天冥の標は時空を超えて収束していく群像劇。
SF小説は対して読んでいなくて、初心者同然なのだけど、小川一水『天冥の標』シリーズ全10部、17巻を読了したよ。
今年はゲーム・オブ・スローンズしかり、マーベルのMCUシリーズしかり、超大作の完結が相次いでいるけれど、『天冥の標』の完結もこれに並ぶ事件だ、多分。
強烈な引きで終わる第1部、そこに至るまでの人類の進化と分化が語られ、第1部の舞台である世界がどのようにしてできたか、その真実の姿を知る。後半になるにつれいくつかの勢力に分化していた人類は再び結束し、人類が結束すると人類以外の存在との話にフォーカスされていく。そんな存在とも協力や対話をしながら真の脅威に立ち向かう話。
ものすごくざっくり言うとそう言うこと。
で、この1部を読んだ上で、そこに至るまでの世界と歴史を描く2部〜8部がとても面白い。1部ごとにテーマや小説としての型を変えて作っている感じで、少年の成長物語(ビルグンドゥスロマン)もあれば、官能小説として描かれる巻、boy meets girlな巻、15少年漂流記的な漂流、協力、サバイバルな巻。それぞれ趣向を凝らしてなぜ、第1部に至ったのかが紐解かれ、繋がっていく様は読んでいてとても心地よい。
9部、10部辺りになって来ると人類以外の存在が蠢き始めて、なんかSFっぽいぞ、良くわからんけど、こう言うのSF好きな人は好きなの??と思いながら読んでましたが個人的には8部までの展開が面白かった。
それぞれ全然違う人物の物語を描きながら、それが1つの大きな物語に収束していく話ってあるじゃない?そう言う群像劇、みたいな、ドラクエでいうならドラクエ4みたいな。そのバラバラだった物語が紡がれて1つになっていくのとか大好物なんですよね。
天冥の標はまさに2部〜8部が時空を超えて収束していく物語。
そして登場人物たちはなぜ今があるのか、自分たちがいる場所は何なのかを知っていくのだけど、そういう自らの来し方を認知するって想像するだに偉業だよね。
宇宙の中の太陽系の第3惑星で色々あって、今自分が生きているというところまで人類は科学の力で認知してきたわけだけど、この自分たちの存在と世界のメタ認知ができるって物凄いことだよな、と。で、まだまだわかってないことも多々あるし、宇宙なんか考え始めたら無限の可能性あるじゃんね、そりゃ夢中になる人もいるわな、ってしみじみ思ったのでした。
あんまり向き合ってこなかったんだけど、なんか宇宙とか生物の進化とか生命とかスゲーなって思い始めた今日この頃です。
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