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入社から3週間弱。最速最短で退職を決めた理学療法士と社長が対談しました

2024年4月4日、mediVR代表の原は理学療法士の堀井陽平から退職の意思を伝えられました。堀井が入社したのは同年3月17日。わずか3週間弱、正確に言うと18日で退職を決めたことになります。

「一度入った会社では3年は働け」という言説もありますし、普通の会社だったらもしかするとひんしゅくを買うかもしれません。でも、mediVRでは原をはじめとして全社員が堀井の決断に賛同。全力で応援し、転職先が決まったときはみんなで喜び合いました。

この出来事には、mediVRが大事にしている価値観や文化がよく現れている気がします。そこで、原と堀井の対談を企画し、キャリア観について語り合ってもらいました。

堀井陽平(ほりい・ようへい)
2012年神戸学院大学卒業、理学療法士の免許を取得。特別養護老人ホームで1年働いた後、回復期専門病院に12年勤める。2024年3月mediVR入社。3週間で退職を決め、5月に退職を予定している。

患者さんが良くなる姿や患者さんのことを真剣に考えるセラピストの姿を見て、「ここで働きたい」と思った

――まずは、堀井先生がmediVRに入社した経緯を教えてください。

堀井:勤めていた医療法人が運営していた病院が、早い段階からmediVRカグラを導入していたのです。それで興味を持って、学会の機器展示を見に行きました。2019年のことです。当時はまだ現場でどう活用できるのかピンと来ていなかったのですが、その後も講演動画や論文、SNSはずっと拝見していました。とくに印象に残っているのが、村川先生のnote記事です。「パウダースノーのような超絶ホワイト企業」と表現されているのを見て、「ベンチャーなのにそんなにホワイトなんだ」と驚きました。

そんなふうに定期的にホームページなどを訪問するなかで、たまたま求人募集ページが更新されていることに気づいたんです。ひとまず話だけでも聞いてみたいと思い、すぐにお問い合わせしました。

原:mediVRは求人募集を出すと2〜3日でぶわっと応募が来るので、すぐに締め切るんですよ。応募してくれた時点で、mediVRに強い関心を持って頻繁にサイトを確認してくれている方々なんですね。そのなかでも堀井先生は、何年も前からmediVRのことを追いかけてくれていて熱意があり、セラピストとしての能力も抜きん出ていることから、採用担当の村川が高く評価していました。

――堀井先生は面談後、すぐに入社を決めたのですか?

堀井:そうですね。大阪リハセンターを見学し、目の前で患者さんが良くなっていく姿やセラピストのみなさんが「患者さんのために」と考えている姿を見て、「ここで働きたい」と思いました。ただ、前職の引き継ぎなどの関係で半年以上入社を待っていただきました。

――入社後の印象を教えてください。

堀井:mediVRに入社してから経験するほとんどのことが初めてのことで、毎日新鮮でした。導入を検討している施設への説明や納品に同席させてもらったのですが、病院では他施設を訪問したり、他施設のセラピストとやりとりしたりすることはあまりありません。また、物事が決まるスピード感が早いこと、風通しが良いことに驚きました。原先生を含めてスタッフ間の距離が近く、冗談が飛び交っていて、いい雰囲気だなと思いました。

それと、お菓子やドリンクが食べ放題・飲み放題なところが嬉しかったです。僕は水を飲み過ぎて原先生によくいじられました(笑)。

原:堀井先生、見るといつも水を注いでるからね。ジュースよりは健康にいいだろうけど、「そんなに水飲むの⁉️」と驚きました(笑)。

mediVRオフィスのお菓子コーナー

一度病院を離れたことで、自分のやりたいことがわかった

――そんななか、転職しようと思われたのはなぜですか?

