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専門外の元科学者がゆるっとカンデル神経科学を読んで書く

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元・生命科学者である牧野曜氏(https://note.com/yoh0702)が『カンデル神経科学』を読んで書くエッセイです。
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記事一覧

『カンデル神経科学』のコラムを書籍化してくれないか

今回でこのnoteは最終回らしい。 元よりアイデアや話題が湧き上がってくる質ではないから,毎…

大学院生の苦笑と、分からないって面白い

大学院生だった頃,近くの研究室に所属する同じく大学院生の人と立ち話をしていた。 彼は当時…

神経科学の完新世として

『カンデル神経科学 第 2 版』の中で最もページが割かれているテーマは何かというと,それは「…

ブレイン・マシン・インターフェース、またはある種の収斂進化

『カンデル神経科学 第 2 版』の目次に「ブレイン・マシン・インターフェース」という言葉を見…

進化の隣人たちは何を感じて何を見ていたのだろう

締切間際に原稿を書いていて良いことはほとんどない。しかし今回はそのお陰で,ノーベル生理学…

脳が脳を知覚する

頭に思い浮かんだもの 小説のネタバレをしていいのかな? まあ,いいことにしよう。 テッド…

研究者からピュアを取り出してみる

大学で研究していた頃,頭が良いことはそんなに大事じゃないと,めちゃくちゃ頭が良くて偉い先生に言われたことがある。頭の良いごく一部の人しか成功できないわけではないと言われたのだから,凡百の我々にも希望があると喜ぶべきところだ。しかし,言っている当の本人が,少なくとも私が会ったことのある人たちの中では飛び抜けて頭の回転が速く,つねに正確な理屈を口にする人だったので,著しく説得力に欠けた。しかし,おそらくその先生が言いたかったのは,「数学や理論物理のように天才的な知能が要るわけじゃ

実験と雑談と本物

研究をしていた頃,実験をしながら色々な話をした。 雑談をしながら手を動かす習慣は,いろい…

光遺伝学と冬の夜

神経科学の話をするべきこのnoteで,分子生物学の話をしよう。 分子生物学が何なのかきちんと…

光遺伝学の光

10年以上前,神経科学の研究室にいたポスドクのNさん(仮名)と知り合いになった。Nさんと私が…

記憶の中の記憶

学生時代,神経解剖学がどうしようもなく苦手で,先生に困惑された。 神経解剖学については,…

神経科学は私の推し

『カンデル神経科学』はいわゆる「鈍器本」だ。世にいう鈍器本とは,もはや鈍器にもなるくらい…