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わたしのいるところ/ジュンパ・ラヒリ、中嶋浩郎(訳)





読書好きが集まるオプチャでご紹介いただき、図書館で予約待ちして手元にやっと届いたジュンパ・ラヒリの「わたしのいるところ」を拝読📖しました。
(2021,12,22 読了)






新潮クレスト・ブックスの本というだけで手に取ってしまいそうになります。
装丁も素敵だし、内容も期待できるから。
そして、その期待は裏切られることがありません。



本書は、ジュンパ・ラヒリ初の長編小説ですが、小説ということを知らないで読み始めるとエッセイかと勘違いしてしまいそうな描かれ方です。


45歳・独身女性の日常を淡々と描いています。
大きな事件が起きる訳ではなく、誰にでもある日常とその日常の中で揺れ動く主人公・わたしの感情。
同じような境遇の私は共感できる部分が多々ありました。
人名も地名もほとんど固有名詞が出てこないので、まるで自分の日記を読んでいるような不思議な感覚になることも。



私は主人公・わたしとは違い、44年間で結構環境が変わることが多く、その度に自分の居場所を作る努力をしていました。
どんな土地に行ってもスーッと馴染めるのは、私の特技のようなものです。
だけど、いつも孤独と隣り合わせでした。


その土地土地で馴染みの店、知人ができましたが、ここが私の骨を埋める場所とまで思えることはなく。
その時々でお付き合いしてきた彼たちで孤独を埋めようとしても、やはりどこかで常に孤独を感じて。
私の孤独感を唯一埋めてくれたのは、純粋に私を必要としてくれるわんズくらい。



「予想外のできごとから逃げる道はないんだからね。その日その日を生きるしかないのさ。」
(わたしの伯母の言葉)



ココ最近、私は特に孤独と向き合うことが増えました。
今は両親と2わんズと楽しく暮らせていますが、この生活もいつまで続くか分かりません。
主人公・わたしと同様私は独身で子供もおらず、このままでは1人で老後をすごすことになるでしょう。
正直言うと不安でいっぱい。


ちょうど、本書を拝読している最中に神田沙也加さんの訃報が飛び込み、本書の内容と妙にシンクロしてしまい更に孤独感について考えさせられました。
彼女に何があったのかは全く分からないけれど、1人で死を選択せざるをえなかったことを思うと、とても他人事とは思えませんでした。



でも、人は常に孤独なものです。
伴侶がいようと、家族がいようと孤独感は誰にでもあるもの。
みんな生涯をかけて孤独を埋めてくれるものを探し続けていくのかもしれません。
そして、孤独と闘いながら日々を大切に生きていくしかないのでしょう。


本書は、表には見えない自分の中の物悲しさを代弁してくれているような気がして、少し心が救われた気持ちになりました。
また、翻訳をされた中嶋浩郎さんの言葉のチョイスも素敵で、とても心地よく拝読できました。



これから海外文学を読もうかと思われている方に、私は新潮クレスト・ブックスの本をオススメいたします😊
ジュンパ・ラヒリの他の著書もぜひ拝読したいと思います。













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