読書猫

不可逆あれこれ6 「邪推なき読書体験」

失ったもの、戻れない時、離れていった何か。
金曜の夜は未練たらしくそんなものを振り返っていきたいと思います。

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「邪推なき読書体験」

最近、昔ほど素直に読書で感動することか出来ない。

ミステリや軽めのエンタメ的小説はいい。素直に楽しんで、はいおしまい、特に残るものもなくていい。

でも、最近、ミステリではないんだけど、どんでん返しや謎解き要素が入っている本を読むことが多くなった。

そうすると、例えば途中で謎が分かってしまったりすると、途端に物語の価値が下がったような気がしてしまう。

その物語にはきちんとメッセージ性のようなものもあるのにも関わらず、だ。

謎が解けた後も、そんな誰も気づかないわけないでしょ!あり得ない!

とフィクションなんだから別にいいのに、憤ってみたりする。


あとは、最後までうまくまとまっていて、感動するような話。

物語なんだから、ハッピーエンドにすることを信条にしている作家さんだっていて当然だし、あーみんな幸せになって良かった!と素直に思えばいいのに。

でもなんか、白けてしまったりする。そんな、うまくいくわけないじゃん。そんなんホームドラマだけでいいよ。とか不貞腐れてみたり。

沢山の物語を取り込んでいくうちに、なんだかうがった見方をするようになってしまったな。

そんなこんなで、苦手な作家さんには食指が伸びなくなってしまったりして、感動できる小説に出会うことを自分で難しくしてしまった。

読書の、不感症状態。

邪推なしで、純粋な気持ちで本を貪るように読んでいた学生時代。

もう、戻れない。

その切なさを、噛み締めてみたりします。

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そんな最近でも、カズオ・イシグロさんの「日の名残り」がすごく良かったです。

物語が二転三転したり、どんでん返しがあったりするわけではないのだけれど、それでも魅了されて読み進めてしまう。


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