見るため、聞くため、生きる意味。
ホテルでの自主隔離中、樹木希林さん主演の『あん』という映画を観たんです。
その中のセリフで、
「私たちはこの世を見るために、聞くために、生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ。」
という言葉が、とても印象的でした。
そのセリフ以上に、映画で描かれている日常の様子が素敵で、「こんな風に生きたいなぁ」「こんなふうに生きたら楽しいだろうなぁ」と思いました。
トータルで4週間の自主隔離生活が終わり、田舎の実家に戻ってきたのですが、「この世を見る、聞く」ということを心がけてみてます。
裸足で土
数日前には、裸足になって家の横にある畑に行きました。
玄関前の砂利は冷たいし痛いし、畑に続く通路にある石も冷たいし、さぞ土の上も冷たかろうと思いながら畑へ。
葉っぱの上は少し霜が溶けて、ひんやりしました。
でも太陽のお陰なのか、土の上はしっとりとして、心地良い温かさでした。
裸足で土の上を歩くのが身体に良いと最近聞くので、ずっとやりたかったんです。
すると、鳥の声がいつもより楽しく聞こえたり、白菜畑の上に糸を張る蜘蛛とその糸が輝いて見えたり。
裸足の私と土がつながって、土とつながってる野菜や生き物と、私がつながったような感覚でした。
正直、裸足で土の上を歩くことが本当に健康に効果があるのか、よく分かりません。でも、実際にやってみると本当に気持ちがよくて、足の裏でいろんなものを感じれるんです。
草や土の温度、湿気、固さ、柔らかさ。
映画『あん』を観た私は、きっといつも以上に色んなものを感じることができたんだと思います。
いつも靴を履いて守られている代わりに、足の裏は「閉じ込められていた」のかもしれません。
裸足で歩くと、確かにケガをしてしまうリスクはあります。
うちのばあちゃん曰く、田んぼには蛭(ヒル)もいるとか。
だからリスクを回避するために、靴を履くようになったんですかね。
甘酒づくり
昨日は、米糀で甘酒づくりに挑戦しました。
米糀の甘酒は、うちのばあちゃんの手作りで、子供の頃から大好き。
もう高齢なので、作り方を教わろうと去年か一昨年に一緒に作ったんですが、砂糖を入れているということを知ったんです。
糖質制限をしている私にとっては、残念な事実でした。
1年に1度くらいしか飲まないから、まぁ仕方ないかと思いつつも、なんとか砂糖なしで甘くならないものかと考えたりしてました。
というのも、最近の米糀甘酒ブームで、スーパーなどで売っている甘酒が「米糀のみ」なのにすごく甘いんです。
だからきっと砂糖を入れなくても甘くできると思って。
前にうちのばあちゃんと一緒に作った時は、やっぱり甘くなくて、仕方なく砂糖を入れてたんです。
でも、今回は、失敗してもいいから自分で作ってみたいと思って、やってみました。
映画『あん』の中で、樹木希林さんが餡子を作っていた時の様に、米糀の一粒一粒を見て、聞いて、時間をかけて作ってみました。
ヘラでゆっくりお湯の中に入った糀を混ぜるのですが、「踊らせる」という感覚でやってみました。
ゆっくり、丁寧に、糀が踊るのを手助けするような感覚で。
「かわいいねぇ」「素敵だねぇ」と心の中で言いながら。
一粒一粒を、見てあげる。
少しずつ糀が浮いてきて、どんどん浮いてきて。
1時間経ったくらいで、「ありがとう。お疲れ様。ゆっくり休んでね。」という感じで、たくさん踊ってくれた糀さんたちに挨拶して、炊飯器のフタを閉めました。
1時間も混ぜていたけれど、ぜんぜんつらくなくて、むしろフタを閉めて糀さんの踊りを見れなくなることが、さみしくもありました。
炊飯器の中でくつろぐ糀さんたちのことを想ったり。
(ここまで、自分がしたこと感じたことをそのまま書いてますが、読んでる側からするとヤバイ人みたいになってるかもしれない。笑)
結果としては、混ぜてるうちにどんどん甘酒の良い匂いがしてきて、味見すると既にほのかに甘いんです。糀も柔らかくて食べやすい。
「砂糖を入れないと甘くない」と言っていたばあちゃんやお姉ちゃんも、飲んだ後は「思ったより甘いね!」と言ってくれました。
日常の中で楽しむ
生まれてから高校卒業までずっと暮らしていた場所。
「自然しかなくてつまらない。楽しいことがない。」と思っていた場所。
自分の心が変わると、同じ環境でもこんなに違うんだなぁと。
ずっとそこにあったのに、私はそれをちゃんと見ようともしていなかった。「見えてる」「聞こえてる」「知ってる」と思い込んでたんですね。
それは人も同じで。
ずっと知っている家族も、なんだか今までと違うように感じるんです。
「見よう」「聞こう」という気持ちで接していると、相手がとてもかわいく見えたりします。
今まで知らなかったことが知れたりします。
「知らないことを知りたい」「楽しいことを経験したい」と思って東京や海外に行ったけど、ずっと身近にもあったんだなぁって。
ずっと「外側」に興味を持って生きてきた私にとっては、すごく良い気付きです。
帰省する度にケンカしていた妹とは、去年もケンカしたんですが、その後に仲直り。今回帰省してからは、ケンカになる気配が全くなくて、むしろ可愛くて仕方がない。会話が愛おしくて仕方がないんです。すると、今まで知らなかった妹のことが、少しずつ見えてきて楽しい。
コロナで遠出できない中、ばあちゃんが外出する時は、なるべくついて行くようにしています。散歩も誘ったりします。
すると、私の日常とばあちゃんの日常が混ざり合って、お互いに新しい発見があったり、いつもより楽しかったり。
旅行には行けないかもしれないけど、近所での散歩や、お寺さんへのご挨拶、その他いろんな日常的な出来事が、思い出になる。
ものごとへの向き合い方が変わると、生きるってこんなに楽しいんだなぁって感じました。
おわり。
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