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相談を身近な場所に置いておくということ。〜相談との距離感が縮まってきた筆者の体験談〜

みなさんこんにちは。
合同会社meguru代表 尾森です。ご挨拶記事を読んでくださったみなさん、ありがとうございました。一歩ずつ、少しずつ、着実に。自社でできることを増やしていきますので、末長く応援いただけたら嬉しいです。
引き続き、「じぶんの取説対話ワーク」のモニターさま募集中です。お気軽に無料相談からどうぞ。


今回の表題はちょっと長ったらしくなってしまったのですが、
「相談を身近な場所に置いておくということ。〜相談との距離感が縮まってきた筆者の体験談〜」と題しました。
相談とはどんな存在なのかを考えてみる回です。



■あなたは、相談するのは得意ですか?苦手ですか?そしてその内容は?

最初に考えてみたいなぁと思ったのがこちらです。
「相談するの、得意ですか?苦手ですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

う〜ん。私は、とても苦手でした。でしたと過去形にしているのは、10年前と今の自分とで比較してみると、前よりも相談は軽やかにできるようになってきた自分の変化に気づいているからです。場面によっては、躊躇し初動が遅れることもありますが前よりは得意になっていると思います。

それから、相談といっても、その内容はさまざま。
私たちの日常にはさまざまな向き合うお題がありますから一口にはまとめられないですが、きっと下記のようなトピックが相談の場で話される内容ではないでしょうか。
筆者の例でいくと、仕事の業務内容について相談することはよくあるのですが、自分の生き方や家族との人間関係などはあまりひとに相談せず過ごしてきた時期もありました。特に10代〜20代半ばまでは相談をする場面が少なかったと思います。

1. 人間関係(同僚・上司、家族、パートナーシップ、友人等)
2. 働き方・仕事(転職、異動等)
3. 健康(年齢とともに起こる身体の変化、生活習慣による健康への影響等)
4. お金(生活に必要なお金、やりたいことをするためのお金、蓄えとしてのお金等)
5. 自分自身の生き方について(人生に何を求めるのか、叶わなかった夢への思い等)

相談の内容例

■あなたは、誰に相談をしますか?

次に、何を相談するかと同じくらいに、誰に相談するかも大事なポイントではないだろうか?という観点にスポットライトを当ててみましょう。

一人ではどうも整理が進まないことにぶつかった時。
自分の視点だけではなく別の視点や可能性にも目を向けたい時。
感情に飲み込まれそうな時。
見えていない自分に気づくきっかけとして自分にお叱りの言葉をかけてくれるような正直なコミュニケーションを求めている時。
こういった時に、私は「誰か」に相談したいなと思います。

では、その「誰か」は一体誰で、どうやって選ぶのだろう?

私の場合、下記のような軸を持って相談相手を検討しています。
みなさんの場合はどうでしょうか?

・相談内容やその相談をしている自分に対して価値判断されることなく、まずはじっくり話を聞き切ってもらえるかなぁ
・利害関係のないひとと話したいなぁ
(例:仕事についての悩みの相談は同僚や上司だと話しづらい場合もある、職場以外の人間関係に頼ることで話せることもある)
・〇〇について具体的なアドバイスが欲しいなぁ
(例:女性としてのキャリア選択については●●さんの顔が浮かぶなぁ)
・相談の最中、たとえ私が泣いたり怒ったり、取り乱したとしても、私と相談相手の二者ともに驚かず時間を過ごせそうかなぁ
・私は、その相談の時間を経て、何を得たいと思っているのかなぁ

誰に相談するか考える時の検討軸

また、相談についてひとつ気に留めておきたい点があることを改めて思い出しました。

それは、相談という行為が、何かの問題をすぐに、そして必ず解決してくれるかというとそうではないという事実。

そうなのです。相談は万能ではないんですよね。
かつて私は「相談してもどうせこの問題は解決はしないでしょ(≒相談してもムダ)」と吐き捨てるかのように心の中で相談という行為をぶった斬っていました。

