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コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.6『投資判断の方程式』

【即戦力となる実践的な考え方とテクニックが学べるnote】
(⚠有料化を検討中の記事)

足を引っ張る大企業』『ベンチャーを支える大企業』どちらになるかはCVC担当の腕次第。

前回記事vol.5はこちらから。

〚投資判断の方程式〛
=①市場成長性
×②経営者の魅力度
×③ビジネスモデルの優位性


②経営者の魅力度

〚投資検討(意思決定プロセス)で起こりうる失敗〛


 この『経営者の魅力』について投資検討の議論をする際にも、注意すべきポイントがあります。
私が実際に失敗した事例を元に代表的な例をお伝えしたいと思います。

失敗の代表例
①起業家の想いが伝わらない
②正しい財務状態の理解
③既存株主への印象



1つずつ説明していきます。

①起業家の想いが伝わらない

〚熱意は届けるまでに冷めてしまう〛


 投資検討会議では、起業家が「なぜ起業したのか?」「なぜあなたでなければならないのか?」を共有し、経営者としての覚悟を評価するわけですが、当初の私は起業家からヒアリングした内容を私がまとめて報告をしていました。
 しかしながら、文字に興したり、語り手が本人でないということで、本意が伝わらずに議論が生煮え状態で終わることが多々ありました。更には起業目的に対する質問にも私が答えるには中途半端すぎてグダグダになり、議論が進まないということもありました。
 やはり熱意は直接伝えなければ伝わらないのだと身に沁みて感じたわけです。
 そこからは投資検討委員会で投資を議論するボードメンバーには事前に起業家や事業のキーマンにお会いいただいて、熱意に関する質問や思考回路が分かるような質問を一通り済ませてもらうことにしました。
ここで一番重要なことは『投資検討側が経営者の顔が見えていて、パーソナリティに触れた上で投資検討をする』ということです。
では、具体的なテクニックとして私が実践していた手順を共有します。(より具体的なデューデリジェンスと投資検討プロセスについては今後記事化を計画しています。)
ここでのポイントは『起業家のパーソナリティと熱意を知ることに集中できる環境を作る』ことです。

起業家の熱意を共有する手順

①市場成長性とビジネスモデルにつての概要を投資検討メンバーには事前に共有し、事業の成功可能性を見出しておく。→事業を理解していない状態で起業家と会うと事業理解のコミュニケーションだけで終わってしまう。

②その上で、起業家との顔合わせMTGをセット。できれば事業上重要なキーマンもアサイン(例えば、CXOなど)。

③起業家とは事前に想定される質問を共有し、回答の準備をしていただく。

④投資検討メンバーには事前に聞くべき質問項目を共有し、議論の枠組みから大きくはみ出ないように管理する。

⑤MTG当日、最初の10分と最後の10分は起業家のパーソナリティが分かる雑談を必ず入れる。お互いの個性の理解がとても重要になる。

⑥必ず宿題を作ってコミュニケーションを断絶させない(MTG中に不完全燃焼のある議題あればそれを次回に持ち越す)。

 繰り返しになりますが、このような流れで、MTG当日は『起業家のパーソナリティと熱意の話に集中できる環境を整える』ことに専念できれば最高です。
市場認識やビジネスモデルの議論に反れてしまうと関係構築ができないまま終わってしまうため、信頼関係などが作れずに投資検討に進むことになります。
投資とは優れた事業かどうかを判断する以上に『成功に導ける起業家かどうか』が非常に重要になるので、投資検討プロセスにおける関係構築は重視すべきだと考えます。

②正しい財務状態の理解

 誤解を恐れずにいえば、ベンチャー企業の財務はかなりいい加減なことも多く、、、

↓続きの記事
コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務 vol.7 『投資判断の方程式』 https://note.com/mem_yu/n/n9570146d37a5


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コーポレートベンチャーキャピタルCVCの実務
『投資判断の方程式』
vol.1 
https://note.com/mem_yu/n/ncf37cb4ada05

vol.2 
https://note.com/mem_yu/n/nbbd472dec8bc

vol.3 
https://note.com/mem_yu/n/n32aa50231a8a

vol.4 
https://note.com/mem_yu/n/nd86d604f9842

vol.5 https://note.com/mem_yu/n/n639780b736b2
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vol.39

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