犬のかたちをしているもの/高瀬準子
図書館から借りてきた高瀬準子さんの小説
「犬のかたちをしているもの」を拝読しました📖´-
(2023,10,7 読了)
高瀬準子さんのことは2022年に芥川賞を受賞された際に知りました。
芥川賞を受賞した作家さんという認識はあるものの、特に気にはしていなかったのですが本作品をSNSでご紹介されていた方がいてタイトルが気になったので図書館で予約待ちをしていました。
この先はネタバレ関係なく書くので気になる方はここまでにされてくださいね👀
本作品は高瀬準子さんのデビュー作。
ココ最近の芥川賞受賞作品らしいなというのが薄い感想です。
なんていうんだろ…
世間に対して斜め上からザクッと刺すような雰囲気とでもいいましょうか。
そして、本作は世間だけではなく私に対しても深く突き刺さってしまったのでした。突き刺さるというより、えぐられた感じ。
多分2023年で1番えぐられた作品になるかもしれません。
私の中にあるパンドラの箱をむりやりこじ開けられました。
私が下手にあらすじを書くよりも、解説から引用した方が分かりやすいだろうと思います。
なかなか現実離れした話ですが、現実であってもおかしくないような話でもあります。
無理難題を押し付けられた主人公の「わたし」、性的な交わりに消極的な「わたし」、その心情の移り変わりが鮮明に描かれているのですが、状況も年齢もなにをとってもほぼ共通しない私の心情となぜかリンクしてしまうのです。だから拝読していてとても苦しかった。
私は昔から子供が好きで、いつか自分も子供を産むことが当たり前だと思っていました。それが自然なことだと。
でも、結婚したい子供が産みたいという想いとは裏腹にその望みから遠ざかる選択ばかりしてしまいました。誰かのせいにする訳ではないけれど、そういう選択をせざるを得ませんでした。
そして気付けばもう子供を望むことは諦めなければいけない年齢。
街で親子連れを見て、友人たちの子供を見て可愛いと素直に思う気持ちは嘘ではありません。ただ、その奥底には僻んでしまっている自分もいます。私も子供が産みたかったと。
そういう方向に進まない選択をした自分を責めてしまいます。
本作の中で特にえぐられた言葉は2つ。
そう…世間は未だに子供を持たない女性に優しくない、私もそう感じています。
そんなことはない、大袈裟だと思われるかもしれませんが、実際優しくありません。
子供が好きだから子供が欲しかったというのは本心だけれど、世間から優しくされたいから子供がほしいと思ってしまった主人公の心情はすごく共感します。
そして婚姻という制度の迫力。
これにも圧倒されている私がいる。
一度も婚姻したことのない私はやはりどこか世間からはみ出しているように思えて仕方ないのです。
自分の思い込みと言われたらそれまでなのですが…
とにもかくにも私の最大のコンプレックスは、結婚していないことと子供がいないこと。
そんなコンプレックスなんてものともせず素敵に生きていらっしゃる方はたくさんいて、私もそんな風に生きていけるようになれたらもっと楽になるのも分かっているのにどうしてもこのコンプレックスが奥底に張り付いて剥がれないんですよね。
できればここから解放されたいのに何をしても上手くいかない。
本作と出逢ったのはそういう奥底にこびりついている感情を一旦表に顕にするためだったのでしょう。
そして、これ以上自分が望むことと反対のことを選択しないようにという警告のようなものにも感じます。
本作は前回拝読した「こちらあみ子/今村夏子」と同じく好きとか嫌いとかではなく読むべきタイミングだったから読まざるを得なかった作品です。
正直言うと高瀬準子さんの作品はもうこれでお腹いっぱい。
心えぐられるのは1年に1回あるかないかで宜しいかと。
でもね、本作に出会えて心の奥底にこびりついていたものをこうやって吐き出して少しスッキリしました。
と思ったらこれを書いている日(昨夜)は新月🌚。今はまさにそういう流れだったのですね。
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