“DX”ブームから次は“CXブーム”?〜このあたりの話、いつも通りな感じで流行り言葉に陥ってしまうんでしょうか?
友人がFacebookで共有していた記事を読んで。
CXは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスなど全体的なタッチポイントにおける、顧客とのインタラクションの最適化。つまり、CXとは“部分”ではないので、“全体最適”を目指すことになる。
例えば、2020年前後に私がコンサルタントとして関わった企業では、以下のような構造でCXチームを設定してもらった。
この図の中にある CX management というのは、マーケティング、セールス、CSの上に立つチームではない。顧客とのタッチポイントとなる3つの部署において、一貫した顧客体験を提供しているかを管理・調整するための役割を担う。
多くの企業においていきなり“これからはCX”と言い出されても、「?」ってなってしまうだろうし、そもそも顧客体験を重視している企業などは既に存在していたりする。しかし、部署間の連携や顧客やその体験への共通認識においては、統一が図られていないことが多い。そのため、CX management といった部署が、その推進と調整役を担うのである。
さて、こうしたCXという“概念”が聞かれるようになると、この国ではすぐにツールの話になりがちだが、すでにどうも混乱が起きているような気配もある。
例えば日本でもユーザー数を相変わらず増やしている HubSpot の場合、ServiceHub という主にユーザーサービスやCSに使われるツールがあるが、それを持ってして“CXツール”というのはちょっと早計だろう。例えばHubSpotの場合は、マーケティングからセールス、CSまで一気通貫したツールを併せ持つプラットフォームであって、いわば“CX”というのはそれら全部を使って行うものであると言える。もちろんHubSpot以外のツールやプラットフォームでも、CX 実現のために、顧客とのタッチポイントを管理・運用できるツール群の組み合わせができれば同様となる。なので、そのうちの一部分だけを抜き出して“CXだ”とか、“CXツールだ”というのは妥当ではない。
CXツールやCXプラットフォームというのは、
1/ 顧客体験を管理・改善・運用できるツールとしてのCXプラットフォーム
と
2/ 顧客体験を仮説立て、改善するためのCXツール
の2つに分けることができ、前者はCDPの延長線上に出てきてるプラットフォーム群や(支援サービス企業だと)SprocketやKARTE、Total Engagement、クアルトリクスなどがそれに当たる。後者については、UXPRESSIAなどがそれに当たるだろう。
こういう概念が“新しく”出てきたときには、その整理が正確になされないままに書かれた記述が増え、そして妥当ではない理解が広まってしまうのは、悲しいですけどもう日本のこの辺の業界には期待できない話ではある。
ちなみに、最初にあげた記事はB2Bマーケティング業界では有名な上島さんの執筆。なので筆が滑ったか何かではないかと思いますが、記事については以下3点が私にはひっかかりました。
この記事を読んで思ったこと。
- CXはタッチポイント全体に関わるものであって、マーケティングやセールスなどからCXというものが独立して存在するわけではない。でも記事を読むと単独で存在するように読む人がいそう。
- CXとCDPを混同してるような記述が見られる
- CXプラットフォームとCustomer Success プラットフォームの混同が見られる
などなど。。。記述の妥当性に?がついちゃった