞する事にした。

主要キャスト

安田あすは / 小野莉奈
東入間高校演劇部。ネガティブ。
ドラマ「コントが始まる」にも出てたらしいのだが観た俺でも全然分からん。どこにいたんだ。

藤野富士夫 / 平井亜門
元野球部。
映画「うみべの女の子」出演。

田宮ひかる / 西本まりん
演劇部。謙遜キャラ。
映画「そうして私たちはプールに金魚を、」出演。

宮下恵 / 中村守里
帰宅部。成績優秀。
アイドルなんだそう。

久住智香 / 黒木ひかり
吹奏楽部。マドンナ。
タレントとか色々やってるみたい。

園田
存在のみ。
東入間高校野球部エースピッチャーで4番。ひかると宮下の憧れの的で久住の彼女。

矢野
存在のみ。
東入間高校野球部。補欠ベンチ部員。

感想(ネタバレ上等)

元々の原作は戯曲で、藤野役の平井亜門以外が戯曲出演者そのままだそうだ。(戯曲に出てた藤野役の子は体調不良による降板で代役を立てられている)
生徒が強制で野球の試合に応援席で参加する事になり、応援席の端でつまらなそうに座る、あすは と ひかる。後から元野球部員の藤野があすは達と少し離れた場所に座る。その後ろで立って観戦する宮下さん。応援を仕切る茶道部顧問の厚木先生(目次立樹)に目をつけられるほどに応援に消極的な4人組といった構図。

戯曲を元にしてるからというのもあるかもしれないが、野球しているシーンは音のみになっており、従って園田と矢野というキーパーソンの野球部員も顔出しはしないで会話の中に出てくる。「桐島、部活やめるってよ」の桐島ほどではないがこの2人のキーパーソンが4人の中で重要かつアイコン的な存在になるのもこの物語のいいところ。謎が徐々に回収されるのもいい。例えば演劇部が関東大会に行ったものの部員がインフルエンザになり出れなかった、というくだりがあるが、そのインフルエンザになったのがひかる。謙遜したりするのもあすはに遠慮しているというのでなかなか気持ちがいい回収だと思う。3,4人で会話してちょっと話が途切れると、いい塩梅で厚木先生が「応援しろよ」と喝を入れ、クッションの役割を果たし物語を飽きさせない。

そんなバラバラの4人が少し仲良くなってから一致団結していくのも変な理屈っぽい感じじゃなくちゃんと筋が通っていて良い。何より場所を「アルプススタンドのはし」はもちろん、通路だとか、そういう球場内だけで見せていくのも見やすい。「12人の怒れる男たち」や「キサラギ」みたいにほぼ場所がピンポイントな映画は感情変化がキーになる。そういう映画は観ててワクワクする。

戯曲には人物としての出演が無かった「久住」もすごく良い。エース園田を巡っての宮下との対立が際立っていた。久住の友達2人のムカつく感も悪役の役割を果たしていてとても良かった。出しゃばられて困るほどには出しゃばらない。物語として必要最低限の動き方だ。

試合も地方大会1回戦の予選で、強くもない母校のそんな熱くならなくていいような試合、だけどもしかしたら私達の応援で相手に勝てるかもしれない、気持ちはその一つだ。熱が入ってみんなが怒るような、そんなやり切れない気持ちの吐き捨てが応援になり、ヒットを打ち、一喜一憂する。なんちゅう映画を作ったんだ、と思った。こんなに自然とこちらまで応援したくなるような映画は初めてだ。この映画は魔力があった。「でもキーパーソンの矢野と園田がいい感じにサヨナラ打つんでしょ?」と思うだろう。俺もそれでみんな感動しちゃって評価を受けてんだなと思ったが、まさかの展開に持って行く。それでもちゃんとドラマとして成立していて、マジでいい映画だと思った。そして1番好きなシーンは宮下の久住にかけた言葉に対する久住のリアクションだ。これにはマジで泣きかけた。1人で劇場で観てたら泣いてただろう。

総評

これは陰キャラに贈る青春映画だと思う。努力しても報われない事がある、だがやっている事は何も間違っちゃいない、そういう教えが学べた。最高の映画を観れちまってもう感激だ。これからも青春映画を見漁っていこう。

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