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【更年期⑩通信】2022年11月の更年期ビジネスに役立つ海外情報まとめ。米Joylux資金調達、Vira Healthの買収など

①【米】Urovant SciencesとThink Inc.が、過活動膀胱のキャンペーンを開始

泌尿器科のイノベーションを掲げる米バイオテクノロジー企業Urovant Scienceと、生理・失禁の下着ブランドThink Inc.が、過活動膀胱を知ってもらうためのキャンペーンを開始。

過活動膀胱は、少量の尿がたまっただけでも、排尿の意思がないのに膀胱が勝手に収縮し、「急に強い尿意を感じる」「トイレまで間に合わない」「夜中に何度も尿意」という状態が起こる。
日本では、40歳以上の8人に1人が過活動膀胱に悩んでいるとの報告もある。

米Thinkは「For People with Period」を掲げ、女性に限らずトランスジェンダーにも考慮されたブランド展開を行っている。
生理用だけでなく、「Speax」という尿失禁用ショーツも展開。

②【米】成長している更年期市場

更年期障害が、企業や市場から多くの注目を集めているという記事。

・世界の更年期市場は2021年の154億ドル(約2兆円)から、2030年までに244億ドル(約3.3兆円)に達すると予想

・米国では、約2,700万人。労働力の約20%が更年期障害を経験

約40%が、常に更年期症状により仕事のパフォーマンスや生産性を妨げている

5人に1人が、更年期症状のために仕事を辞めたり、辞めることを検討

・世界の更年期障害の生産性損失は年間1,500億ドル(約20兆円)

・米Maven Clinicは、更年期障害のサービスを拡大することを計画

・更年期テレヘルスのEvernowは、グウィネス・パルトロウや、ドリュー・バリモアなどの女優たちから、2,850万ドル(約30億円)の資金調達を実施

・フェムテックスタートアップで更年期事業に取り組んでいるのは、わずか5%

③【瑞】Tech4Evaに採択された更年期スタートアップ3選

瑞ローザンヌ工科大学のサイエンスパークと、スイスの大手保険会社 Groupe Mutuel が発足したフェムテックアクセラレーターTech4Eva。
欧州最大のFemtechアクセラで、2022年は3社の更年期スタートアップが採択されている。
ホットフラッシュ関連デバイスが多いのが、海外の特徴。

・MOONA

デバイスとアプリに接続された体温調節枕パッドで、一晩中頭を涼しく保つ製品を提供

・Navina Plus

更年期障害の患者へウェアラブルデバイスを医師から処方。更年期患者の症状緩和をサポート

・Ru medical

ホットフラッシュに悩む更年期女性のためのウェアラブルデバイスとプラットフォームを構築

④【英】更年期障害とメンタルヘルスの関係

更年期障害とメンタルヘルスの関係。
英国では100万人の女性が更年期症状・更年期障害を理由に会社を辞めており、それが家計・賃金格差・年金格差・女性管理職比率などに大きな影響を与えている。
キャリア絶頂期の女性をどう社会が支えていくかがポイント

⑤【豪】非ホルモン療法で、乳がん患者のほてりを減らす治療法を開発

加齢に従い不足した女性ホルモンを補い、更年期の症状を改善する治療法で一般的なHRT(ホルモン補充療法)。
ただし、乳がん・子宮体がん・心筋梗塞を発症したことがある方などは、身体の状態によっては受けられないこともある。

乳がんの治療を受けている女性のほてり治療のための、非ホルモン経口療法で、肯定的な結果が出たことを報告。
今後の展開に期待したい。

⑥【米】更年期症状が人種や民族性によって違いが出ることが明らかに

更年期症状が人種や民族性によって違いが出ることが明らかになったという記事。

・黒人女性:ほてり・寝汗、膣の乾燥、気分のむら。
・ヒスパニック系(西):膣の乾燥、気分のむら、不安や抑うつ
・東アジア:上記と同様の症状を報告する可能性が低い

日本人女性は欧米と比較し、ホットフラッシュが出にくいとも言われているが、このような研究が進むことで、日本人女性の特徴やニーズにあった更年期製品が生まれてくることを期待したい。

⑦【米】更年期のグローバルカオスマップ

更年期紹介の市場の可能性および、VCがなぜこの分野に投資すべきなのかを紹介。更年期市場の詳細について書かれている良記事。

・2030年までに、更年期および更年期後の女性は世界で12億人に増加

・更年期市場は、530億ドル(7兆円)の価値があると推測

・先進国の女性の平均閉経年齢は51歳だが、女性の約5%が40歳~45歳の間に早期閉経になる

⑧【米】更年期分野の企業が増加しているが、ホワイトスペースは多い

更年期分野の企業は増加しているものの、開発の余地はまだまだ残されている。しかしながら、海外でも婦人科医が更年期に関する教育をまだまだ受けられていないのが現状。

⑨【英】更年期アプリStellaを提供するVira Healthが、更年期スタートアップAlvaを買収

英Alvaは、オンライン相談後にHRT(ホルモン補充療法)を処方。
Alvaの買収により、Vira Healthは処方薬(OTC)も提供できるようになり、更年期患者をワンストップで囲い込む。

海外では、いわゆる垂直統合で更年期を包括的にカバーする統合の動きが活発になってきている。

⑩【米】Joyluxが550万ドルの資金調達

Joyluxは、2022年10月にMommy Mattersを買収したが、11月に入り550万ドル(約7億円)の資金調達。
Joyluxの製品は、米国、英国、カナダなど、1000を超える医療専門家および代理店で取り扱われている。

⑪【まとめ】海外では更年期に対して、声を上げる女性たちが増えてきている

海外における更年期市場の盛り上がりは加速。
ミシェル・オバマ氏も11月15日に新刊を出版。元ファーストレディとして、更年期障害のつらさをPodcastなどでも述べている。

このように、更年期の女性たちが声を上げることで、市場が活性化すると感じているが、「更年期は恥ずかしい」「知られたくない」「話したくない」というスティグマを、どのように外していくかが、市場拡大のひとつの鍵だと感じている。

⑫【お知らせ】11/28(月)開催:最新!国内外のFemtech動向に関する勉強会

11月28日(月)17時~、東京 虎ノ門のCIC Tokyoで、国内外のFemtech動向に関する勉強会を開催。オンラインは満席ですが、会場枠は空きがありますので、ぜひ会場でお会いしましょう!

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