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あくてえ/山下紘加





図書館から借りてきた山下紘加さんの小説、
「あくてえ」を拝読しました📖´-
(2022,8,14 読了)





本書は、読書メーターでピックアップされていたサイトで質問に答えていくと芥川賞と直木賞候補作の中から「あなたへの一冊」を選んでくれるというものでオススメされた本です。




以前オンライン読書会で雑談している際に、私は受賞作品はしっかりチェックしていそうと言われたことがありまして。
どちらかというと天邪鬼の私は、みんなが話題にするような本は余程気にならない限り受賞作品を避けていた方なのに、そんな風に見えるのかとびっくりしたものです。
でも、変に頑なにならず素直にみんなが話題にするような本を拝読してみるのもいいかもしれないと思い、せっかくオススメもされたしということで拝読してみることに。



山下紘加さんは本書が初読。
小説家志望の19歳の主人公を取り巻く環境は理不尽なことだらけ。
優しくて真面目なのが取り柄ではあるけれど自分の意思に蓋をしてじっと堪える母親、不倫して子供を作って家を出ていった父親、元嫁に世話して貰いながらも悪態ばかりつく祖母。
ちなみに、「あくてえ」という言葉は祖母の田舎である甲州の言葉で、悪態とか悪口という意味です。





こんな環境に身を置いていたら、そりゃ悪態もつきたくなるよと。
でも、主人公は悪態つきながらもその場から逃げ出すことはありません。
最後まで報われないようにも思える結末にも関わらず、主人公のことを可哀想だとはあまり思いませんでした。



先日拝読した「野火/大岡昇平」では、どんな状況下に置かれても逃げる道はあるのだし、逃げてもいいんだというメッセージを私は感じました。
それとは逆に本書は逃げ出さない選択をする人たちのことが描かれているように思います。



詳しい知識はないので何とも言えないけれど、共依存とも捉えれるのかもしれません。
苦しいんだけど、そこから逃げ出すことは考えれない。
なぜなら、その環境にいることで自分の存在価値を見いだせるから。
だから、ある意味ではその環境にいることが主人公にとっては幸せなのかもなと思ったり。


でも、そういう幸せは多分長く続かない。
主人公は逃げ出さないけど、主人公を取り囲む人たちはみんな逃げてばかりで、その尻拭いはいつも主人公です。
だけど、主人公は苦しみながらも逃げ出さない。
人の幸せはそれぞれだからなんとも言えないけれど。。。
主人公のことを可哀想とは思わないけれど、幸せとは何かに気づく日が来るといいなと願わずにはいられませんでした。
人に同情すること自体が傲慢なのかもしれないですけどね😅





テーマは重いのですが、そこまで深みがあるようには感じなかったので一気に読み進めれました。
他の方が本書を拝読して、どのような感想を持たれるのか知りたいです。





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