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読書日記㉙カレーライス: 教室で出会った重松清/重松清

こんにちは。
結婚式レポートの途中ですが、読んだ本があるので感想を忘れぬうちに。

カレーライス: 教室で出会った重松清/新潮文庫/重松清


「カレーライス」「もうひとつのゲルマ」「あいつの年賀状」をはじめ、学習教材にたびたび使われる重松清の9つの短編集。忘れていても、きっとどこかで出会ったことがある作品。そして忘れることのない子供のころの葛藤、優しさ、勇気がよみがえる優しいお話。

ぼくは悪くない。だから、絶対に「ごめんなさい」は言わない。

カレーライス/重松清

「カレーライス」のこの書き出しを、今でも覚えています。たしか小学6年生、国語の教科書の一番初めにあった物語。内容も「ゲームの電源を切られて父と喧嘩する」という現実にありそうな設定で、単純に「おもしろ~」と思いました。当時の教科書に出てくる題材は「戦争」「昔話」「動物との逸話」「環境問題」などが多く、教材として現代の同い年をテーマにした作品は他になく、印象に残っていました。そして、この書き出し。親と喧嘩したとき、いつもこの文章が頭に浮かんできました。重松清先生の作品だと気づくのはずっと後。

小学生ぶりに読み返しました。父と息子の話だったのは覚えているけど、共働きで母が働いている設定だったんだなぁ。そして、母が仕事が遅い一週間を「お父さんウィーク」と名付け父が早く帰って家事をするのも、リアリティがある。中辛という身近なもので成長を感じるのも良いですね。短い中に、現実感と少年の葛藤と成長、自我を持ち始めた様子を詰め込んでいるなんてすごい。ひらがなが多いのは小学生用だからなのか、小学生のリアルさを出すためなのか。

収録されている話だと、「ドロップスは神さまのなみだ」も好きだな。別の短編集にも収録されていて読んだ気がする。

私は結構、教科書とか模試の問題として出てきて興味を持ち、元の小説を読むことがありました。森絵都先生の「永遠の出口」、川上弘美先生の「センセイのかばん」もテスト問題として出会い、図書館で探し読みました。特に「永遠の出口」は10代、高校生くらいの子に読んでほしい。この文章に心打たれる人は多いはず。

10代の恋愛なんて、上手くいく方がどうかしている。

永遠の出口/集英社文庫/森絵都

作家”重松清”先生のことを知ったのは、高校生の国語便覧でした。『現代の小説家』のページに名前と写真があり、紹介されていたのは「エイジ」。面白そうだなと思って図書館で借りて、次から次へと作品を読みました。「ビタミンF」「その日の前に」「ロング・ロング・アゴー」「流星ワゴン」「とんび」「小さき者へ」「あの歌が聞こえる」ー。たくさん読みました。この作家好きだなと思ったのは、重松先生が初めてだと思います。

重松先生の作品の中で、特に好きなものが2つあります。1つは「ロング・ロング・アゴー」の「チャーリー」という作品。幼いころの苦い記憶を自分の息子に重ね、スヌーピーに出てくるチャーリーブラウンのようだと感じるのです。元気いっぱいだった少年が、周りと比べ少しずつ自身のなくなっていく姿、無邪気ではいけないと気づかされる姿、誰も経験したことのある切なくて苦しい体験が上手く描写されています。この話を読むたびに自分の小学校時代が思い出されて苦し悲し懐かしい気持ちになるのです。
2つ目は「小さき者へ」の「団旗はためくもとに」です。高校を中退したい娘と元応援団長の熱血父親の話。娘の、思春期特有の焦りと世間知らずで無神経な様子はリアリティがあるし、最後の父親が娘に向かって応援する姿は何度読んでも泣ける・・・。大好きな作品です。

だめだ、重松先生の作品を語り始めると止まらない。笑 現在上映中の映画
「とんび」も重松先生の本が原作です。小説もぜひ読んでみてください!

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