サンマリノ旅。 |1700年独立を保ち続けた国
イタリアの国土には、ふたつの独立国家が存在する。
ヴァチカン市国と、サンマリノ共和国である。
先日は、ヴァチカン市国を旅したときのことを書いた。
続いて今回は、サンマリノ共和国を旅したときのことを書く。
ヴァチカンよりも少しマイナな旅先かもしれないが、サンマリノも、見所が詰まった素敵な場所だ。
サンマリノ共和国を旅する。
世界で5番目に小さい国
サンマリノ共和国は、総面積約61㎢、総人口約3万人、総面積は世界で5番目に小さい国だ。青森県の十和田湖とほぼ同じくらいの大きさである。
ヴァチカン市国のように、四方をイタリア領に囲まれた独立国家で、首都サンマリノは、ティターノ山という山の上に造られた城塞都市である。
サンマリノの市街地は、「サンマリノの歴史地区とティターノ山」として、世界文化遺産にも登録されている。
サンマリノは、エミリア・ロマーニャ州東端のリミニという街の近くにある。サンマリノへのアクセスとして最もポピュラーなのは、リミニ駅前からバスに乗り、直接市街地まで向かう方法だ。
バスはリミニ駅正面右手のBurger King付近に停車し、大体40分〜1時間ほどで、サンマリノ市街に到着する(2019年時点)。
サンマリノの市街地は、急勾配の坂の上に築かれている。基本的に移動は登るか降るかのどちらかになり、ちょっとした登山になる。
現存する最古の共和国
古来から修道院が建てられていた山の上に、13世紀頃に共和国として成立したサンマリノ。「現存する世界最古の共和国」と言われている。
以来、独立を保ち続けているサンマリノは、歴史を感じる石畳と、自然の緑が見事に調和した、独特な町並みを有していた。
サンマリノ最大の見所は、山頂に市街地があることによる、見晴らしの良い絶景である。
サンマリノは、ぜひ天気の良い日に訪れてほしい。頂上から見渡す景色は、やはり晴れた日が最も美しい。
市街地にあるサンマリノ大聖堂は、1830年代に建造されたもので、サンマリノの中では比較的新しい建築物である。
6柱が聳える玄関口が特徴的で、ギリシャ神殿のような佇まい。聖堂内は黄金にも似た暖色に包まれており、とても落ち着いた空間だった。
1700年間独立を保った要塞国家
サンマリノは、301年の建国以来、約1700年間独立を保ち続けている。戦争の絶えなかった西南ヨーロッパにおいて、これはすごいことである。
その要因のひとつには、やはり地形がある。断崖絶壁に街が築かれており、サンマリノは天然の要塞国家なのだ。
サンマリノの駐日大使・マンリオ・カデロ氏によれば、「政治的にも地政学的にも要衝になく、宝もなかった。だから、だれもわざわざ攻めに来なかった。」とのこと(https://globe.asahi.com/article/14700660)。
そんなサンマリノを象徴するのが、ティターノ山に聳え立つ3つの砦である。共和国の国旗にも描かれており、サンマリノ観光の要所だ。
11世紀に建造された第1の砦「ロッカ・グアイタ」は、1975年まで牢獄として利用されていた。現在はその牢獄を見学することができる。
第2の砦「チェスタ城」は、サンマリノ最高地点(約755m)であり、現在は中世の武器博物館。
絶壁に聳り立つ砦を見ていると、1700年もの間国を守り続けたその後ろ姿に、胸が打たれる。
第3の砦「モンターレ砦」は、物見櫓や監獄として利用されていた。他の砦とはやや離れた場所にあるが、こちらもぜひ訪れたい(写真が残っておりませんでした……)。
1700年もの間、連綿と続いてきた国の歴史に思いを馳せながら、絶景を堪能した旅だった。
ただ、ものすごく山登りだった。翌日の筋肉痛を鮮やかに思い出す、サンマリノ旅の記録。
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