見出し画像

今日も、読書。 |本を読みながら、読書日記のテーマを考える、そんな年末

2021.12.19 Sun

「今日も、読書。」を始めて、1ヶ月以上が経った。三日坊主の私にとっては、まさに驚くべき事態だ。神の御業と言えよう。

その日の気分や仕事の忙しさによって、文章の質・量にばらつきはあるが、まずは続けられているだけで及第点だ。

そろそろ、この日記の内容について、考える時期が来たと思う。

これまでは、私が日常生活で読んでいる本や読書体験について、その場その場で思いつくままに書いてきた。常に本を読んでいるので、ネタが尽きることはなかった。

しかし、もう少し内容に一貫性を持たせたいとも思ってきた。とりあえずこのことを書いておけばいい、という一貫したテーマがあれば、今日は何を書こうと悩む時間を節約できる。とにかく面倒な作業を削って楽をすることが、私の人生のモットーだ。

M-1グランプリを観ていたので、今日はあまり本を読まない日曜日だった。錦鯉の優勝には感動した。笑って泣いて、贅沢な時間だった。

個人的にはモグライダーを推していたので、1番目に呼ばれて笑ってしまった。順番の運も含めてM-1だとは言うけれど、順番によって点数が変わることは、どうにかして改善できるのではないか?とも思う。


2021.12.20 Mon

170日目。
この読書日記に、ひとつの一貫したテーマを持たせたいと思う。

例えば『プルーストを読む生活』では、プルーストの『失われた時を求めて』を読むことが主題となっていた。『プルーストを読む生活』は、基本的には、柿内さんの日常が自由に書かれた作品だ。読書と関係ないことも好き勝手に書かれていて、そこがいい。

しかし、そんな中でも「プルーストを読むこと」が、1冊通してのテーマとして設定されている。『失われた時を求めて』を読むことが、他の本の読み方に影響を与えたり、その逆もあったりする。それが『プルーストを読む生活』の独自性であり、読み物としての質をさらに高めていると思う。登場頻度は高くないけれど、思い出したように出てきては日記の内容を豊かにするプルースト。

『風と共に去りぬ』を読むとか、太宰作品を全部読むとか、なるべく時間がかかりそうなことを、なるべくゆっくりとやっていきたい。司馬遼太郎を全部読むとか、なんとも面白そうじゃないか。かなりの読書好きでも、「それはやったことない!」というようなことを、やってみたいと思う。


2021.12.21 Tue

171日目。
今日は体調が芳しくない。
目が疲れて、スマホを見るのが億劫だ。

一応、読書はしている。

「99.9」の映画が楽しみで仕方ない。私はドラマをほとんど観ないのだけれど、99.9は珍しくシーズン1も2もリアルタイムで観るほどハマった作品だった。

ちなみに、私が今まで観た中で一番好きなドラマは、「オレンジデイズ」。ミスチルの「sign」が良いのだ。


2021.12.22 Wed

172日目。
皆さんは、好きな文学賞はあるだろうか。

皆さん、などと読み手に語りかけている時点で、これは既に日記ではないような気もするが、文学賞。

私は、山本周五郎賞が好きだ。

BOOKOFFに行く度に、山本周五郎賞の受賞作をひとつ買うという枷を、自分に課している。森見登美彦『読むは短し歩けよ乙女』や、原田マハ『楽園のカンヴァス』、米澤穂信『満願』あたりの受賞作が有名だろうか。2021年は佐藤究さんの『テスカトリポカ』が受賞した。後援は新潮社。優れた物語性を持つ小説に送られる賞だ。

次によく読むのは直木賞だと思う。芥川賞と直木賞は毎回注目していて、必ず候補作の中から気になったものを一作読むようにしている。

なぜ文学賞の話をしたかというと、辻村深月さんの『鍵のない夢を見る』を読んだからだった。

辻村さんは『冷たい校舎の時は止まる』『凍りのくじら』『ツナグ』などが有名だが、直木賞は『鍵のない夢を見る』という短編集で受賞している。正直、全然知らなかった。タイトルすら知らなかった。

しかし、読んでみれば面白い。個人的には、『冷たい校舎の時は止まる』『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』『かがみの孤城』など、今まで読んできた辻村作品の中でも一番面白いと感じた。

全編通して、不安定で、どこか歪んだ人間を描くのが上手い。その異常さを、本人が自覚していない様を描くのが上手い。本人は自覚していないのに、第三者から見れば異常に感じるような言動を、鋭く描写している。

