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mediVRカグラは、「良くなりたい」と思う利用者さんと、「良くしたい」と思うセラピストをサポートしてくれる機器だと思います。リニエデイサービス練馬高野台インタビュー

VR(仮想現実)を活用したリハビリテーション用医療機器・mediVRカグラ。機器の性能を最大限引き出し利用者さんの身体機能・認知機能を改善していただくために、私たちmediVRは導入施設に向けてリハビリのフォローを行っています。

このフォローを熱心に受けてくださっているのが、東京都練馬区にある「アクティビティ型 リニエデイサービス練馬高野台」。mediVRカグラをどう活用されているのか、施設管理者の福井那奈先生にお話を伺いました。

福井那奈(ふくい・なな)先生 理学療法士
大学時代に介護施設でアルバイトを経験し、2020年に株式会社リニエRに入職。リニエデイサービス三鷹で経験を積んだ後、リニエデイサービス練馬高野台の立ち上げに携わり、2022年に施設管理者となる。

疾患ごとに適した介入方法を学んでから、利用者さんの変化を実感できるようになった

——リニエデイサービス練馬高野台の特徴を教えてください。

リニエデイサービス練馬高野台ではリハビリに力を入れていて、理学療法士と作業療法士が常駐して利用者さんの身体を評価し、その方に合った運動プログラムを提供しています。一般的に、デイサービスは地域のケアマネージャーさんから「入浴や食事を支援してもらうために」「人と話す機会をつくるために」通うことを勧められるケースも多いものです。それも大事なことですが、私たちは「自分の身体を良くしたい」と思う利用者さんに選ばれる施設になりたいと考えています。

——なぜmediVRカグラを導入してくださったのでしょうか。

社長がmediVRカグラを知って、「こんなにいいリハビリ機器があるなら使わない手はない」とすぐに導入を決めたようです。私たちスタッフも実際に見せていただいて、みんなで「VRってこんなに良くなるんだ、すごい」と驚いたことを覚えています。2020年10月にリニエデイサービス練馬高野台を開所し、すぐにmediVRカグラを使いはじめました。

——セラピストのみなさんは、新しい機器を使うことに不安はありませんでしたか?

めちゃくちゃありました。mediVRのセラピストさんから「この患者さんならこのくらいの大きさの的から始めるといい」とフォローをしてもらって、そのとおりにすると手応えがあるのですが、いざ一人でリハビリを行おうとするとどうすればいいかわからなくて。理学療法士としての経験が浅かったこともあり、利用者さんにも効果や機序をうまく説明できず、mediVRカグラを使わなくなってしまった時期がありました。

mediVRカグラを使ったリハビリでは、VR空間上に表示される的に向かって左右交互に手を伸ばす動作を繰り返します。的の大きさや位置、速度はセラピストがテンキーで操作します

——それが変わったのは何かきっかけがあったのですか?

社長から「せっかく導入したんだから使って」と言われて(笑)。たしかにそうだな、と思ってまた勉強しはじめたんです。フォローしていただくうちにコツが掴めてきて、「この利用者さんがここまで姿勢が良くなるなんて」「立ち上がりに安定感が出てきたな」と利用者さんの変化も実感できるようになり、おもしろくなっていきました。

——mediVRからのフォローで参考になったことはありますか?

最初はどの疾患にも同じやり方でリハビリを進めていたのですが、「片麻痺の場合はここを支えるといいですよ」「整形疾患の場合はここを動かしてあげるんです」と教えていただき、疾患ごとに適した介入方法があること、そうすると目に見えて身体の動きが良くなることを感じました。とても初歩的なことですが、そうした一つひとつのアドバイスに感銘を受けています。

mediVRでは自社セラピストが導入施設に対してリハビリのフォローを行っています。
普段はオンラインが中心ですが、この日は直接利用者さんにリハビリを提供させていただきました

——他社のセラピストから、それもオンラインでリハビリのフォローをされることに対して、心理的な抵抗はありませんでしたか?

