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大仙市のキッチンカー「髙梨商店」さんと話して、地域に根ざすキッチンカーって最高!と思った話

こんにちは。広報の小関(@kosekine)です。昨日は東京で初雪がふりましたね。ふりしきる雪を眺めて、秋田の皆さんは雪のなかどんな風に過ごしてるんだろう…と思いを馳せながらこの記事を書いています。

昨年10月に、地場の企業さんにSHOP STOP(※)を運営していただくという初めての直営以外のかたちとして、「SHOP STOP秋田」がスタートしたんです。※SHOP STOP=(株)Mellowが運営するキッチンカーなどの移動型店舗の停留所


私もオープン時に現地に行きましたが、秋田で出会ったみなさんのあたたかさがとても心に残っています。

今回は、秋田県大仙市で出会ったキッチンカーの「髙梨商店」さんとお話して、「地域に根ざしたキッチンカーって、可能性にあふれている!」と、感じたことについて書き残したいと思います。大都市圏ではない地域のキッチンカー・モビリティの一つの形として知っていただけばと思います。

大仙市の大地に抱かれた唯一無二の場所

秋田県での初のSHOP STOPオープンを翌日に控えた10月25日、今回ご出店いただく、店舗とキッチンカーを活用した飲食店&仕出し弁当屋「髙梨商店」さんのセントラルキッチンにお邪魔しました。
県内でも特に雪が多いという秋田県大仙市。2020年に旦那さん紘幸さんの地元であるこの土地にAターンした松本さんご夫妻が、築100年以上の古民家をリノベーションして始めた唯一無二のお店です。

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いやもう画力…
地元に恩を返したかったというご夫婦の想いと、土地や建物の持つパワーと、小学校の前という立地のおだやかさとがすべて溶け合って、大仙市のこの大地に、ひとかたならない空気をまとって佇んでいました。
セントラルキッチンとしてリノベーションしたという築100年以上の古民家もまた、ずっと前からこうなることを待っていたかのように、お二人がこの地で行う全てのことを祝福しているのだと思います。

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外に停めてある古い幼稚園バスを買い取って改装したキッチンカー。ここで国産鶏をナラの木のチップでじっくり低温調理するスモーキーなローストチキンを2時間かけて焼き上げています。仲間である有名なアーティストによる手書きペイントは、大仙市の豊かな自然や、伝統の大曲花火、そこに暮らす人々の豊かな情景が描かれていて、なんともあたたかい雰囲気。

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迫力のある入り口。

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無垢のカウンターや土壁、畳といった自然の温もりに包まれる開放的な店内。7ヶ月かけてリノベーションし、解体や仕上げ工事などできるところは自分たちで行ったそう。

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東京で飲食店を営んでいた紘幸さんと、同じく東京で24歳からキッチンカーを切り盛りしてきた妻さとりさん。
その時の調理場は窓も小さかったから「この明るいキッチンは気持ちいいですよ〜やっと穴ぐらから出てこれた感じ(笑)雪降ると家埋まるっすけど」と紘幸さんは人懐っこい笑顔。

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お店の中からも見えるステージはビニールハウスを活用して自作したそう。ちょうど訪れた日の前日には1周年のイベントでライブも開催したんだとか。

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お庭で飼っているにわとりが産んだ本日の「Takanashi Eggs」。いたるところまでかわいい。

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冬に活躍する薪ストーブ。後ろの土壁は、リノベーションで壊した時にはがした土壁をまた手で塗って仕上げたのだとか。

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水〜土曜日のランチタイムはイートインも営業中。

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「懐かしい未来と循環する暮らし」をコンセプトに、地域で愛され続けるお店を目指しているという髙梨商店さん。どこもかしこもなつかしさをくすぐるぬくもりをまとっています。
少しずつ畑や窯、子供たちの遊び場やシアターなんかも作っていき、地域の人たちが集まれる交流の場所にしていきたいのだとか。

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土日にはここで朝市を催し、地域の素敵なお店を招いているそう。地域に根ざしてるお店が多く、ファンの方々がそのお店をめがけて訪れ、30人40人並ぶのもざらなのだとか。6時から並ぶファンもいるそうです。

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左から松本さんご夫婦、Mellowのローカル展開の責任者 西真田、SHOP STOP秋田の運営を担っていただいているトヨタカローラ秋田・秋田トヨペットの齊藤さん、Mellow共同代表石澤(&Mellow広報小関)で、さとりさんが淹れてくださったハーブティーをいただきながら談笑。
おちつく〜〜寝っ転がりたい衝動を抑えてカメ小に徹しました。

さとりさんの明るいのびやかな笑い声と紘幸さんのおおらかな声、ハンバートハンバートのやわらかな歌声がBGMに響くお店の中で、秋田への移住のこと、キッチンカーのこと、髙橋商店さんが今後やっていきたいことをお話ししました。

