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実践型!コロナ禍を生きぬく"広報戦略" 【女性起業家支援プログラム 講義レポ】

SK-IIと渋谷区、meeTalkが連携し、共同で 女性起業家支援プログラム #CHANGEDESTINY を開催!新型コロナウィルス感染症の影響を受けた女性のビジネスオーナーを支援するため、ビジネスを継続・発展させるために必要な「学び」と「ネットワーク」を得られるセッションと交流の場を提供。多くの女性起業家たちが集いました。

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本記事は1日目のPR・ワークショップ「実践型!コロナ禍を生き抜く広報戦略」の様子をお伝えします!

*こちらは講義中に出てくる「人を動かすコミュニケーション設計」にまつわる参考スライドの1枚。当日は講師の日比谷さん @naotake_hibiya からユーモアも交えた解説がありました。

コミュニケーションの設計の参考

【講義のポイント】
・広報の仕事は外部環境を知ることから
・ターゲットから逆算したコミュニケーション設計
・広報活動をしやすい環境を作る
・よいお手本を見つけよう

講師は、数々のスタートアップの広報支援を行っている、日比谷尚武 さん

:kipples代表、一社Public Meets Innovation理事

Sansan株式会社にて広報&マーケティング部門を立ち上げる。2013年より過去50回開催、約1,000人が参加したBtoB/IT広報勉強会を主催するなど、広報コミュニティに尽力。スタートアップ企業向けの広報・マーケティングコンサル、新規事業支援、官民連携及び一般社団法人での理事など幅広く活動している。日本パブリックリレーションズ協会 広報委員会 副委員長。

👇日比谷さんのnoteはこちら


■広報の仕事は外部環境を知ることから

世の中の変化を捉えることから始める

広報のご相談を多く受けるという日比谷さん。よく「日経の一面に出たい」とご要望がある一方、実際に「では今日の日経の一面は、どんな話題でしたか?」と聞くと覚えている方はほとんどいないと言います。

世の中やメディアが気になるトピックはコロコロと変わります。自分達が発信したい情報だけを考えるのではなく、世の中では一体何が興味を持たれているか(外部環境)を併せて考えることが重要であると話します。

日比谷さんは「広報のことが正しく理解されていない」と思うことがあると話します。

広報はなんでもできる“魔法の杖”ではありません。うまくやれば事業に貢献しますが、失敗すると炎上し、逆効果にもなりかねない。広報の力を使いこなせていないケースをよく見かけると言います。

日比谷さんはそうした問題意識のもと、勉強会を立ち上げたり、広報に関するノウハウを記事やブログでも発信したりしています。また、広報の雰囲気を掴むため「日本パブリックリレーション協会」の資格試験もおすすめします。

広報は世の中が変化することを前提に情報発信する仕事であるため、コロナ禍においてもあえて構える必要はありません。しかし、「接点」や「行動様式や価値観」などは注目すべき変化であると話します。

たとえば、相手がどういうところで情報に触れているかの「接点」について。以前はリアルイベントやクチコミがあつまる場に情報を投げてきましたが、よりネットなど間接的に届けることが増えました。顔を見て話すことができないので、相手が何を求めているかをより考えなければなりません。

また、新しい行動様式や価値観が生まれているので、今までの常識や前提で届けようとするとズレてしまいます。外部環境が変わるので、やはり、その変化にあわせて発信していく必要があります。

■広報は企業ステージ別に求められる役割が変わる

より「パブリック」を分解すると以下のようになります。

「広報の仕事」のイメージを聞くと、「リリースを配信」「メディア露出」「SNSや採用メディアの運用」といった回答があると日比谷さんは話します。

間違いではないですが、これらは枝葉の話。最終的にどうやって発信するかの「How」ではありますが、その前段となる「What」や「Why」が重要であると語ります。

「広報 = パブリック・リレーションズ」(PR)は、世の中との良い関係作りが仕事

顧客、取引先、監督官庁、社員など、さまざまな相手の、さまざまな目的に合わせて関係を作っていきます。

たとえば顧客であれば商品のファンになってもらう、購入してもらう、クチコミしてもらう。社員であれば、リファラル採用も目的の一つとなり得ます。

広報とは、社会と関係を築き、それを良好に維持すること。社会との合意形成

「変化する前提」のもと、相手に応じた「客観的&多様な視点」で発信をすること。また、
一方的ではなく、対話することで「理解から共感」に繋げること。「コミュニケーション手法」も細分化しているので、使い分けが求められます。
世の中が変わっていく状況に合わせて、発信を変えていくことは、大変だけど面白いと日比谷さん。