堀井:病院を離れてさまざまな経験をしたことで、一歩引いたところからこの仕事を捉えられるようになったと思っています。でも、そのなかで自分から湧き出てくる問いが、すべて病院側の立場のものだったんです。「mediVRカグラが医療現場に普及するには、病院内にその価値を理解できるセラピストや部門を育てる必要がある。そのためにはどうしたらいいんだろう」って。そうした問いがどんどん膨らんできて、自分がやりたいのは病院内でのセラピストの育成や組織のマネジメントなんじゃないかと気づきました。

原:僕の視点から補足すると、大半の病院が医療機器導入の際の評価軸を持っていないんですよ。その医療機器が患者さんをどれくらい治せるのか、それによって病院にどんなメリットがあるのかを評価できる人材や体制が整っていない。そして、堀井先生は俯瞰的、行政的な視点を持っていて、社会全体が良くなるためにどんな仕組みが必要なのかを考えているんですね。そのためにまずは自分が病院内で事例をつくる。そして、グループ病院に波及させる。それができたら次は病院外にも広めていく。段階を踏んで、できることを増やしていこうとしているんだと思います。

堀井:まさにそうです。将来的には行政への働きかけなどもできるようになるといいなと思っていますが、まずは自分で確かめなければ、と思っています。

原:現場を知らず、「0→1(ゼロイチ)」をやったことがない人があれこれ言っても、医療の世界は変わりません。でも、行政的な視点を持ちつつ、「0→1」を現場でやろうという人ってとても少ないんです。レアキャラですね。mediVRにとっても堀井先生を手放すのは惜しいですが、堀井先生の考えていることが実現したらうちにとってもすごくいいことなので、全力で転職を応援することにしました。堀井先生のような人が上に登らないと、日本の社会は良くならないと思うんです。

堀井:mediVRに入社して、ずっと仕事のことでモヤモヤしていたことを紐解いてもらったという感覚があります。それって、mediVRカグラに似ているなって思います。mediVRカグラは、脳と体の情報処理過程の異常を整理することで症状を改善していく医療機器ですから。自分が本質的にやりたいことに気づけたことには、感謝しかありません。

原:たぶん、いろいろな経験をして視野が広がったから見えるようになったんでしょうね。「mediVRに入ったことで自分のやりたいことがわかりました」と言ってもらえたのは、本当に嬉しかったです。

即日解雇を言い渡されても仕方がないと思っていたのに

――堀井先生は転職の意思を伝えるとき、不安はありませんでしたか?

堀井:とても良くしてもらっていたので、「どうしよう」とすごく悩みました。でも、早く行動した方が逆に迷惑にならないんじゃないかと思い、まずは村川先生に相談し、その上で原先生にお伝えしました。

原:堀井先生からお話しいただいたとき、僕たちへの配慮をすごく感じました。僕たちが嫌な気持ちにならないように言葉を一つひとつ丁寧に選んでいて、でも自分の想いをしっかりと伝えたいという熱意も混ざっていて。心地よい言葉のカクテルを飲んでいるような気持ちになり、村川が言っていたとおりのすばらしい人材だと感じました。

――とはいえ会社としては、採用・研修にコストもかかっているしちょっとな、という気持ちはありませんでしたか?

原:あまりそこは気にしませんでしたね。「はやっ!」とは思ったけど(笑)。でもね、堀井先生って本当に勉強熱心なんですよ。メモの量も半端ない。すぐに本質を理解してくれるし、質問も的を得ている。実力が圧倒的なんですね。普通の人が半年かかって得る知識や経験を3週間で積み上げてくれたんじゃないかな。

そんな堀井先生が決断したことだから背中を押したかったし、すぐに「転職先に紹介状書くよ」と言いました。それに、別々の道を進んでも、向かっている方向は一緒だから、またタイミングが合えば一緒にやればいい。もし堀井先生がmediVRに戻りたくなったら、いつでも戻ってきてもらえたらと思っています。

堀井先生のノート。その日行ったリハビリのポイントや学んだことをびっしりとメモしています

堀井:僕としては、恩を仇で返すようなものだし即日解雇を言い渡されても仕方がないくらいの気持ちだったんです。だから村川先生や原先生の反応は正直想定外すぎて、逆に戸惑いました。

原:各部署を回って社員に「堀井先生転職するって!」と報告したら、みんな「もう!? ウケる」「判断が早い」って笑っていましたね。

この記事のタイトルは原の著書『臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意』をもじってつけました

それぞれのやりたいことや強みを活かす組織づくり

――次はもう決まっているのですか?

