見出し画像

【600/1096】抑圧は、生きたまま埋めること

言わないでいることを我慢することだと思っていた頃は、
抑圧していることが多すぎて、何を抑圧しているのかもわからなかったなと思う。

自分の中に思ったことを言わないでいるのと、
言いたいことを我慢するのとは全く違う。
言いたいことをなかったことにする(抑圧)するのも全く違う。
この違いを自分で認識できるようになるまでに
長い時間がかかった。

欲求や感情を抑圧する、抑えつけてなかったことにするのは、生きたまま埋めることと同じだ。
生きたまま埋めたら死んでなくなるかというと、生きたままなのでなくならない。
どんなに長い間(数十年の場合もある)、生きたまま埋めた状態にしていても、それは生きている。
抑え込まれたことが噴き出すときは、ダムの水門がひらいて一気に水が放出されるかのごとく、どーっとあふれてくる。
(それを出来得る限り安全に行う手助けをするのがセラピーだと思っている)

抑圧されたものは、生きたまま埋められているので、
受け入れ難く、苦痛なものだ。
けれど、意識にはあがってこない。
意識の下、無意識に隠されている。

心は氷山と同じだ。
大きな氷塊の一部だけを水面に出して漂っている。
 (ジークムント・フロイト)

精神分析の祖、フロイトは無意識が意識を支配していると言った。
自分自身の心が、意識していても、気を張っていても、どうにもならないでいるとき、心の奥底の無意識が意識を支配しているからだと言って、その心を解析するための手法として精神分析をつくりだした。
(ちなみに、精神分析は週に4回以上、一回45分以上を数年にわたって受ける必要があるもので、一般的なカウンセリングとは全く異なる。)

「抑圧」は、フロイトが提唱したものだ。
抑圧されているものは、覚えているのがつらすぎて、意識から消してしまうというもの。
押し入れの奥深くにしまい込んでそのうち、どこに仕舞ったのか忘れてしまうということがあるが、それと同じ。
自分が受け入れ難い不都合な欲望や衝動、思考を無意識の世界に埋めて隠してしまう。
フロイトはこれを、人間の持つ防衛機能だと言った。

けれども、抑圧したものは完全に消えることはない。
防衛はいつか解除される。
だがしかし、解除されるとき、一筋縄ではいかない。
ああ、あれか!みたいなことにはならない。

自分が何を抑圧しているのかを突き止めるには、自分の全部をよく観察するしかない。
解除されたがっている防衛機能は、自分からにじみ出ている。
夢に出てきたり、身体症状として出てくる場合もあるし、自分の行動や態度、性格(と思っているもの)からにじみ出ている。
これをじっくり見つめなおすことが必要だ。

大抵の場合、自分がしていることがわかっていない。
だから、なんらかの観察するための手段が必要になる。
無意識の世界から、意識下にあげてくるためのなにか。
もちろん、精神分析家に分析してもらってもよいけれど、
時間も費用もなかなか捻出できなかったりする。

そういうとき、自分で自分を観察するすべがある。
呼吸である。
自分の呼吸がどうなっているか?を観察する。
これも精神分析と一緒で、一朝一夕にパパパッと抑圧が解除されるなどというわけではない。
けれども、毎日、自分自身を観察するための時間は、起きている間中ある。
防衛機能は身体を使ってやっている。
呼吸が乱れたときは、なにかしているのだ。

これをどこまでやれるか、やるかはその人次第であるけれども、少なくとも自分で取り組もうと思ってやった分には、危険がない。自分ができるところまでしか開かないから。

呼吸は身体を使ってする。
身体をととのえると心がととのうというのは、
防衛機能が統合されていくからと言う面もある。
生き埋めにされているものを解放するのは、
自分自身以外にできないことだから。

では、また。



1096日連続毎日書くことに挑戦中です。サポートしてくださるとものすごくものすごく励みになります◎ あなたにも佳いことがありますように!