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タルパ -あなたの孤独を癒やしてくれるかもしれない不思議な友人-

コロナ禍で人となかなか会えず、孤独を感じている方が多いと思います。
また、SNSの発達で気軽に他人と繋がれる世の中になりましたが、そのせいで余計に孤独を感じるようになった、と答える人も多くいます。(私も心当たりがあります)

最近、興味深い記事を見かけ、詳しく調べてみると想像以上に奥深い世界に踏み込むことになりましたので、紹介したいと思います。

タルパとは

タルパを一言で説明すると、意図的に生み出したイマジナリーフレンドのことです。

イマジナリーフレンドとは、子供時代に見られる空想上の友達のことで、一人っ子など一人で遊ぶ時間が多い子供によく現れます。

イマジナリーフレンドがなぜ現れるのかはわかっていませんが、孤独の苦しみを埋め、心を守るための保護機能という説があります。

一般的にイマジナリーフレンドは成長に連れ徐々に見られなくなり、本人の助けになることはあっても害を為すことはありません。
そのためイマジナリーフレンドは正常な現象であるとされ、病気とはみなされていません。

タルパとは、大人であっても見たり、聞いたり、感じたりすることのできるイマジナリーフレンドのことで、経験を積めば誰でも生み出すことができるとされています。

ちょっとまって!それはただの幻視や幻聴でわざと統合失調症になるということじゃないの!?と、思われる方もいるかも知れません。

統合失調症はドーパミン伝達の亢進(ドーパミン仮説)やNMDA受容体の阻害(グルタミン酸仮説)等によって起こると言われる脳の病気で、よくある症状が、妄想や幻覚です。

注:幻覚とは幻聴、幻視、幻嗅といった実際には感じていない感覚の体験のことで、統合失調症の症状は幻聴が主で、幻視は稀と言われています。

実際にないものを感じるという点では同じですが、私はタルパと統合失調症で見える幻覚は別のものだと考えています。

統合失調症によく見られる幻聴や妄想は、自分は嫌がらせを受けている、誰かに監視されている、バカにされているといったものです。

しかし一方でタルパの幻覚は、自分の孤独や社会的不安を和らげ、自分を肯定してくれる存在であるというケースが多く、その存在は満足的な関係として受け入れられています。

私はタルパという存在は、漫画家によく見られる「キャラクターが動いて見える」、という現象に近いのではないかと考えています。

一から漫画を作るとき、キャラクターの設定を細部まで考える必要があります。
キャラクターの名前、性別、年齢、顔や体つき、性格、バックグラウンド、etc...キャラクターをリアルな存在として作り上げる、文字通り、命を与える工程です。

実はこの工程は、タルパを作り出す工程と全く同じなのです。

漫画家がタルパを持っていたのではないか、という例を紹介したいと思います。
漫画の神様、手塚治虫です。手塚氏の漫画を読んだことのある方ならわかると思いますが、彼自身が漫画の中に登場し、キャラクターとやり取りをするメタ演出が多々あります。

その最もたる例がこれだと思います。

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これは、七色いんこ 第42話の一場面です。
背景を説明すると、主人公の七色いんこがいきなり心身症を患ってしまいます。心身症を治すために催眠療法にて、心身症という設定を付け加えた作者に、取り消すよう直談判する場面です。
(主人公は、作者が漫画を面白くしようと、勝手に病気設定を付け加えたのに気づいていました。この後の展開では「描いた漫画を汚すぞ」、と脅して心身症の設定を消させます)

これは今までただのメタ的なギャグの一つだと思っていたのですが、タルパという存在を知って考え直してみると、

病気の設定を(新たに)勝手に植え付けられて怒った主人公が、怒鳴り込んできたのは、本当に(現実に)起こったことなのではないか、

と思わずにはいられないのです。

手塚氏は漫画には一切妥協しないという姿勢で有名であり、キャラクターの作り込みにも並々ならぬ情熱があったはずです。
彼の生み出したキャラクターたちは、文字通り命を持って、作者と一緒に漫画を創り上げていたのではないかと思います。

また、手塚氏の作品で、イマジナリーフレンドの存在を彷彿とさせる作品は他にもあります。

モンモン山が泣いてるよ」という作品は、手塚氏の子供時代をモデルとした作品ですが、白ヘビの化身と称する男と出会っています。(実在の人物なのか、ハッキリと描写する事は避けています)

雨ふり小僧」は友達のほしかった主人公が、古傘の妖怪と出会う漫画です。子供に忘れられた(=必要なくなった)イマジナリーフレンドをモチーフにした作品だったのではないかと、今になって気づきました。

るんは風の中」では孤独な主人公が、ポスターの少女に話しかけられ、仲良くなるという作品です。一見、現実離れしたファンタジー作品とも受け取れますが、実はある意味、非常にリアリティのある作品です。

というのも、この作品にはタルパを形成する上で非常に重要な教訓が含まれているからです。

それは、「実在する人物や、継続中の作品からタルパを作ることは要注意である」という点です。ネタバレになるので明言は避けますが、作中でポスターの中の少女と、ポスターのモデルとなった現実の少女との間のギャップに苦しめられることになります。

これは実際のタルパ形成においても注意するべき事項であり、例えばタルパのモデルとなる人物やキャラクターが死んでしまったり、まるで別人のようになったら、現実と脳内の整合性が取れなくなり脳が混乱してしまいます。

このようなリアリティのある描写は経験しなければ描けないはずなので、おそらく手塚氏は過去に似たような経験をしたのではないか、と言うのが持論です。

まだまだ語りたいのですが、これ以上書くと手塚漫画を紹介するnoteになりそうなので話を戻します。

つまり、言いたかったこととしては、タルパは自分を助けてくれる存在であり、幻覚を感じるのは病気ではないということです。

そもそも病気とは、不都合なことが起こって初めて病気となるので、ポジティブな影響が出ていて、周囲に迷惑もかけないなら、どんな異常が出ようが、病気でもなんでもないのです。

最後に

このnoteを読んでタルパを創りたくなった方、googleで「タルパ」で検索しようと思っていたら、ちょっと待ってください!

日本語の文献で見つかるのは、2chのまとめとか、知恵袋とか、怪しいスピ系の情報ばかりで体系立てたガイドが全然見つかりません。

そこでおすすめなのが、海外のサイトです。Tulpa.infoというサイト(フォーラム)ば、タルパ関係の一番大きなコミュニティで、タルパを形成するための手順書である、良い「ガイド」がたくさん見つかります。

「ガイド」と強調したのには理由があって、ガイド認定されるためには、承認チームによる査閲をうける必要があり、承認されたものだけがガイドになれます。

という理由で日本語の文献を探すよりも、上のサイトを参照する方がオススメです。すべて英語で書かれていますが、現在ではgoogle翻訳やdeeplといった優れた機械翻訳があるのでそれを使えば普通に読めます。

ガイドを機械翻訳した場合、日本語では意味がわからなくなる用語が多々あるので、解説したものを作成しました。


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