スタートアップや中小企業においては、企業ステージ別に求められる広報活動が異なります。

創業期においては、ミッション・ビジョンを言語化し、身近な人に伝えることが重要。また、事業確立期においては、事業促進のため、営業やマーケティングとの連携が求められます。その後は、採用支援・ガバナンス強化・IPO前後のコミュニケーションやIR・CSR・ロビイングなどの役割があります。

広報と一言にいっても幅広いので、自社で特に重要な役割はどこか、力点を見極める必要があります。

■ターゲットから逆算したコミュニケーション設計

社内外の情報をキャッチ 「情報のハブ役」となる広報

発信するばかりでなく、情報をキャッチするアンテナの役割も必要です。

世の中で何が流行っているのか、世の中で自社はどう思われているのかといった情報を仕入れて、それをもとに社内外に適切な発信を行います。また社内情報の収集なども行うため、「情報のハブ役」として、表に現れないところでも役割を果たします。

組織が大きくなれば、社内を見渡し、各部門が何で困っているのかをウォッチ。情報発信をもって部門の困りごとを解決できるよう、アクションを切り替えながら仕事をしていきます。

「コミュニケーションの設計」相手のインサイト・相手の状況を把握しよう!

人を動かすコミュニケーション設計について、日比谷さんはたっぷりのユーモアも交えて説明します。

失敗要因としては「ターゲット選定ミス」「リサーチ不足」「TPOやチャネル設計ミス」があります。コミュニケーションの大事なポイントを外すと失敗します。相手のインサイト、相手の状況を把握しましょう。

実際の広報業務におけるよくある失敗例もご紹介。

コミュニケーション設計において考えるべき順番

①届けたい相手に
②どんな行動をとってほしいのか

③相手の考えや状況を知り
④どんな内容のことを
⑤どういう方法・手段で伝えるのか

たとえば「イケてる発信(⑤)」起点で考えてCMを出してもターゲット(①)はCMを見ない層かもしれませんし、商品スペックをデータで見せると効果的(④)ならCMより雑誌の方がよさそうです。

丁寧に順番通りに考えていく必要があります。小島さんの講義におけるOWWHモデルと同様であると、日比谷さんは説明します。

このようなフォーマットに書き出してみると、どこが曖昧なのか、考えの整理やメンバー間での足並みを揃えることもできます。

■メディアアプローチ 

ベンチマークをウォッチし、メディア露出や情報発信のヒントを得る

メディアへのアプローチは営業のプロセスと似ています。

世の中のトレンドを調べ、媒体がどんな情報を扱っていて、どんな記者がいるのか調べます。自社の目的と合う、取り上げてくれそうな媒体にあの手この手を使ってコンタクト。ネタや情報の切り口を提供し、取材を受けて掲載されたら拡散していきます。ただし、メディアの場合はその先に読者がいることも忘れてはなりません。

営業とのプロセスは近いですが、この中身がブラックボックスで知られていません。このように段階を踏んで時間をかけてメディア露出に繋げていること、また常に取材を獲得できるものではないということを知っておいてほしいと思います。

ここからは、重要なヒントが詰まっている競合(ベンチマーク)調査の進め方について、具体的に説明していきます。

営業活動の場合、ライバルは同じパイを取り合う商売敵になりがちですが、広報の場合は商売上の競合だけでなく、同じターゲットに向かって情報を出す企業を競合もしくはベンチマークとしてウォッチしていきます。

たとえば日比谷さんが名刺管理アプリのSansan社に在籍していた際、もうすぐ社会人になる学生さん向けにアプリを広げるための活動をしていました。就活生や内定をもらった学生さんに売り込みたいサービスは多く、たとえば紳士服や新社会人向けのコスメ、日経電子版などもベンチマークとなり得ます。

