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クリップで、よかった

銀行での用事を済ませて、娘のお迎えまでにぽっかり空いた1時間。
図書館かカフェで課題図書を読むことにするかと、八女市福島(福岡県)の白壁地区をぶらぶら歩いているうちに、「おもやい」が見えてきて、代表の中村さんはいらっしゃるだろうか?と覗いてみる。

近くに住んでいるというのに数ヶ月ぶりに訪れたおもやいは、3月21日にグランドオープン、1周年。元々のオーナーだった会社から独立をして、中村さんが新たなスタートをされていたことを知る。

八女市福島の伝統的建築物群保存地区にある、明治時代からの町屋をリノベーションし、モノコトを通じて人が集う地域づくりをコンセプトとする「町屋キュレーションおもやい」。
八女の工芸品である「八女すだれ」を中心とする竹製品の販売を主事業に、さまざまなイベントなどで福島地区に貢献する。

「いまちょうど規格で仕入れていたすだれでティシュペーパーのカバーの試作品をつくっていたところです」と中村さん。

「会社にいたときから試作は始まっていて、竹枠を入れてみたり、横の部分に布を付けたり、いろいろ試行錯誤していたんですが、コストは上がるし、誰が買うんだろう?と。いまクリップで留めていたら、これでいいんじゃないか、と。クリップを小洒落たものに変えたら、商品化できるんじゃないかと思い付いて」と出来立てほやほやの試作品。

このすだれが


ティッシュケースカバーに


後日、マグネットに

ものごとをコネクリまわして考えて考え抜いて、結局シンプル・イズ・ザ・ベストなところに落ち着くってことは、多分ものごとにも人生にもよくあるお話。

コネクリまわしているときにはあっさり見落としてしまうけれど(結果カラカラ空回りしてしまうけれど)、大切なことはすでにあるってことも少なくない。

「あ、なんだ、これでよかったんだ」
「探しているもの、すでにあったわ」と拍子抜けするような。

「思い入れのあるときほど、変なエゴがくっついちゃってうまくいかなかったりして、あまり思い入れがない…わけではないけど、距離があるというか、客観視できているもののほうがサクッとうまくいくってこともよくありますよね」

と、クリエイター?自営業?同志、共感あるある話をしているうちに、
あっという間に1時間。
ちょうど別のお客さまがいらしたところで、「また遊びに来ます」とおもやいを後にする。

寄り道している場合か!やることやれ!って自分の声も聴こえてはくるけれど、ひょんな寄り道で、そのときの自分に必要なことばや気づきに出会すことってのも、これまたよくある。

なんだかほっこりよい時間だったな。


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