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どついたるねん。

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きっと仕事のためにはならないでしょうが、暇つぶしにはなるかと思います。そんな、エッセイです。(2019/10/1〜2021/5/23)
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#コラム

頼もくなさと情報の非対称性について

私は、私自身のことを頼もしくないと思っている。 私はその実、仕事で――一つ一つは小さいけれど――ミスばかりしているし、さまざまな人のサポートがあってなんとかそれらをこなせているというのが現実だと認識しているからだ。 多くの人がそうなんじゃない? という慰めもまたあろうが、少なくとも私の自己認識はそうであり、そして私を除く多くの人は、私の目からは頼もしく見えてしまうのだ。 しかしプロジェクトマネージャーは、そんな私を「お客様からも信頼されていますし」と表現する。 そんな

お酒に弱いと言った、たとえばあの子が

そういえば私には、目に焼き付いてずっと頭から離れない女の子がいる。 ある日、銀座から一緒に最寄り駅まで、終電に揺られて帰った女の子だ。 あれはゼミの後輩で、たしか名前を井川奈沙といった。 その日はゼミの飲み会で、「そろそろ終電の人もいるから帰ろうか」という話になったのが午後11時頃。 田舎者みたいに銀時計の前で集合写真を撮り、その日は解散となった。 乗り換えアプリで、調べて「自分〇〇線なんで」と言った。 飲み会メンバーの一人が、XX方面ですか? と話しかけてきた。

自己啓発書でも読んだほうがいいのか?

私のいる会社では、半期に一度、自己評価と振り返りという名目で上司との面談(1 on 1)がある。 以前の面談の際、当時の上司から「今後、どんな風になりたい? 来年とか、自分がどんなビジネスをやっていたいか、想像してみて」と言われた。 正直、「好きな人の好きな人になりたい」以外は思い浮かばなかったが、そういう答えが期待されていないことは流石に分かっているので、「ちょっと思いつかないです、すみません」と返した。 上記のエピソードが雄弁に物語っているように、私にはあまりビジネ

女の子から下の名前で呼ばれ、緊張で腹を下した

大学の同じゼミの同期に、可愛らしい女の子がいた。 私自身、彼女とすこぶる仲が良かったわけではなかったが、かといって険悪な関係なわけでもなかった。 ほとほどに交流のある、ゼミの同期。 それが私と、大学一年生の時分から付き合う彼氏のいる彼女との関係だった。 ここでは彼女のことを、梶浦さんという仮名で呼ぶことにしよう。 ある日の朝、大学に向かうバスで私と梶浦さんは偶然隣同士の席になった。 バスは混み合っていて、私たちの周りにも、たくさんの乗客がいた。 「1限あるの?」

バカとつき合うなとは言うけれど

「バカとつき合うな」という本がある。 キングコング西野亮廣と実業家の堀江貴文の共著である。 出版社の紹介ページには「あなたはなぜ自由でないのか? 答えは簡単、バカとつき合っているからだ!」という言葉が躍る。 そしてこの本は、共著者2名による最強の教えであるらしい。 一時期、書店のビジネス書コーナーに平積みされているのをよく見かけた。 しかし、この挑発的なタイトルはどうなのだろう。 無論、これが戦略的なものであることは理解できる。 煽情的にすることで、「おや?」と

怒りの速度が足りない

私は、いつもすぐに怒ることができない。 「その発言はどうなのだろう?」 そう思う機会があったとしても、いつもそれは、その場ですぐに怒りに変わってくれない。 それが怒りに変わるのは、たいていその出来事が過ぎ去ってからのことだ。 そのことが、私はいつももどかしく思う。 ある飲み会でのことだ。 それは、ある事業部の主催するイベントを私たちの所属する部署が手伝ったことに対する慰労を趣旨として開催された。 その中で、その事業部に所属する女性社員が私の同期であることが話題に

「こいつ面白い」は信用ならない

「こいつ面白いんだよ」 飲み会などの場で、「笑わせてくれる」という意味でこの言葉を聞いたらば、少し歪な作り笑いを浮かべてしまう。 経験則から言って、そう紹介されたやつが面白いケースは極めて稀だからだ。 その原因に、私も一家言ないわけではない。 しかしその考察は省略し、今回は、私が実際に受けた「被害」について語ろうと思う。 話は、数年前に行われた、会社の同期の飲み会に遡る。 その飲み会は、会社近くの、安い居酒屋チェーンで行われた。 ビールを頼むものあり、ハイボール