堀井:mediVRに入る前に勤めていた医療法人に戻れないかと相談中です。そこでなら、セラピストの育成や組織のマネジメントに携われると思ったので。前職の人事部も自分の申し出に耳を傾けてくれて、面談の場を設けてくれました。この業界では転職は一般的ですが、元の法人に短期間で戻るというのはあまりありません。まだどうなるかわかりませんが、一度離れたことで考えたこと、これからやりたいと思っていることをきちんと伝えられたらと思っています。

原:話を聞いている限り、前の医療法人に決まるんじゃないかなと思っています。すぐに戻ってくることを受け入れてくれる組織というのも柔軟でいいですよね。

――転職が決まったら、具体的にどんなことをしていきたいですか?

堀井:これまではスタッフの弱い部分を改善し、全体を平均的に底上げしていくという視点しかありませんでした。でも、mediVRでは一人ひとりが自分の強みを活かして働いています。たとえば岡田拓巳先生は理学療法士でありながら営業部門のエースとして全国各地を回っているし、仲上恭子先生はカグラ座談会やカグフェッショナルといった企画を次々提案し、自ら動画編集も行い、導入施設のコミュニティづくりを担っています。それがすごいなと思いました。

病院の中にも、子育て・介護中の人や腰痛持ちの人など、さまざまな事情を持ったセラピストが働いています。それを弱みと捉えて平均化するのではなく、その人にしかできないこと、その人がやりたいことを引き出すような人材育成や組織運営ができたらと思っています。

原:自分で考えて軌道修正しながら経験を積んでいく人は成長が著しいし、その様子を見るのは僕としても非常に楽しいんですよ。「それぞれのやりたいことを大切にする」というmediVRの文化を堀井先生が転職先に広めてくれたら嬉しいですね。

志を持った若い人が挑戦できる社会にしたい

――今後の展望を教えてください。

堀井:マネジメント領域に進んでいくので、社会人として、人としての成長は不可欠だと思っています。実践知だけでなく、マネジメント分野での学問的な学びも必要ですね。その上で、恩送りと恩返しを意識してキャリアを歩んでいきたいです。今回mediVRから受けた恩を自分が関わるスタッフや患者さんに送って、いつか何らかの形でmediVRにも恩返しできたらと思っています。

原:おそらく、いろんな苦労はすると思います。僕らはまだ40人にも満たない小さな会社ですが、病院には数百人規模のスタッフが働いています。そのなかでできることは限られてくるし、組織を変えたり、新しいことに挑戦したりするのはすごく難しい。いきなり全部を変えることはできないでしょう。僕らもmediVRカグラが徐々にしか広がっていかないことにはフラストレーションを抱いています。でも、一歩一歩地道に階段を登っていくしかない。堀井先生はそれができる人だから、頑張ってほしいです。

――堀井先生のように自分のやりたいことに向かっていく人が増えるといいですね。

原:いまの社会にはガラスの天井があって、若くて能力の高い人ほど突き抜けられない、やりたいことができないことにフラストレーションを感じていると思います。オブラートに包まずに言うと、いわゆる老害がのさばっていて、若い才能を潰す構造ができあがっているんですね。僕はこの状況をなんとかしたくてずっと戦っているんです。志を持った若い人が挑戦できる社会にしたい。若い人が挑戦しなくなったら国の成長は止まりますから。

だから僕自身は、堀井先生のようにやりたいことに挑戦する人、それもちゃんと周りの人に気を配り筋を通そうとする人のことは全力で応援したい。うちの会社に入社するしない関係なく、いま上に押し潰されてやりたいことができずにいる人に対して、「この社会には若者の挑戦を応援する風土のある場所もちゃんとあるから大丈夫」「自分のやりたいことに向かって突き進もうよ」と伝えたいですね。

この対談を収録した日(2024年4月17日)から2週間後、堀井先生の転職が決まりました。前職の医療法人グループに採用され、2024年6月1日から働くそうです。堀井先生、おめでとうございます! mediVR一同、堀井先生の挑戦を心から応援しています。たまには遊びに来てくださいね。

■株式会社mediVR
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(写真:山中陽平 取材・文:飛田恵美子)


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