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読んでるひとが読んでるときにたとえばなにか関係ないことを思い出したり考えついたりするのがおもしろいし、それは結構すごいことなのではないかと思うんですよね。 2021/01/02

 昨日、近所の神社に初詣に行った。絶妙にダサいTシャツを販売していたので、悩んだ末に購入した。閻魔さまとあとなんか他の如来っぽいのとか柄が3種類くらい、色は赤、白、黒。閻魔は赤で、赤はきついなぁ、と思って迷った末の、いや買おう、という決意だったのだが、閻魔Tシャツくださいと言ったら、何色ですか?と聞かれた。閻魔=赤なのかと思ったら、3色3柄のバリエーションであるらしく、閻魔で白という組み合わせも存在するのだそうだ。なんだ、それならそこまで迷わなくてもよかったと思いながら、無難な白を頼んだ。ただ、よく考えると、白が無難でも柄は閻魔で無難でないのだから、一体なぜ無難さを求めたのかよくわからない。そういうTシャツを着て、昨夜は寝た。あ、ちなみにおみくじは大吉だった。

 初夢を見た。書店に行っていた。どこまで本屋が好きなんだ、という感じだけど、夢の中の書店で面陳されている中から、おーこれこれ、これ気になってたんだよな、という感じで3冊程度手にとっていたら、妻がなにこれ気になる、とその中の1冊を眺め始めた。眺め始めたその本を見ていたら、あれ、なんかこの本よく見たら気になってたやつと表紙が違う気がする、間違えたかな、やっぱりいらないかも、と思っているところで目が覚めた。

 「The Last of Us」と「The Last of Us Part2」のプレイ動画を見る。Part2凄かったな。おいおいおい、マジかよ、そんなに気軽に重要人物を殺しちゃうの?と思ったけどそこからが凄かった。それぞれの正義と復讐に感情移入させられて、最後にはもうやめようよ、もういいよ、という気持ちになっている。多分、とても気持ち悪いというか、スッキリしない物語。認知的不協和をひたすら押しつけてくるから、心が裂かれるというか、始終心がざわつく。すごいな。

 滝口悠生『やがて忘れる過程の途中』を読み終わった。

 違いは味とか食材だけではない。いつだったかアウシュラとコモンルームでなにか食べていたときに、彼女が塩のボトルを見て、 これは iodizedされている塩だ、 と言ったことがあった。意味がわからないので調べたら、ヨウ素を添加してある塩ということだった。と言われても、塩にヨウ素を追加? とピンとこない。それでおいしくなるの? とアウシュラに訊いたら、たぶんあなたたち日本人は海産物をたくさん食べるからその必要がないんだけど、食べ物からヨウ素を摂取する機会がほとんどない国ではこうして添加する必要がある、と教えてくれ た。それを聞くまで私はそんなこと知らなかった。彼女はベジタリアンなのだが、いつも塩や醤油を料理にたくさんかける。それを見て、そんなにかけたら体に悪いのでは、と私は思っていたが、肉を食べるひととそうでないひとでは塩分の摂り方も違ってくる。
滝口悠生『やがて忘れる過程の途中』P.144

 塩にもこういう違いがあるのかという話。それだけなんだけど。気になった話。

 あなたが小説で伝えようとしているメッセージはなにか、と訊かれたので、メッセージとかは別になくて、と言うと、メッセージがない?と彼女は文字通り目を丸くして驚いた。読んでるひとが読んでるときにたとえばなにか関係ないことを思い出したり考えついたりするのがおもしろいし、それは結構すごいことなのではないかと思うんですよね、メッセージのやりとりというよりコミュニケーション? あとに残らない読むあいだだけの経験みたいな?
滝口悠生『やがて忘れる過程の途中』P.204

 「後に残らない読むあいだだけの経験」っていいな。とてもいい。

 

自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。