物語は鬱々としたものが多いが、それでも先が気になって読んでしまう。作家辻村深月の力を感じた作品だった。


2021.12.23 Thu

173日目。
『深夜特急』の旅に戻る。第3巻、インド・ネパール編。

安宿に留まり、来る日も来る日も同じ生活を繰り返す著者沢木さん。徐々に神経が擦り減っていき、次の目的地へ進む気力が減退していく様に、旅の恐ろしさを感じる。底のない沼に嵌まっていくような、捉えようのない恐ろしさがある。

沢木さんが出会うヒッピーの中には、既に旅への熱を失い、ベッドの上で1日をやり過ごすだけの、廃人と化した人もいる。その描写がとにかく恐ろしい。沢木さんはギリギリのところで、なんとか旅を紡いでいく。

インド編といえば、沢木さんがガンジス川で死体処理場を眺める、あの名シーンがある。沢木さんの文章を通して見るインドは、貧しく、汚く、残酷だ。だからこそ、胸を打つものがあるのだと思う。

私は海外に1年ほど留学したことがあるが、物乞いや喧嘩、ドラッグなど、その国の負の一面には徹底的に目を瞑って生活していた。沢木さんのように、自らの目で、良い面も悪い面も含めた、その国の真の姿を見ようとはしなかった。 

だから沢木さんの生き方には憧れがあり、深夜特急に強く惹かれるのだと思う。同じような行動は、絶対にできないけれど……。


2021.12.24 Fri

174日目。
『塩狩峠』が佳境。あらすじで、物語の最後に人々の犠牲になって亡くなることがネタバレされている信夫。こんなに純粋で他人想いな青年が、亡くなってしまうなんて……と、思いながら、既に感動の予感を感じながら、読む。

信夫は、当時の偏った男性像・女性像と、キリスト教の教える理想の人間像の間で思い悩みながらも、立派な牧師に成長する。側から見れば完璧な人間に見える信夫も、祖母が嫌ったキリスト教を信じるべきか悩み、舞い込む縁談を受けるべきか悩み、自分を罪深い人間だと素直に考えられないことに悩む。

どんな人も、人生は悩み苦しむことの繰り返しなのだと思う。その葛藤の末に、自分の進むべき道が見えてくる。私より信夫の方が比べ物にならないほど立派だが、信夫が悩みながらも自分の道を切り拓いていく姿に、頑張れ、と応援する気持ちだった。

信夫に比べると、自分は悩むことが少ないなと感じる。自分への、周囲への関心が薄く、考える姿勢が足りないと反省した。

本作のヒール役である三堀だが、私は自分を彼に投影して物語を読んでいた。彼の言動は誉められたものではないけれど、気持ちは痛いほど理解できた。彼の視点があることで、聖人信夫の、人間としての本心が浮き彫りになる。信夫の人間像に深みが加わり、ラストの感動が増幅する。

「憎まないということは、そんなにたいせつなことであろうか。憎むべきものは憎むのが、人間の道ではないだろうか」

彼が牧師として人々に慕われたのは、ただキリスト教の教えを額面通りに信じるのではなく、彼なりの信条を持ち、彼なりの信仰を確立したためだろう。人のことを思うならば、ただその人を赦せば良いというものではない。


2021.12.25 Sat

M・W・クレイヴン『ストーンサークルの殺人』を読む。

海外ミステリを読んだのはいつぶりだろう? 読了本のリストを見てみたら、4ヶ月ほど前に読んだF・W・クロフツの『クロイドン発12時30分』だった。内容を全然覚えていなくてびっくりした。ちゃんと内容を覚えている作品でいえば、6ヶ月前に読んだウイリアム・アイリッシュの『幻の女』だった。

『ストーンサークルの殺人』は、刑事が活躍するミステリの王道ど真ん中といった感じで、めちゃめちゃ面白かった。私は刑事や探偵がチームアップで謎解きをするミステリが好きで、その点『ストーンサークルの殺人』は完璧だった。特に、天才だけれど人付き合いに不器用な、ティリーが最高だった。私の場合、彼女の魅力が、そのまま作品の魅力だったとすら言えた。

年末年始の休暇中に、「スターウォーズ」シリーズを全部観てやろうと思い、ディズニープラスを契約した。私はスターウォーズをただの一作も観たことがなく、それを友人に話すと驚かれることが多かった。

スターウォーズは常識レベルで観ておくべき文化なのだろうと思い、ずっと機会を伺っていたが、ついにその時が来た。年末の楽しみが増えて嬉しい。



↓「今日も、読書。」のイチオシ記事はこちら!

↓「今日も、読書。」の他の記事はこちらから!

↓本に関するおすすめ記事をまとめています。

↓読書会のPodcast「本の海を泳ぐ」を配信しています。

↓マシュマロでご意見、ご質問を募集しています。

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,508件

#読書感想文

188,902件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?