直接の競合ではないですが、同じターゲットに向けて上手に広告やセミナー、SNS等発信するベンチマークを観察することで、今時の学生に刺さるコンテンツやトンマナのヒントを得られます。そこに自分なりのコミュニケーション設計を盛り込んでいくと、ゼロからよりは早くゴールに近づくことができ、失敗しにくいはずです。

講義はここまで。この後はワークショップとして以下のお題が出され、参加者が各自が取り組みました。

■質疑応答&日比谷さんからのメッセージ

質疑応答の時間。参加者から多数の質問が寄せられました。

Q:どのような業種、サービスにおいて広報活動を強化すべきでしょうか?
A:広報は事業拡大や採用、資金調達のためなど様々な役割が求められます。それぞれのターゲットの反応を見て、一人一人伝えることができるなら、それに越したことはありません。たとえば、地域に根ざし、1日10人のお客で支えられるお店なら、広報はいらないかもしれません。業種やサービスによる、というよりはステークホルダーの数が多く、直接的に情報を届ける(地上戦)のが難しいのなら、広報活動(空中戦)を仕掛けると良いでしょう。

Q:自社の認知がなく、事業軸がぶれていると思います。重要な方向転換が必要なのでしょうか?PRでうまくいくのか、ブレイクスルーのヒントを教えてください。
A:情報発信したからといって、進むかはわかりません。しかし専門家に相談するなどして、正しい方法で情報発信活動をしても進まない場合は、事業自体が難しいという可能性を検討しても良いかもしれません。

Q:コロナ禍で思うように集客できずに困っています。店舗集客のヒントを教えてください。
A:私は自分でロックバーを経営していたことがあり、その際はクチコミで広がりました。個店で地域に根ざしているなら地域コミュニティに知ってもらい、組織票を獲得しましょう。キーマンに来てもらえらば10人連れてきてくれるとか、コミュニティに気に入ってもらえれば入れ替わり立ち替わり100人くらい来そうとか。一つ投げたらうまく広がっていくところを探すのがポイントです。

Q:社会課題に通じるブランド販売をしていく予定です!
A:事業活動がどう世の中に貢献するのかを求められる時代です。逆にやっているフリ(ウォッシュ)はボロがでます。ちゃんとした事業理念があるのであれば、発信の方法は 「How」です。小手先ではなく事業軸をもって世の中に喜ばれるようなことをやるのがPRの素地ですね。見せかけのものは消費者にも見透かされてしまうので、実力勝負です。

Q:スタートアップ企業なので、認知獲得に時間がかかっています。どう軌道にのせたら良いでしょうか?また、同じビジョンを掲げている人と、共創の可能性を探りたいです。
A:メディア露出も一つの手ですが、アクセラレーションプログラムや渋谷区のような行政の取り組み、起業家を応援するプログラムは増えています。お披露目の場をもらったりアドバイザーを紹介してもらうことも可能です。また、後者については、今回の #CHANGEDESTINY でも交流会があるように、そうした機会を活用するといいと思います。

Q:BtoB事業で広報を立ち上げるべきタイミングを教えてください。
A:一つは、事業拡大のためにアクセルを踏もうとする際。営業などの現場活動(地上戦)だけではカバーできなくなった場合に広報活動(空中戦)を行うとよいと思います。もう一つは人を採用したい時。魅力的な技術やポテンシャルを伝えるとよいです。


日比谷さんからのメッセージ

「広報の力はうまく使えば良い方向にいきますが、うっかり間違えると炎上します。できれば良い方法に辿り着いて、進んでいただければと思います。」
 
以上、PR・ワークショップ「実践型!コロナ禍を生き抜く広報戦略」の講演レポートでした。

他にも続々と、講義・トークセッションのレポートを公開していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

👇meeTalk 女性起業家支援プログラムの記事まとめ
https://note.com/meetalk/m/m552b00b92503

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【開催概要】
女性起業家支援プログラム #CHANGEDESTINY
主催:SK-II、meeTalk
協力:渋谷区
内容:女性起業家・事業主のビジネスをサポートするための、学びとネットワーキングのためのプログラム
日時:2022年6月22日(水) 〜 6月23日(木)
会場:オンライン配信& オフライン開催 @渋谷TRUNK HOTEL
公式HP:https://meetalk.org/sk2changedestiny/


ライター:eribousan


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