慣れていなかった頃はオンラインによるタイムラグが少し難しいと感じましたが、徐々に気にならなくなりました。フォローに入ってくださるのは心強いですし、利用者さんが良くなるのが一番なので、ありがたいという気持ちしかありません。最近は時間が合わず空いてしまいましたが、少し前までは週2回フォローを受けていました。

——mediVRカグラを使ったリハビリを行う部屋を用意してくださったそうですね。

最初はほかの運動機器が置いてある広い部屋で使っていたのですが、集中できないので会議室をカグラ専用のリハビリ室にしました。そうしたら、リハビリの前後に利用者さんが「この前転んじゃってね」とか「こういうことができるようになりたいんだ」といった話をしてくださるようになって。うちは集団プログラムが多いので、カグラの前後は利用者さんと一対一で向き合えるいい時間になっています。

片麻痺で腕が上がらない場合は、コントローラーを腕に装着し、
身体を傾けてリーチング動作を行います

麻痺のある方の緊張を落とし、良い動作につなげていく

——どんな利用者さんに使っていますか?

中枢の麻痺や失調の方が多いです。平均すると1日2〜3人に使っていますね。整形疾患はほかの機器でも良くなっていくけど、麻痺がある方の緊張を落として良い動作につなげていくことができるのは、うちにある機器ではmediVRカグラだけです。

——利用者さんがVRを使ったリハビリに躊躇されることはありませんか?

抵抗がある方はちらほらいるので、無理強いはしていません。「こういう機器なんですけど、試してみませんか」と説明して、納得してくださった方だけに使っています。でも、一度体験した方はみなさん継続されています。

mediVRカグラ「野菜ゲーム」のプレイ画面

——mediVRカグラを使うことで良い変化があった方はいますか?

使っている人はみんな良くなっていると感じています。たとえば、体幹が弱くて的を取りに行って静止することもできず、非麻痺側の介助が必要なほどだった方は、最近ではご自身でしっかり体幹制御できるようになりました。リーチング動作で体重を前にかけることにより、骨盤の上に上半身を積み上げていく動作が身体に刻まれ、体幹に力が入るようになったのではないかと思います。

また、脳出血後に後遺症として失調と軽度の麻痺が残った方は、mediVRカグラでリハビリをした後は失調症状がかなり収まるんです。歩行も改善していて、以前は支えがないと腰が引けてしまって足が出なかったのが、最近では添える程度の支えで歩けるようになりました。歩幅も広くなったし、ご自身も「カグラの後はだいぶ身体の調子がいい」とおっしゃっていますね。過去には、麻痺の方でTUG(Timed Up & Go Test:椅子から立ち上がり、3m先のコーンを折り返して着座するまでの時間を測るテスト)が26.7秒から15.6秒になった方もいて驚きました。

mediVRカグラを目当てに通いはじめた方も

——そのほか、mediVRカグラを導入したことによるメリットはありますか?

デイサービスは利用者さんが来てくださらないと成り立たない事業ですが、mediVRカグラがあることで地域のケアマネージャーさんに注目されています。見学にいらっしゃるとまずmediVRカグラを見て「すごいですね」と言われますし、電話で「脳梗塞後に退院された方がいるのですが、VRは使えますか」と質問いただいたりします。また、利用者さんご自身がmediVRカグラを目当てにご連絡をくださって、エリア外の遠方から通ってきてくださったこともありました。

——今後の展望を教えて下さい。

これまで体制の問題でmediVRカグラを十分に活用できなかったところがあったので、もっと活用できるよう枠組みを整えているところです。一番大事なのは、利用者さんが良くなって、住み慣れた家や地域で暮らしていけること。mediVRカグラは「良くなりたい」と願う利用者さんと、「良くしたい」と思うセラピストをサポートしてくれる機器だと思っているので、上手に使っていきたいです。

<インタビューを終えて:担当セラピスト村川唯より>
リニエデイサービス練馬高野台のみなさんはとても熱心で、mediVRカグラの使い方でわからないことがあるとそのままにせずちゃんと確認してくださいます。それは利用者さんのことを本当に想っているからなんだろうな、と思います。「利用者さんの身体を良くするために、もっとうまく使えるようになりたい」という気持ちが伝わってきます。

今回は直接リハビリの様子を見せていただきましたが、途中で「的をもう少し小さくしてみてください」とアドバイスしたところ、難易度が上がった分失調症状が出ることを予測して、さっと利用者さんの手を支えていました。利用者さんをよく見て細やかなサポートができるセラピストさんたちが揃っているから、リハビリの成果を出せるのだろうと思います。

そんな優秀なセラピストさんたちにmediVRカグラを使ってもらえてとても嬉しいです。これからも一緒に患者さんを良くしていきましょう!

取材日:2023.5.26
取材協力:リニエデイサービス練馬高野台

■株式会社mediVR
HP:https://www.medivr.jp/
リハビリテーションセンター:https://www.medivr.jp/rehacenter/
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