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”偏愛”があるから、ブランドがブランドであり続けられる

“素材への偏愛”

漂着ゴミのアクセサリーをつくる「UMIUMI」のデザイナー・得本さんとお話しして、パッと閃いた単語はまさにこれだった。

得本さんと初めてお会いしたのは、2019年秋に大阪・芦原橋で開かれたアップサイクルをテーマにしたイベント「CLEANING DAY 2019」。私は衣類交換会「カタルフク」のスタッフとして参加していて、UMIUMIさんとはブースがお向かい同士だった。

この日の私には衣類交換会の成功の他に、裏ミッションを持っていた。それは、まだ影も形もない自分のショップで取り扱わせてもらえるアップサイクルブランドを見つける、というもの。

UMIUMIさんのブースを訪れたのは会の後半。商品を見せてもらいながら、「なんで漂着物でつくろうと思ったんですか?」ときいたところ、「海岸でこういうのを拾い集めるのが昔から大好きで、家に山ほど溜め込んでいて…アクセサリーにしてみたんです」というエピソードを語ってくれた。

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アップサイクルブランドってみんな、初めからエシカルマインド、エコマインドを持ってやっていると思っていた私にはそれが衝撃だった。と同時に、「こういう素材への偏愛を持っているから、アップサイクルブランドができるのか」と納得した瞬間でもあった。

それから1年ほどかけてショップの構想を進めていく中で、この会話はコンセプトの土台みたいなものになったし、取り扱わせてもらうブランドさんの選定基準にも大きく関わった。"素材への偏愛”。これがあるからこそ、ブランドはブランドとしてものづくりを続けていくことができる、と確信したのだ。”社会のため”が一番では、ものづくりに情熱をかけるのは、なかなか難しいことだと思う。

やがてつくりあげた私のショップのコンセプトは、「時代をつくる、いとしきものたち」。そう、まさにこの確信から生まれたものである。

エシカルブランドをセレクトしています、という社会的意義を押し出しつつも、譲れないのは「いとしさ」であり、各ブランドの「いとしさ」=「つくり手の偏愛」を引き出すことで、このショップを成り立たせたいと考えた。

インタビューでは必ず、”一番いとおしく思うところ”を聞くことにしている。その返答は本当にそれぞれで、しかも意外なところだったりして、それが私としてはすごくおもしろい。

得本さんの返答は、やっぱり素材のことだった。「このガラスの欠片が何十年も漂流して丸くなっていくことを考えると、たまらなくいとおしい」と。砂浜の清掃活動を目的としている人からはこんな言葉は生まれないと思うし、こんなに漂着ゴミをいとおしく思うからこそ、こんなに繊細で美しいアクセサリーがつくれるんだと思う。

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UMIUMIさんとの出会いがなかったら、ショップコンセプトは「エシカルブランドのストーリー」止まりだったと思う。ブランドがブランドであり続けられる理由=いとしさ、ということに気づけてからは、モヤっとしていたエシカルショップの構想がトントンっと進み出した。

いとおしさが商品のつかい手にも伝われば、簡単に捨てたりなんてできないし、ずっと使っていきたいと思う理由にもなると思っている。

そして今、私がショップを続けられる理由は、つくり手のみなさんの「いとしさ」を聞き出して「そこだったんだ!」と気づかされることや、それを言葉で紡いで世に発信することを、いとおしく思っているから。

いとおしい、なんていうフワフワした言葉だけど、実はサスティナブルな時代をつくっていくのは、そういう内面の感情の部分なんじゃないかなって思いながら、このショップを続けていくつもりだ。


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