秋田では実店舗とキッチンカーの相性がいい

さとりさん「こちらではキッチンカーと実店舗の相性がすごくいいなと感じています。私たちも秋田市のイベントへ行ったりすると、そこで出会ったお客さんが市をまたいでもお店に遊びにきてくれるんです。こちらではそうやってお客さんとの結びつきがより強くなっていく感じがします」

紘幸さん「秋田の人は新しいもの好きなんです。でもコンテンツが少ないから、いいお店が出てくると『これだー!』って感じで、遠くてもそのお店めがけて来てくれるんですよね。ぼくたちもイベントでイケてるお店と仲良くなって、うちの朝市に出てもらったりしてます。人気のお店が出てくれるときは30、40人並んでくれますから。そういう結びつきの強さ、お店にファンがつくというのはあるべき姿だなぁと感じています。
おもしろいお店が多いんですよ。平日は全然別の仕事してるけど、土日だけ植物屋さんとか。朝市はみんなに交流してもらいたい、ぼくらも交流したい、一緒に遊びたい、みたいな感じでやってます」

たしかに、キッチンカーで人柄や味に惚れ込んで、この心地よい空間を訪れた人々は、さらに髙梨商店さんを好きになるに違いない。だってもうお二人そのものなんだもん、この空間。田舎のおばあちゃんちができたみたいな、いつでも出入りしていいご近所さんができたみたいな、親しみいっぱいの空気。

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東京で飲食店もキッチンカーも経験したお二人だからこそ、地域の人々との結びつきを強めて豊かな営みを育むこのスタイルに行き着いたのも納得です。
そもそもお二人はなぜ東京から大仙市へ?

紘幸さん「地元に恩返ししたいという想いをずっと持っていました。このお店は若い人にもどんどん挑戦の場として活用してもらいたいなと思っていますし、地元で楽しいことができると感じてもらいたいんです」

さとりさん「私は東京で長いことキッチンカーをやってきました。もともと野外フェスが大好きで色んなフェスに出店していたんですが、お店というベースがあって、色んなところに出店しに行く暮らし方もいいなと思っていたんです。そして食に向き合ううちにのびのびとした環境で自分で育てた食材を使いたいな、という気持ちも強まっていました。だから、夫が秋田に移住したいと言った時も、キッチンカーができるならどこでもいいよと答えました」

そうして移住を決意したご夫妻は2020年に秋田にAターンし、お店をオープンされました。しかし、お店を拠点に機動的な動きができるようキッチンカーも準備したものの、コロナ禍でイベントが中止となり、ほとんど稼働ができなかったそう。

さとりさん「私は秋田に来るまで東京で長くキッチンカーをやってきた経験もあり、キッチンカーなら全国どこでもできるなというイメージがありました。ただ、イベント出店は、例えば100万円分用意しても10万円分しか売れないということも多々あり、土日のそうした出店はボーナスだとずっと思ってきたので、毎日毎日安定した収入を得られる平日の出店が一番大事と考えていました」

首都圏以外の地域では、まだまだキッチンカーといえばイベントでの単発出店が主流で、活躍の場が限られています。

さとりさん「秋田でももっとキッチンカーが平日も安定的に稼動できるようになればなと。今、私たち世代でキッチンカーを始めてる人は、飲食店でも遠くに行きたい、繋がりを作りたい、という人たちなんです。
そうした場をSHOP STOPがつくってくれれば、秋田のキッチンカー業界がもっと盛り上がると思います」

私たちMellowも、地域でも楽しい仕事ができると知ってもらえたら、キッチンカー、モビリティでやってみようかなという人も増えるんじゃないかなぁという思いがあって、こうしたローカル展開を進めています。

そして、その地域の経済をずっと支えて来た地場の企業さんこそ「地域を盛り上げるためにどうすればいいか」ということに毎日毎日向き合っています。だからこそ、私たちがこれまで首都圏や関西、九州でSHOP STOPを運営するなかで得た知見や、長年かけて構築した店舗型モビリティのためのシステムと、地域のみなさんの想いが合わされば、都道府県、いいえもっと小さい単位でも、市、町という単位で、地域の方々が主役の新しいSHOP STOPを生み出していけるのではないかと考えているんです。

さとりさん「でも、秋田とかって本当に田舎の方に来られるのって珍しくないですか?」

Mellow西真田「そうなんです。Mellowとしてもチャレンジです。秋田県は人口減少が著しいエリアなので、日本の中でも早く社会課題が多くなっていく地域ですよね。だからこそ、そこで成り立たせられたらもっと広がるよね、と考えています。店舗型モビリティって首都圏などの大都市だけでしか通用しないビジネスモデルではないと思っているんです。だからこそ今回トヨタカローラ秋田さん・秋田トヨペットさんと一緒に始めました」

