星屑

貴方を想って、零れてしまったものたち。

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恋に堕ちる、その瞬間

あなたを好きになった、二十歳の五月。 思えばわたしの人生はあの時から漸く始まった。 それまでのわたしは身体だけ同じ、 記憶が引き継がれるだけの別のひと。 いのちのことをよく灯火にたとえるが、 わたしという有機物がまさしく灯されて 閃光を発し始めたのはあの瞬間 ────一歩。 哲学部に、はじめて踏み入る。 雨上がりと古本が混ざった甘くて不思議な匂い、つんと鼻をくすぐる。 とても綺麗とは言えない、箱同然の部室。 外はまだ肌寒かったのに、所狭しと詰まった学生のおかげで中は熱っ

    • 綿矢りさ「 ひらいて 」感想

      ♡⃛ ネタバレ無し ♡⃛ 既読/未読でもよめます 感想文のような、推薦文のような わたしがほんとうにすきですきで堪らない作品なので愛を込めて語りました。と言いつつ、私語り多め。しょうがないです、ネタバレしちゃだめなので。 美雪→「 ひらいて 」の主人公の恋敵のおんなのこ “あの娘”→わたしがいろいろな意味で嫉妬しているおんなのこ 彼→わたしのこいびと 𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃 狂おしくどす黒い情と、繊細に紡がれた文章のコントラストが強烈な作品。少女らしい回想と日常

      • 自己陶酔でいいのだから

        去年に書いた、どれよりもお気に入りで 大切な文章。 人生の指針。 ・ 今から書くことは一般的に随想と呼ばれるものだけれど、私はまるで小説のように書きたいと思う。 私の人生は小説のようにロマンに満ち溢れていて、煌びやかで、ドラマチックだからだ。 少なくとも、自分の中では。 そう、他人にとってはありふれたただの女学生の人生。小説のように高尚な物語だとは思わないだろう。ありふれているのに固有の美しさがある、それが人間の人生である。 だからあなたの人生は私の人生と同様にこんなに

        • 浪漫主義エステティカ

          夏の夜なので 涼しげに、語ろうと思う。 「 美しいものに心を揺さぶられた時 」 について。 ・ ☽⋰ ・ 例えば去年、この作品を中之島美術館で見た時。 栓がひとたび弾け飛んで、 清らかな水で満ちていくように。 感情という感情が、洪水を起こす。 一瞬 一瞬だけだけれど、 世界が、全て無に帰る。 息が止まる。 死んでしまいそうになる。 そして刹那、無が有となる。 酸素が飛び込んできて、生命が溢れ出る。 光とか色とか ぜんぶ虹彩に取り込まれて、 やっと処理できた感

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        恋に堕ちる、その瞬間

          愛するということ

          雨降る喫茶店で、貴方と話し合った。 プリンの隣のアイス・クリームは解けて、ダージリンのお紅茶はひえてしまうほどに。しっかりと、時間をかけて。 議題はすなわち、 愛するとはどういうことか。 貴方とわたしの間にある「愛」とは何か。 元はと言えば、喫茶店に入る前行った書店にフロムが置いてあったせいだ。モネの画集を購入してさっさと過ぎればよかったものを、その本の純白さは目を引く。わたしたちは小さな哲学者だから、尚更。 話を降った私が先に仮説を発表することにした。 愛とはすなわち

          愛するということ

          これだけの幸せ、これほどの幸せ

          今日は起きてすぐ身体の色んなところがすごくいたくて、こわれてしまいそうだと気づいた。 だからバイトを休んで、布団にくるまって、幼い生き方に還った。 恋人はこういうとき、いつも世話を焼いてくれる。今日もお昼ご飯を作って家事をしてくれて、隣でお腹を摩ってくれて、薬局にお使いまで頼まれてくれた。 あとはたいていわたしを横目で気遣いながら、自分の趣味や課題に取り組む。 だけれど、今日は違った。 いつものように世話は焼いてくれたが、 今日は彼もいっしょになってくれた。 お昼、彼の

          これだけの幸せ、これほどの幸せ

          貴方の傍で綴る、密やかなラブレター

          上から下で、新しめなものから古めなものに ひとりで呟いてきたけど、 ほんとうはあなたに読んでもらいたい 愛のことばたち .˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚. 見ているだけで泣きそうな、 いや、 泣いてしまうくらいあなたが好きだよ これから離れるかもしれない 一抹の不安のかなしなきと これからずっと一緒かもしれない 奇跡を想像してうれしなき .˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚. わたしはあえて、あなたの寝顔を撮らない この先もずっと何回でも見ら

          貴方の傍で綴る、密やかなラブレター

          きらきらしていて

          .˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚. 昔から、日常を綴っておくのがすきだった。 だって、忘れてしまうから。 隅にいたちょこっとのときめき、 複雑に解け合う空の色、 微かに香る季節の匂い。 そういうの全部、 どこかに閉じ込めておきたいから。 脳裏に残しておくと すぐにぱりんと割れてしまって 思い出せなくなる硝子たち、 全部ジュエリー・ボックスにしまっておくの。 あなたといた日々を、 人生最期の日も思い出せますように。 ( 六月十日 藍色に染まる4時すぎ )

          きらきらしていて