パリのマミコさんとわたし【8】
※過去記事パリのマミコさんとわたし【1】〜【7】の続きです!
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「あんた、ここで何してんのよ」
パリの北、サクレクールで野太い日本語が聞こえてびっくりした
振り返ると肌のつるんとした初老の日本人らしきおじ様がこちらに睨みを聞かせている
一瞬で頭をフル回転させたが
日本人の初老のおじ様の知り合いはパリにいない
はて、誰だろうか、もしかして人違いかもしれない。
すかさず、日本語で答える
「すいません。人違いではないでしょうか」
「こないだ会ったじゃない、オペラの駅で」
オペラの駅は日本人街に近いからよく使う、
本当に誰かわからない
だけど、
誰でしたっけ、なんて聞いたら張り倒されそうだ、
このおじ様かなり体格がいい
アニスが日本語を喋りつつ焦っている私に気づいたのか助け舟を出してくれた
「こんにちは!」
アニスが営業スマイルでおじ様に挨拶すると同時におじ様が
「こんにちは!元気?
良い男、連れてるじゃなーい!あんたにもったいないわね」
と流暢なフランス語で返した
アニスは急にフレンドリーになったおじ様に気を許したのか
おじ様の隣に座りアペロの準備を始めてしまった
アニスにおじ様が誰なのかわからないと伝える間もなく
私と、アニスと、この誰かわからないおじ様と3人で
西日の当たるサクレクールでのアペロが始まった
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パリに住んだ作者がパリの日常と生活を書いていく短編小説です。場所などは実在の場所です。
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