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ヴァチカン旅。 |「もう一度来るために、今は行かない」

イタリアの国土には、ふたつの独立国家が存在する。

ヴァチカン市国と、サンマリノ共和国である。

いずれも非常に面積の小さな国で、サンマリノ共和国は十和田湖と同じくらいの大きさ(約61㎢)、ヴァチカン市国に至っては東京ディズニーランドよりも小さい(約0.44㎢)。

今回から2回続けて、両国を旅したときのことを振り返りたい。



ヴァチカン市国を旅する。


早起きのすゝめ

ヴァチカン市国は、総面積約0.44㎢、総人口約800人であり、「世界一小さな国家」として知られている。その全域が、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。

イタリアの首都・ローマ市内にちょこんと国土を有しており、イタリアとの出入国時に審査などはなく、双方の行き来は原則自由となっている(2019年時点)。サン・ピエトロ大聖堂に入る際に、荷物チェックがあるくらいだ。

カトリック教会の本拠地・ローマ教皇の座所として栄えてきた歴史があり、その狭い国土の中には、サン・ピエトロ大聖堂をはじめとする、重要な建築物が多数存在する。


ヴァチカン市国を見て回るには、早起きが必須だ。これはもう、何度でも口に出して言いたい日本語である。

非常に人気のある観光地のため、サン・ピエトロ大聖堂を見るにしてもヴァチカン美術館を見るにしても、日中は長蛇の列で、中に辿り着くまでに相当な時間待つことになる。

サン・ピエトロ広場。
バロックの巨匠・ベルニーニの設計。美しすぎ。
美しい回廊に囲まれた、真っ白な円形の広場。
大きな噴水が象徴的。


サン・ピエトロ大聖堂へ

サン・ピエトロ大聖堂は、世界最大規模のキリスト教会。

とにかくデカい。何もかも規模が大きくて、縮尺の感覚が麻痺してくる。

遠目だと小さく見える彫刻も、近づいてみると超巨大だったりする。

サン・ピエトロ大聖堂に入る前には、荷物検査がある。
8:50着で、大体20分ほど並んだ。
後ろを振り返ると、既に長蛇の列だった。早起きしよう。


キリスト教を国教として認めたローマ帝国皇帝・コンスタンティヌス帝により、四世紀に建造されたサン・ピエトロ大聖堂。中世の大規模な改修を経て、現在の形になっている。

サン・ピエトロ大聖堂。
写真だと伝わりづらいが、これがとにかくデカい。

私がヴァチカン市国を訪れたときは、午前11時には次の場所に向かわなければならない超タイトスケジュールだったため諦めたが、聖堂内部の見学に加えて、クーポラ(天井のドーム)にも登ることができる。

クーポラからは、世界一美しいサン・ピエトロ広場と、周囲のローマの街並みが一望できる。ぜひぜひ登ってほしい。登りたかった。


大聖堂の内部へ。
あまりに荘厳。言葉を失う。
観光客が大勢いるのに、広い聖堂内は不思議と静けさが保たれていた。
陽光が射し込み、何かが降臨しそうな気配があった。


写真フォルダを必死に探したが、どうやら当時の私は、ミケランジェロの天井画を写真に収めていないようだった。何やってんの私。

クーポラを下から見上げる。これぞ芸術。


ドラクエの城門かな?


「もう一度来るために、今は行かない」

ヴァチカン市国のもうひとつの見どころが、ヴァチカン美術館である。

歴代ローマ皇帝の収集品が収められており、美しすぎる二重螺旋階段が有名なあの美術館だ。


行くなら絶対に事前予約してください。絶対に。

当時の私は、1時間くらいふらっと見学しようと気楽に考えていたのだが、ヴァチカン市国の国土をぐるりと囲むように伸びる観光客の列を見て、唖然とした。

列に並んでいるだけで1日が終わる勢いである。時間の制約もあって、泣く泣く断念した。


一緒にヴァチカン市国を訪れた友人が、清々しい笑顔で、「いつかヴァチカンにもう一度来るために、今は行かないでおこう」と言っていたのが印象に残っている。

行けなかったと後悔するのではなく、次来るときの期待に胸を膨らませる。

旅には不測の事態がつきものである。そんな不測の事態もひっくるめて、旅を楽しめるかどうか。

個人の心の持ちようで、旅はいかようにも変わるのだと思う。友人の言葉は、今でも私の、心の大切な場所にある。

こわいくらいに晴れだった。



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