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ドイツに来て手に入れたもの

日本(京都)では10年、飲食の世界に従事してきました。「料理の世界で一人前になるには10年かかる」まさにそんな迷信を地でいっていました。後半の5年間は副料理長という肩書きも付いて、なおかつマネジメントも兼用していたので、朝の9時には出勤して退社が夜中の3時を過ぎることも少なくありませんでした。

そんな僕がドイツに来て大きく変化したことは、「人間らしい暮らしを手に入れた」ことに全て集約されると思います。

ドイツに来てからランチ営業と夜の仕業の間には休憩時間がありました。時間でいうと2時間半くらいですが、その間に買い物や昼寝、家族と会って散歩したり、医者の定期検診や語学勉強のために時間に使ったり…、こうやって書くととても平凡で何でもない日常の風景ですが、日本で働いているときにはとても考えられない時間の使い方でした。

有給休暇も基本的には年間21日以上(勤務年数で増えていきます)があるし、コレらは100%消化することが義務付けられています。会社にもよると思いますが、翌年に繰り越して有給を消化することもできます。だから同僚の中にはまるまる1ヶ月を日本への一時帰国に使う人もいました。

実は僕は日本で勤続10年目にして2回も入院する羽目になりました。それまでの無理が祟ったんだと思います。そして日本で入院しても会社は何も保証してくれませんでした。仕事ができなかった月の収入がいきなり数万円にまでカットされ、労災申請するも、使い痛みによる身体の故障は、労働に対する直接的な原因指定に立証が不可能であると、対応してくれませんでした。

ドイツでは身体の不調があり医者に行くと、「その体で仕事はできません」と診療証明書「Krankenschein 」を発行してくれます。コレを会社に提出する事で、有給休暇を使う事なく、病欠することができます。だからドイツ人は体調崩しても無理して仕事をする人はいません。それでもEU経済トップを維持できているんだから、日本は働き方改革をもっと根本から見直すべきなんだと思います。

前に語学学校の講師に日本社会のエピソードを話したら、「熱があるのに無理やり薬で熱を下げて無理やり出勤するなんてあり得ない。それでは強制労働ではないか! 先進国日本で本当にそんな事あるの?!」ってびっくりされたことがあります。そういう声はもっと日本に響いて欲しいですね。




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