夢と希望はスーパーじゃ買えないから。息子よ、決戦の水曜日
「スーパーいくけど、なんか買ってきてほしいものある?」
ベッドに寝転ぶ息子は、スマホから目を離さず、
「夢と希望」
と、つぶやいた。
いつもなら、ジュースだのアイスだの、買ってきてというのに。ああ、そうだよな、さすがに、いや、まわりが思っている以上に、まだこころの整理がつかないんだ。
コロナで大きな大会がつぎつぎと中止になって。それを目標に、いや、それにすべてをかけ、日々を生きてきた息子。コロナだから仕方ないって、簡単に割り切ることなんて、できるわけがない。
でも、世の中は、学校は、容赦なくまいにちを進めていく。置き去りにされたきもちを抱え、それでも毎日、練習はつづけ、もしかしたらと一縷(いちる)の望みにかけていた大会にも、やっぱり出ることはできなかった。
試合に出たければ…
代替試合がきまった。試合に出たければ、少しでも学校へ。そんな条件を課せられ、ふたたび学校へ挑む日々がはじまった。
小学校の高学年くらいから、もう、いろいろとあって。でも息子は、そのたびに、たちどまって、苦しみながらも、夢と希望をみつけてきた。
なんどもころんでつまづいて。なぜそんないばらの道を選ぶの?と、わたしのほうが耐えられなくなることもある。
でも、夢と希望は、スーパーじゃ買えないから。
わたしにできることは、息子を信じて、信じ抜いて、前に進もうとする息子のサポーターになることなのだろう。
「ちょっとまって、ちょっとまって」
そういう息子を急かすのではなく、どーんと構えていられる、おとなにならなくちゃ。
さあ、決戦の水曜日はもうはじまってる。
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