さとりさん「なるほど〜!秋田でそういう文化ができていけば、日本全国どこでもできそうな感じがしますね」

Mellowでは今後ますます、こうした直営ではないモデル=ローカル展開の輪を、地場の企業さんとともに広げていきたいと考えています。

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秋田での未来を描く

松本さんご夫婦がそうだったように、秋田でもAターンする人たちが少しずつ増えているんだそう。

紘幸さん「県が移住に力を入れてることもあって少しずつ移住者も増えては来ていますが、本当にこどもは少ないですね。人口の半分以上が60歳以上というような地域ですから」

さとりさん「ニュースでも『一昔前に高齢化は終わった』って言ってるもんね。でもみなさん農業をずっとされてるから60歳、70歳でも若いですよ。死ぬまでずっとやってる、働き続けるみたいな感じ。地域の仕事も高齢の方がやり続けていて、次の世代に継承されていないんですよね」

紘幸さん「他の地域よりもその継承の作業が遅れているんじゃないかと思うんです。昔からやってるお祭りなどもまだぼくらのオヤジ世代がやってるのか〜っていう。元気だからやれてしまうというのもあるんだけど、ぼくらの世代が引き継いでいければなと。そこが変わっていければ秋田もだんだん力強くなって行くのではないかと思ってます」

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Mellow石澤「コロナ禍もきっかけに、これから地域にずっといようっていう人が増えていきますよね。こっちでも楽しく仕事ができるんだって知ってもらって、それが一つモビリティって職業でもいいのでは、と思ってるんです。人が減っていく中で、固定の店舗を構えてずっとその場所にいなきゃいけないっていうのはハードルが高いですよね。髙梨商店さんのように、お客さんとの結びつきを育みながらキッチンカーでやってみようっていう人にチャレンジできる場をつくっていけたら」

紘幸さん「うんうん、飲食店で働いて独立したいという若い子が目指してくれるとすごいいいなと思いますね」

Mellow石澤「やってみたいという方、どうやってランチで戦えばいいかわからない方がいたら、ここに送り込んでいいですか?(笑)」

紘幸さん・さとりさん「ぜひぜひ、いくらでも(笑)。キッチンカーやってみたいっていう子とか、すでにここに来て色々話してますよ。僕らがわかることならなんでもお話しします」

秋田県でキッチンカーをやってみたい方、キッチンカーをすでに稼動させているけどなかなかうまくいかない方、めちゃくちゃいい先生がここにいます(笑)。きっとキッチンカーのノウハウ以外にも大切なことを教えてくれます。この実家みたいなくつろいだ時間のなかで。

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秋田に移住されてちょうど2年、お店を稼働させて1年と少し。髙梨商店さんが描く未来は、まだまだ始まったばかり。

さとりさん「私たちは店舗も運営しているので、キッチンカーと店舗を併用して運営していくとしても、ランチ以外の時間にキッチンカーを出店するとなると夜の営業に差し支えが出ることもあります。なので、ランチタイムのような短い時間でワっと売ってというモデルだと理にかなってますし、例えば主婦のパートタイムなど、色んな人が始めやすいと思います。私たちも、定期出店場所が増えてさらにキッチンカーを稼働できるようになったら、スタッフにキッチンカーを動かしてもらって、もっとやっていきたいと思っています」

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髙梨商店さんのローストチキンランチボックス

紘幸さん「1年目はまず飲食店として知ってもらって、ニワトリ小屋作ったり畑やったりキッチンカーやったり、1年でちょとずつ。そのうちにいろんな遊び場やシアターなんか作ったり、長いビジョンでね」

さとりさん「わたしたちの未来予想図を絵にしてるんですが、この絵のように、地域の人たちが集まれる交流の場所にしたいんです」

「懐かしい未来と循環する暮らし」。松本さんご夫妻の描く未来に、地域の方々のまぶしい笑顔が見えるようです。

秋田県でのSHOP STOP出店をきっかけに、私たちにとっても豊かな出会いがありました。

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さとりさんの手描きによる髙梨商店さんの未来予想図はHPから見られます。


▼秋田県でのSHOP STOP展開に関するリリース
Mellow、トヨタカローラ秋田・秋田トヨペットと、秋田における店舗型モビリティを活用した地方創生モデルを開始
秋田県でのSHOP STOP展開開始に関する記事
キッチンカーで地方の街おこし…秋田でトヨタ販社とメロウの試み
Mellow・トヨタカローラ秋田・秋田トヨペットが連携、東北初の「SHOP STOP秋田」を開始
▼秋田でのSHOP STOPを運営するトヨタカローラ秋田・秋田トヨペット伊藤社長のインタビュー記事
トヨタ販社がキッチンカー配車 秋田で新興と連携


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