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未活用の資源から生まれた「巡り巡る」がかたちづくる日常は、子どもの可能性を広げ、ほしい未来をつくる。

STORY06:まちぐるみで生産するアップサイクル「巡り巡る」

つくり手のストーリーを通じてつかい手と“いとしさ”を共有するエシカルオンラインショップ「メルとモノサシ」に掲載中のブランドストーリーをnoteでもご紹介しています。ブランドさまへのインタビュー記事です。

未活用の資源から生まれた「巡り巡る」がかたちづくる日常は、子どもの可能性を広げ、ほしい未来をつくる。
「巡り巡る」浦田さん・在間さんのSTORY


きっかけは2018年、浦田さんが出産をしたことでした。

「浦田:自分のほしいと思うマザーズバッグやベビーカーバッグになかなか出会えなかったので、テント生地でつくってもらったら、軽いし拭けるし丈夫だし、すごくよかったんです。穴があくんじゃないかってくらい使い倒しました。

このコロナ禍で、子どもを連れて外に行くのも気をつかいますよね。Roofでは子どもを“未来そのもの”と捉え事業軸の一つにしていることもあり、親のストレスを少しでも減らし、子どもの“らしさ”を受け止める余裕につながる商品ができないかなと、前身ブランドの「ethical HARIMA」を「巡り巡る」と改め、育児アイテムに特化することにしました。

その名のとおり“資源の循環”を意識し、地域で廃棄される運命にある、安全で未利用の素材を原材料にしてものづくりをしていくつもりです。

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浦田さんが共同代表を務める合同会社Roofは、兵庫県の播磨町でクライアントワークをメインとする小さなまちづくり会社。ものづくりの事業を始めたのは、「地域の新しい特産品になるような記念品をつくりたい」というクライアントからの依頼を受けたことがきっかけでした。

「浦田:アイデア探しのために地域の歴史文脈を辿っていったら、古くから続く工業用フェルトの工場で再生フェルトの在庫に出会い「何かに使いたいな」と感じたり、播磨町にはリサイクルセンターがあって資源の再利用に注力していることを知ったりして、「単純に消費されるだけのものではなく、未来に続くメッセージ性のあるものをつくりたい」と考えるようになりました。

そこで「播磨町の“ありたい暮らし“をカタチにする贈り物」という企画コンセプトで、記念品とあわせて地域で出た廃材を活用した持ち帰り用バッグ提案したんです。結局その案はボツになっちゃったんですけど、この企画って私たちにとって大事だな、と思って。なんとかこれを自主事業に育てられないかと、2017年にテント生地の廃材(未利用の残反)を使ってバッグやポーチなどをつくったのが「ethical HARIMA」です。共同代表の佐伯が中心になって、地域の職人さんたちといろんな可能性を探っていきました。

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生産は当初から「まちぐるみでつくる」という体制。そこにはまちづくりの会社ならではの、地域とのつながりがいかされています。

「浦田:私たちが商品の企画をして、地域の職人さんと一緒に開発し、縫製を依頼しています。なるべく地域の資源を使って地域に還元する形にしたいと思っていて。

このために職人さんをわざわざ探したわけではないんです。まちづくりのお仕事をする中で知り合った雑貨屋さんがアイデアを形にするのがすごく上手な方で、「何か一緒にできないかな」とずっと思っていて。その方から「これをつくっているのはこういう人だよ」「この素材はここからもらっているんだよ」とまちの多様な人材につながっていきました。

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素材についても、「廃材で何かつくりたい」と口にしただけで、地域の人たちが「こんなのがあるよ」と声をかけてくれたそう。また、商品の発送を担当するのは、別のプロジェクトを機にいい関係性を築いてきた福祉支援施設のみなさんの予定。Roofの日々のまちづくりの中でできた人脈がここでつながっています。

「浦田:Roofのお仕事では、地域の方たちとのプロジェクトを一つひとつやっていく中で、みなさんが“本当は何をやりたいのか”を聞きたいな、自分自身も言いたいな、っていうのがあって。それをなんとなく覚えていてどこかの段階で形にしていくっていうのが、プロセスとしてあるのかもしれないですね。Roofの持ってる財産ってなんだろう?と考えたときに、そこなんだろうな、と。

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「巡り巡る」のブランドコンセプトは「私たちの“ほしい未来”をつくる」。文化人類学者マーガレット・ミードの「The future in now」という言葉をヒントにしています。

「浦田:未来は今の私たちの選択一つひとつでつくられていくと思うと、子どもが最初にふれる“日常”をかたちづくる環境に対してどういうものを選んで使うのか、贈るのか、ということを通じて社会全体をデザインしていけたらいいなと。そしてできるだけ手に届く価格で、エシカルな消費をする選択肢を子どもの身近につくることが、豊かで持続可能な未来につながるんじゃないかと考えています。

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とはいえ、最優先にしているのはあくまで商品の使いやすさ。育児のストレスが減り、より楽しめるようになれば、親はもっと子どもに関わりやすくなり、子どもの個性を尊重するようになり、子どもの未来の可能性が広がる。その考えは機能面にしっかりと表れています。

「浦田:在間と2人で市場調査をいっぱいして、マザーズバッグの口コミに多かった『ポケットがありすぎても使いにくい』『重たすぎる』『肩紐が食い込む』『高さが足りない』というような不満を全部クリアしたり、全部の機能を一つの商品に盛り込まず、機能やカラーをお好みで組み合わせられるようにしたりと、育児経験者の人が「これだったら使いやすいよね」と贈りたくなるようなものを目指しました。

あえて“ペアレンツバッグ”とうたい、夫婦や複数人で共用しても何がどこにあるかが分かりやすく、すっきりカッコよく使えるデザインにしたのもポイント。たくさんのこだわりを実現できたのは、デザイナーの在間さんと職人さんたちによる試行錯誤の賜物です。

「在間:テント生地はすごく分厚いので、熟練の職人でも縫製が難しいんです。布地のようにマチ針で止められないし、針穴が目立つから失敗は許されず縫製は一発勝負。全てのこだわりを盛り込んだら一つの商品の縫製に7時間かかってしまうなど、機能性と実現性のバランスが本当に難しくて。市場に同じような商品がない理由がよくわかりましたし、だからこそ“本当に使えるもの”になったと自負しています。

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テント生地の残反は色も形もバラバラで、探しても同じ色には出会えません。生産の段階でロールごとに少しずつ色が異なるためテントメーカーが商品の補修用に保管するものの、日に当たり色褪せてしまった商品には使えず大半が廃棄になってしまうという背景があります。

「在間:廃材になってしまう原因が、「巡り巡る」ではたくさんの色を楽しめるという魅力になっているんです。これからどんどん、いろんな組み合わせのパターンができていくんだな、どんな表情にもなるんだろうなっていうのが、楽しくていとおしいところ。そんな有限性を楽しんでもらいたいですね。」

今後はテント生地に限らず、“巡る”資源にこだわり、地域の未活用の紙や木、食材などいろいろなものを使っていく予定だそう。

浦田:やっぱり地域の方とのつながりが深くて。今は、地域にある素材を使って安心安全な形で提供するベビー用の食品のアイデアなんかが出ています。海外にはまだ日本にないような育児商材があったので、そういったものもつくっていきたいですね。


未活用の資源が、まちの人びとの手によって子どもの日常をかたちづくるものになる。そのサイクルが子どもの未来、ひいてはまちの未来につながる。まちづくりの会社だから描けるこのビジョンを、イメージしながら使っていきたいと思いました。

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