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銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/アンドリュー・カウフマン、田内志文(訳)





積読本📚の中から、アンドリュー・カウフマンの小説、
「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」を拝読しました。
(2022,5,6 読了)







田内志文さんの翻訳だったので購入した1冊。
ある日、銀行に強盗がやってきて金銭の要求ではなく、その場に居合わせた13人から
”もっとも思い入れのあるもの”を奪い去ってゆきました。
そして、その後被害者たちに奇妙なことが起こり始めていくのです。





なんとも不思議な不思議な物語。
どちらかというとファンタジー要素が強いのかなぁ。
でも、そこらかしこに大切なメッセージが散りばめられています。
13人から”もっとも思い入れのあるもの”を奪い去る前に強盗が言い放った言葉は、大切なことに気付かされます。


「あなたがたがたの魂というものは、命を持ち、呼吸をする、生身のものなのです。心臓や脚と、なんら変わることもない。
そして、心臓があなたの血液に酸素を送り込み続け、両脚がたゆまずあなたをどこかへ向かわせ続けてくれるのと同じように、人の魂とはあなたがたに素晴らしき、美しきことを成し遂げる力を与え続けてくれるものなのです。
しかし魂とはかくも不思議なものでありまして、常に回復させ続けなければいけないものなのです」





身の回りに当たり前にある日常や景色、当たり前にいる人たち。
私たちは、その全てが当たり前ではないということを分かっていながらも、慣れて忘れてしまいがちです。
そして目を向けるべきことから目を背けていることは、自分の魂を疎かにしてしまっていることと繋がるのかもしれません。



拝読しながら私の”もっとも思い入れのあるもの”はなんだろうかと考えました。
iPhoneかなぁ。
私のほとんどがiPhoneに詰まっているので、iPhoneを奪い去られたら何も身動きできなくなるかもしれない。
でも、きっとiPhoneが当たり前にあることで見失っているものもあるのでしょうね。



ところで本書の感想を書こうとしていたところ、私の当たり前にある日常が一瞬ガタッと崩れ落ちました。
父が体調を崩して倒れ込んでしまいまして。
数年前に胃を全摘している父は体力が落ちているので、これまでも体調を崩すことはたまにあったのですがいつもと様子が違うし、母も今体調万全の状態ではなく不安だったので、忙しくなる週末ではありますが無理を言ってお仕事を休ませてもらいました。



救急車を呼ぼうかと思ったのですが、父が大丈夫というので今は様子見しているところ。
だいぶ症状は落ち着いてはいるので、引き続き様子見しながら完全に回復することを願います。



今日のこの件があって、私自身にもストップがかかったような気がします。
ここのところ心身ともに疲弊してて、自分でもちょっと危険だなと感じつつもどうすることもできずに、ただただ無理をしてしまっていました。


私が仕事に穴を開けたことで、職場の人たちに迷惑をかけてしまうのは本当に申し訳なく思いますが、私自身にも限界が近づいていたのかもしれません。
心のゆとりもなく、高齢の両親にしっかり目を向けれていなかったことも反省しなければです。
本書からのメッセージが、直接自分の身にも降り掛かってきたのは単なる偶然ではないかもしれませんね。
















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