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やはり経費精算とは友だちになれない
以前、「経費精算とは友だちになれない」という記事を書いた。
手先が不器用で、経費精算の用紙に領収書を綺麗に貼れないという記事だ。
これを公開してもう一年以上が経つが、いまだに私は経費精算をうまくできていない。
いやむしろ、状況は悪化していると言ってもいい。
以前も書いたが、私のいる会社での経費精算のワークフローは次の通りだ。
まず社内システムから経費精算申請を上げる。このとき申請フォームを用紙として印刷し、領収書を糊付けして、領収書提出ボックスに入れる。するとこの用紙が経理部に送られ、経理部はWEB申請と用紙を突き合わせて承認の可否を決める。
私はこの「糊付け」がうまくできないと記事に書いていた。
それは今もきっと変わらないだろう。
では、どうして「悪化」したと言えるのか。そもそも、どうして「だろう」と推定の言葉を書かなければならないのか。
それには、私のパソコン事情が関係している。
春。
業務の内容に抵触するため理由の詳述は避けるが、私のパソコンがそれまでのWindowsマシンからmacbookに変更された。
これにより、私は多くの社内システムが使えなくなってしまった。というのも、システムの多くはWindowsを前提に作られており、私のパソコンからアクセスしてもそこには真っ白な画面、虚無が映し出されるだけなのだ。
つまり私は今、領収書の「糊付け」がどうこう以前の問題に悩まされている。
「社内システムから経費精算申請を上げ」られないのだ。
これでは、いくら「脱紙業務」が進められようとどうしようもない。
この問題については、しかし、このような意見もあるだろう。
それはもはや「経費精算と友だちになれない」ではなく、「社内システムとは友だちになれない」こそが正しい言い方ではないか――。
無論、ある時期まで私もそう考えていた。
毎月の給与明細は見られない。資料の印刷もできない。人事システムにも入れず、人事考課の目標設定もできない。
たしかに私は、社内システムを憎むべきフェーズにいたのかもしれない。
だが、それらはその実なんとかできなくもなかった。
給与は「手取り」なら振込額で分かるし、資料の印刷はテレワーク主体となった昨今ではやる機会も激減したし、目標設定は毎半期ごとでしかなく、また上司に入力の代行が出来た。
だから、不便さや苛立ちを感じることこそあれども、なんとか「やれなくはない」範囲であった。
しかし、ある時期を境に、私はそうも言っていられない事態に直面することとなった。
定期代の支給制度が廃止されたのだ。
それは会社が打ち出した、「ニューノーマル」対応施策の一環だった。
テレワーク主体となった今、定期代の一斉支給はナンセンスである。
それよりも通勤費を都度経費精算してもらうほうが合理的である。
実際の、根本の意図は推し量りかねるが、兎角そういうお題目で、定期代の支給制度は廃止された。
さらに間が悪いことに、これと時期を同じくして私の業務内容にもまた変化があり、テレワークでなく実際に出社をする比率が上がることとなった。
つまり、ここに来て申請すべき経費精算の項目が増えたのである。
社内では、交通費の場合、新幹線などを使用しない限り領収書の提出は不要であるという規定になっている。
だから、手先が不器用ゆえの問題は発生しない。
しかし、先述の通りそもそも「社内システムから経費精算申請を上げ」られないので、そこが解消されようと全く解決とはならないのである。
会社に向かう。
改札で、ICカードでタッチして、「ピッ」という支払い音を聞く。
そのたびに、「ああ、これも経費精算しなきゃな」と思っては、上述の問題に思い至る。
私のパソコンは、まだしばらくはmacbookのままらしい。
だから、私は改めてこう独りごちるのだ。
経費精算とは、やはり当分友だちになれそうにない。
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