Switchの値段にビビって泣いて帰った

年末年始は、ただひたすらに寝て過ごしていた。 いわゆる「寝正月」というやつだ。 そして、起きている間はテレビを見て過ごすような、まあそんな自堕落な感じだった。 それについて、後悔をつらつらと言葉にしたいわけではない。 もっと精力的に動きべきだったなと思うわけでもない。 しかしまあ、その過ごし方の後遺症というべきなんだろうか。 仕事初めからこの方、どうにもやる気が湧かなくて困っている。 時間の経過がいたずらに遅く、気分がずっと沈沈としているのだ。 この「気分が沈

やはり経費精算とは友だちになれない

以前、「経費精算とは友だちになれない」という記事を書いた。 手先が不器用で、経費精算の用紙に領収書を綺麗に貼れないという記事だ。 これを公開してもう一年以上が経つが、いまだに私は経費精算をうまくできていない。 いやむしろ、状況は悪化していると言ってもいい。 以前も書いたが、私のいる会社での経費精算のワークフローは次の通りだ。 まず社内システムから経費精算申請を上げる。このとき申請フォームを用紙として印刷し、領収書を糊付けして、領収書提出ボックスに入れる。するとこの用

親の前でカマトトぶっていた頃

子供に向けて使う言葉というものがある。 車の「ぶーぶー」、犬の「ワンワン」などはその代表格だろう。 これら幼児語と呼ばれる言葉は、子供の発話を促すため、大人から子供に向けて使われることが多い。 子供に向けて使う言葉は、それらだけではない。 もう少し喋れるようになった幼稚園児ぐらいの子供に向けては、「お人形さん」とか「ゾウさん」とか、「さん付け」をして擬人化した言い方をすることもある。 これは、親から子供に使う場合もあれば、子供自身が使う場合も多い。 さて、高校生の

社長がツイッターを始めた

社長がツイッターを始めた。 実名で、アイコンも社員証につけるようなキチッとした顔写真で。 このことは、社内の掲示板で大々的に報じられた。 何を今更ツイッターなんか――そう思っていると、今度は同掲示板で、「簡単! ツイッターアカウントの作り方」という記事が公開された。 内容はタイトル通り、アカウントの作り方を懇切丁寧に伝えるものだった。 それを見て、私はまた何を今更ツイッターなんか――と思った。 だが、兎角会社が、社員にツイッターをやらせたがっていることだけは分かっ

嘘をつくことばかりがうまくなっていく

仕事の昼休憩に、近くのコンビニまで昼食を買いに行った。 いつもは住宅街の路地に面したコンビニに行くのだが、その日は気まぐれで、交通量の多い交差点に面した方のコンビニに向かった。 レジ袋を断り、手に弁当を持って店を出たところで「あの――」と、聞き覚えのない声に話しかけられた。 なんだろう? と思って振り返ると、そこには見たことのないスーツ姿の若い女性が立っていた。 「あの、私新卒で、研修の一環で街頭アンケートとってて――」 彼女はそう言い、嗚呼なるほど、と私は思った。

安くなった服ばかり買うから

服はいつも安いものばかりを買ってきた。 ユニクロとか無印良品とか、そういう量産品ばかりを買ってきた。 あまりファッションに興味がなく、そしてそういった「興味のないもの」に対し、お金をかけたくないという気持ちがあったからだ。 それでも、自分で言うのもなんだが、大学生の頃よりはコーディネートとか、そういう「服に関したこと」に詳しくなったと思う。 会社で私服勤務が実質的に義務化されたこともこれには関係している。 どうせスーツでない「自身の服」を着ないと、そしてそれを披露し

どのように、どの程度に男らしくあるべきなのか

社会をわたっていくにあたって、男性はその男らしさ(マチズモ)をどのように、どれほど表現するべきなのだろうか。 そんなことについて、最近しばしば考える。 けれどもその答えは、いまだに出ていない。 そもそものきっかけは、私の職務内容の変化だった。 これまでは社内にて開発業務に従事することが多かったのだが、今年の1月から、急に客先に赴く機会が増えた。 またそれに伴い、男性の営業職社員と共に仕事をすることも増えた。 コロナウイルスがまだ国内に入ってくる前、社内で飲み会があ