でも近頃は、その私の態度にずいぶん変化が生まれてきている感じがしています。

「相談してみるのも悪くないな。」
「すぐに問題は解決はしなかったけど、あの相談時間を過ごしてなかったら多分あの意思決定はしていなかったな。」

と、私の中で、相談に対して持っていた「頼りなさ」みたいなものが消えつつあるとも言えるでしょう。
この変化をもたらしたきっかけの一つに、長年悩んでいたとある物事について、職場の先輩に相談した体験が印象的です。言い換えると、相談に対する私の考え方がいい意味で壊されていったという話でもあります。

実は先輩に相談をした時点で、私は、少し思い切った意思決定を自分の中で"ほぼ完了"している状態でした。でも、「〇〇について、今私はこんなふうに考えていて。でも、(仮名)小林さんだったらこれについてどう考えるか聞いてみたい。あと、自分の中に溜まっている消化できていない感情がある感じがしていて、それも聞いてもらえたら嬉しい。多分、たまった感情を消化しきらないと私は前に進めない気がする。」
このような前置きをして、相談にのってもらいました。

すると、相談する中で、あったはずだけどないと思っていた感情や(綺麗なものだけでなくドロっとしたものも出てきましたねぇ)それに連なる自分の考えが、再発見されていった。それから、ひとしきり相談し終わって1ヶ月くらいした頃でしょうか、なんと面白いことに、自分の中で意思決定が変わっていました。別に、意思決定を変えるつもりで相談にいったわけではなかったのにです。

どうやら私は、相談の持つ力に、気づき始めたようです。(やっと?)
あなたには、誰かに相談したことによって、思いもしていなかった方向に自分の気持ちや物事が動いたという体験はありますか?

※私自身の事例については、当初もっと具体的に書こうと構想して筆を取ったのですが、関係する個人の方の機微情報を公共空間でさらすことになるので具体情報を書くのは控える方針に変えました。もっと詳しく聞いてみたいという方はお気軽にお声がけください。個別にでしたら、どんな体験だったのか、よろこんでご共有いたします。
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■色々な相談の仕方があるんだ、と知っておくと役に立つかもしれない

「何を」「誰に」の選択肢は何通りも見出すことができるでしょう。
ただ、その掛け合わせを吟味することだけでなく、相談を身近なところに置いておく大切さについて今日は特に触れてみたいと思っています。それを説明してくれている一節に先日出会ったので、ご紹介しますね。

メンタルヘルスケアというと専門家が特別なことをするイメージがあるかもしれない。だけど、本当の主役は素人だ。実際、私たちが心を病んだとき、最初に対応してくれ、そして最後まで付き合ってくれるのは、専門家ではなく、家族や友人、同僚などの素人たちではないか。

たとえば、最近離婚した同僚の様子がおかしい時。あなたは彼の受けたダメージを思い、心配になる。だから、気を使い、仕事を分担し、気晴らしに誘う。そうこうしているうちに、彼は少しずつ回復し、気づけば以前のように働けるようになっている。多くの心の危機が、専門家の力なんか借りずに、なんとかやり過ごされていくものなのだ。

ここで働いているのは、古くは哲学者のカントが「世間知」と呼んだものの力だ。つまり、世の中とはどのような場所で、人生にはいかなる酸いと甘いがあるのかについての、ローカルに共有された知のことである。この世間知が、離婚の傷つきや回復のプロセスを想像することを可能にし、必要とされているケアを準備し、コミュニティーに彼の居場所を確保してくれる。素人たちは世間知に基づいて、互いを援助しあう。

と書くと、楽観的すぎるかもしれない。世間知にはコミュニティーから人を排除する力もあるからだ。例えば、先の離婚の彼が、しばらく経っても回復しなかったらどうか。仕事が滞り、不機嫌が続く。いつもイライラしていて、まわりに当たることもある。すると、世間知は彼を持て余し始める。彼は理解できない存在になり、厄介者扱いされるようになる。孤立していく。

そういうとき、専門知が解毒剤になる。
(中略)
今、私たちの社会は大きすぎるし、複雑すぎる。だから、世間知だけでも、専門知だけでも、個別の心の複雑な事情を把握し切ることは難しい。その時、専門知が世間知の限界を補い、世間知が専門知の暴走を制御する。

