マガジンのカバー画像

[小説]ある統合失調者の記憶

6
妄想の時に経験した内容を小説として書き始めました。健常者からみると、統合失調者の世界がどのように映っているか、理解の一助になれば幸いです。
運営しているクリエイター

#オリジナル小説

[小説]ある統合失調者の記憶 3話 屋内駐輪場

[小説]ある統合失調者の記憶 3話 屋内駐輪場

第三話は、4200字程度です。前回は、ベランダから息子が見た不思議な出来事をお書きしました。そして、屋内駐輪場での出来事から、わたしの心の中にイメージされた映像が、少しづつ広がりを見せて徐々にわたし自身を蝕んでいきます。

 2021年の年度初めは、順風満帆からはほど遠いものでした。
 わたしは、ある出来事から自己保身しか考えない上司と硬直しきった会社に見切りをつけ、転職を考えるようになっていまし

もっとみる
[小説]ある統合失調者の記憶 2話 ベランダ

[小説]ある統合失調者の記憶 2話 ベランダ

第ニ話は、4200字程度です。前回は、発端となった時差式信号機の周りで起きたことをお書きしました。そして、今回も息子の発言に揺さぶられるわたしの心を書いています。この不安は墨を一滴一滴垂らすようにわたしの心を淡く染めていきました。

 時差式信号機の近くをとおる車が急ブレーキをかける音を聞くたびに、わたしの心の中に小さな不安が少しづつ、水の入ったコップに一滴の墨を垂らして黒いモヤがゆっくりと広がる

もっとみる
[小説]ある統合失調者の記憶 1話 時差式信号機

[小説]ある統合失調者の記憶 1話 時差式信号機

第一話は4200字です。第一話は、統合失調症を患うきっかけとなった事件を書いていきます。統合失調者がどのような道筋で妄想に染まっていくのかご覧ください。

 あなたは幻覚というものを感じたことはありますか。自分が幻覚を見るようになった時、インターネットで調べたのですが、幻覚は現実ではないものを見る幻視と、現実にはないものを聞く幻聴などがあって、現実には存在しないことを感覚してしまうことだそうです。

もっとみる