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「楽単教えようか?」

2年前、大学の入学式があった夜。

僕は学部の新入生歓迎会に参加した。僕のいる学部には3つの学科があるのだけれど、その3つの学科の新入生が集まって初対面でおしゃべりをしたり、ご飯を食べたり、ちょっとしたゲームをしたりするというもの。

今思えばその時その会に参加した自分の行動力はすさまじいんだけど、その時学部の先輩から言われた一言が未だに忘れられない。

参加してみたもののコミュ力は低いし、その場を盛り上げるようなおもしろさを持ち合わせていない僕はなんとなくその場でただ飯。その会は2部制で、1部が終わった段階で「帰りたかったら帰ってもいいよ」というアナウンスが入った。

だけど、せっかく参加したんだからと思って2部にも参加。2部ではさっきまでとはまた違う人たちと同じ席に座らされて緩~くおしゃべりをした。そして2部もそろそろお開きかという頃に学部の先輩から「楽単教えようか?」と言われた。

…ん?

なんとなく自分の中に引っかかるものがあって僕が少し黙り込んだからか2人の間になんとも言えない気まずい時間が流れたことを覚えている。

結局その場では「あ、いや、別に…」みたいな感じでやんわりと断った。多くの人なら「え、楽単教えてください!」と少し食いついていくと思うし、その方が先輩も気分が良いんだろうけど、それは少し違うような気がした。

それは今もそう思っている。

例え目の前にいる後輩が同じ学部でも違う学部でも本人なりに努力をした結果大学に合格しているのに最初に「楽単」を教えるというのはいかがなものかと思う。

大金をはたいて楽単を取っても面白くないだろうし、どうせなら自分の興味のある授業を取ったほうが楽しいじゃん。

もちろん授業がどんな感じなのかとか、先生がどんな人なのかとか、どういう評価基準があるのかとかを教えるのは講義を選ぶ上で重要だから教えるべきだと思うけど。そういうのを抜きに「これ楽単だよ」と教えるのはあまり好きではない。

ただ中身を知った上で楽単を選ぶならそれはご自由にどうぞって思う。

変にこういうところで真面目さを発揮しちゃうところが僕の良くないところ。それに楽できるところを知って力を上手に抜ける人の方が人生上手くいきやすいんだろうけど、そこだけは譲れない。

自分が受ける授業くらい自分でこだわりたいから。

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