東畑開人さんの『聞く技術 聞いてもらう技術』
第3章 聞くことのちから、心配のちからより抜粋

「世間知」と「専門知」という言葉によって、相談の中にもいくつか種類がありそうなことやその特徴がふんわりと浮き上がってくる感じがしませんか。

9月にモニター提供を始めた弊社meguruの「じぶんの取説対話ワーク」はどっちなんだろう?と今一度考えてみましたが、前回の記事『「医療」「福祉」「はたらく日常」の間を繋ぐかのように機能するサービスが必要ではないかと考え形にしたのがこの取説ワークなのです。』と表現した自分の言葉を思い出しました。

心の状態というのは、誰しもが大切に取り扱うものとして当たり前の状況にしたい。専門知が緊急で必要となる悪化した状態ではないけれど、世間知としてのゆるやかに相談する関係性が近くにないようなとき。そんな時に、おとなが肩の荷をおろして深呼吸しまた日常に向かうちからを回復するような場を作っていくことをmeguruは目指しています。

また、専門知にもいろいろありますよね。
下記は専門知の例となるのではないかと整理しています。

  • 精神医学

  • 心理学

  • カウンセリング
    (加えて、保険適用ありかなしかによっても特徴が変わる)

  • コーチング

  • キャリアコンサルティング

いや。でも。よく考えてみると、「世間知」に足を突っ込む要素を帯びている専門知もあるような気もする。それぞれの手段の特徴整理は、別の記事に任せるとしましょう。


■事例紹介:専門知に頼ってみた筆者の相談事例

私の場合、何かを人に相談する目的で知人友人にちょっとお茶しよう、と声をかける以外に、コーチングとカウンセリングもたくさん活用してきました。(「専門知」の活用例と捉えられるでしょう)

中でもコーチングは、自身がコーチングを提供するコーチの視点と、コーチングを受けるクライアント視点も持っています。両方からコーチングをフル活用してきました。

コーチングの活用を始めた2018年から現在まで、私は4名のコーチと時間を過ごしました。今回、相談の事例としてそれぞれのコーチと過ごした時間を、時系列に振り返ってみました。これからコーチングやカウンセリングの利用を考えたいなと思っている方に、少しは参考になるかな?と感じたので、少し長くなってしまいましたがよかったらお付き合いください。

※なお、今は休憩期間をとっておりコーチはいません。最近は、40~60代を生きる人生の先輩・人生の友達に会う時間を大事にしています。言い換えると、「世間知」を頼っている期間ともいえるでしょうか。

コーチングの活用事例

※筆者の言葉で定義すると、コーチングとは、何かの"目標"に向かってエネルギッシュに進みたい時に活用する相談

コーチ一人目 2018年

  • 筆者のタイミング/相談したかったこと

    • コーチングを提供する役割を仕事で担い始めた頃。コーチングによって自分も前に進みたいと考えた。(この当時は特に家族関係の改善に関心があった)

  • コーチの探し方

    • 同僚に相談し私にあいそうな方を紹介してもらった。

  • 期間・頻度

    • 半年と期間を決めて依頼・月1回60分/対面実施

  • 得られたもの

    • 自分の本音に意識を向けることができた。

    • 失敗や発言することへの恐れを乗り越えていく体験を重ねられた。
      (例:社内で発言をあまりできない状態から、発言をするように。発言をするとき、私は首元が苦しくなるという身体反応を体験しており、発言機会に慣れていく必要があった。)

    • 物事には時を急いでも解決しないことがあると気づいた。
      (例:家族関係について自分の感情整理がまだついていないことに気づいた)


コーチ二人目 2019年

  • 筆者のタイミング/相談したかったこと

    • コーチとしての仕事だけでなくプロジェクトマネジメントも担うようになった。プレーヤーとしての仕事の仕方・考え方の殻を破りたかった。

    • 女性としてのキャリア選択・生き方について関心が湧き始めていた。

  • コーチの探し方

    • 当時はたらいていたチームボックス社に業務委託メンバーで関わっていたコーチにマイコーチになっていただいた。

  • 期間・頻度

    • 半年と決めて依頼・最初の3ヶ月は月2回/オンライン
      (今はクライアント・コーチの関係性ではなくなったので友人として時々お茶する関係に発展)

  • 得られたもの

    • 小さな声にも意味があると気づけた。

    • 外的なもの(年齢、経験、学歴等)に頼らず自己の存在価値を認めることができるようになった。

    • リーダーシップを取ること・矢面に立つことが楽しくなった。


コーチ三人目 2020年〜2021年

  • 筆者のタイミング/相談したかったこと

    • 英語でコーチングを受けたかった。

    • 芸術的感覚、右脳的感覚を自分の中に呼び起こしたくそういう領域に接点を持っているコーチを求めていた。

  • コーチの探し方

    • 二人目のマイコーチから紹介いただいた。

  • 期間・頻度

    • 今回は期間は決めず依頼

  • 得られたもの

    • アカデミックな土台に下支えされているコーチングを体験できた。
      (コーチングの領域でPhDを持っているコーチ)

    • レゴブロックを使ったり対話以外の手法から自己の内面を表現する体験を経て論理や言葉だけてなく体感覚から自己理解する体験を得ることができた。


コーチ四人目 2022年冬

  • 筆者のタイミング/相談したかったこと

    • 前職チームボックス社の退職を決め起業準備に入っており5年間勤めた会社での経験・自身の20代を棚卸しし振り返りたかった。

    • これから起業家としての道を歩む上での持続可能なはたらきかたを考えたかった。(自身の健康も維持しながら事業を続けたいから)

  • 探し方

    • 当時はたらいていたチームボックス社に業務委託メンバーで関わっていたコーチにマイコーチになっていただいた。

  • 期間・頻度

    • 月1回×3ヶ月と決めて依頼

  • 得られたもの

    • 5年前の自分、今の自分が持つ資源の違いに気がつくことができた。

    • 自分のことも大事にしながら事業運営もしていく両輪を支える考え方の整理をした、休み方の選択肢を得られた。


カウンセリングの活用事例

※筆者の言葉で定義すると、カウンセリングとは、心の充電をしたい時に活用する相談

カウンセリングは、2020年から不定期でcotreeさんを利用しています。
特にコロナの流行真っ只中の時期は、自身でも体調管理の手法を増やす試みをしてきましたが、どうしても閉塞感や疲労が溜まることがありました。
カウンセリングを使うことによって、前に進むことは一旦横におき、自分の心身に必要な休養時間を作ることができるなと感じています。カウンセラーさんは同じ方に連続して担当いただくこともあれば、その時に話したい内容によって変えることもあります。

まとめ

今回は、「相談を近くに置いておこう」というお話と、筆者の相談・コーチング・カウンセリング体験事例なども交えた内容となりました。
特にカウンセリングについては、「病気のひとが使うもの」というイメージがまだ根強く存在している気がします。しかし、カウンセリングも、「相談を身近に置いておく」感覚で自分の視野に入れておくことで、相談手段の引き出しが複数ある状態を保てますね。
これは私の持論ですが、相談上手さんは、身の回りにある様々な資源を再発見して活かして、人生の中で起こる転機を乗り越えていくことができるのではないかなと思っています。(私は相談上手"プロ"までは行かずとも、初心者の峠は超えた気がする。)

ちょっと長い記事になってしまいましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。それではまた次回!

■合同会社meguru創業の背景
社会的な生き物である人間にとって関係性の重要性、またそれらがメンタルヘルスに影響を与える可能性に関心を持った代表 尾森が創業。
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■事業内容(2023年9月時点)
・組織開発コンサルティング、人材育成プログラムの開発および提供
・メンタルヘルス不調経験者の社会復帰機会の創出およびデザイン

■代表 尾森明実 プロフィール
大学卒業後、クラフトビールメーカーの株式会社協働商事コエドブルワリーに勤務し営業職でキャリアをスタート。その後、日英通訳・翻訳のフリーランスとしての活動期間をはさみ、2社目となる株式会社レアジョブへ。英会話学習トレーナーとして「本気塾」サービス提供に従事し、学習者のニーズや課題解決に応える学習サポートを行う。3社目株式会社チームボックスには5年間在籍し、組織開発・人材育成を専門とし、ヒアリングフェーズから施策立案、プログラム導入、導入後支援まで一貫して従事。食品メーカー、商社、プロスポーツなど幅広い領域のプロジェクト経験を持つ。

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