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米国登録栄養士の少し変わった進路 【病院編】

一般的に管理栄養士の進路は想像つくような決まった病院や保健所での職業を想像すると思います。
私はアメリカで登録栄養士になり、少し変わった道を進みました。

最初は臨床栄養士として病院で勤めていましたが、後に管理職に就き、ヨガ講師を取得し、8年のキャリアを退職しました。

現在では自営でコーチング(カウンセリング)やリトリートを仕事として働いています。

仕事の迷い、挫折、キャリアップ、退職、自分らしい仕事、自営への道

管理栄養士になりたいけどどんな仕事がしたいかよく分からない、
海外で働きたい、仕事の迷いがある、アメリカの管理栄養士の仕事内容をしりたい、健康に携わる仕事をしたいという方に参考になればと思います。

なぜアメリカ?

アメリカは親の都合で子供の頃からアメリカに住んでいたので、アメリカで働くことは当然でした。
逆に日本での仕事経験はありません。

栄養士になった理由

RD(Registered Dietitian 米国登録栄養士)になったのは「人の健康と幸せの手助けをしたい」という気持ちから始まりました。

大体そうだと思いますが、世間知らずの高校生、大学生のころ、実際何がしたいかよく分からずなんとなくでこの分野を選びました。学生のころもう少しキャリアについて教えてくれたら良かったのになって思います。

アメリカではRDになる為には?

4年の大学で臨床栄養学を学び、900時間のインターンシップ(大学と別に病院や大学のプログラム)を経て、国家試験を受けます。大学院卒も今後必要になるかもしれないと言われていて、たまたま私が入ったプログラムは一年の大学院があったので、大学院も行きました。

大学はどこにも臨床栄養学部があるわけではないので、そこも選んでカリフォルニア大学デイビス校という農業とワインで知られている大学に行きました。

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インターンシップの最終日

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大学院の卒業式(2009年)
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校

大学院のメリットは正直一つだけ。名前の後にMSが付く事。
就職に有利かもしれませんが、そこまで必要だったとは思えません。
大学で教える権利はありますが、そんな予定はありません。

RDの仕事の3つの分野

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私はClinical(臨床)とフードサービス、マネージメントの仕事経験があります。

本当はCommunity(公衆衛生)の仕事を希望していたんですが、仕事が少なく、お給料も病院より少なくご縁がありませんでした。

初めに就職したのは医療フードサービス会社Morrison
(他にはSodexoとAramarkが有名)
この会社で7年半に渡りロサンゼルスで4つの病院で働きました。

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毎年3月にRD Dayがあり、会社でお祝いしてもらってました

ロサンゼルスの病院で臨床栄養士

卒業して初めての就職先がロサンゼルスの中心地にある大きな総合病院(&大学病院)

アメリカ大都市ならではの色々な患者さんが沢山いました。

銃で撃たれたり、ホームレスなども多く入院されます。

以前に医者が銃で撃たれた事件があり、病院の入り口には空港のようなセキュリティを通ります。

この病院では700人程の患者が入院できる設備で、大学病院でもあります。なので、医者の研修生も多かったです。お医者さんと結婚する同僚もいました。

臨床栄養士は外来含めて15人程いました。日本人・日系の栄養士が他に二人いました。

病院の刑務所


病院内には刑務所もあり、私は初め刑務所の病棟を担当していました。

RDの仕事は入院中に栄養が十分に取れているかどうかが一番重要な仕事です。刑務所棟では、患者がごはんを増やしてほしいと強請ります。栄養が十分である限り、増やすことはできません。コーヒーも与えられません。

刑務所の患者の殆どが礼儀正しく、問診には問題ありませんでした。
病室に入るのには監視員に鍵を開けてもらい、問診中入り口に居てもらいます。

でも一度、監視員が何処かに行ってしまい、患者(受刑者)の病室に閉じ込められてしまった事もありました。少し焦ったものの、何事もなかったかのように待機しながら、患者との問診を続けました。苦笑


臨床栄養士 仕事の特徴

勤務内容が大体決まっている
毎日がほぼ同じ仕事内容
関わる人:患者、看護師、同僚、医療チーム、厨房スタッフ
ある程度自分のペースで仕事が出来る
基本的に残業がない
勤務時間が自由

*私の経験の話なので、全国の病院に当てはまりません

アメリカの管理栄養士は料理はしない

メニューの創作は管理栄養士がしますが、レシピなどが会社が用意してあるので、それに従って厨房のスタッフやシェフに作ってもらいます。なので、なんで日本では管理栄養士が料理する必要があるんだろう?って疑問に思ってしまいます。

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当病院、臨床栄養士として最終日 (2014年)

仕事の迷い

個人的に臨床はあまり向いていませんでした。なぜかというと、コツコツする仕事が好きじゃない、毎日同じに感じて苦痛だった、クリエイティブなことがしたかった(自分のアイデアを生かすなど)、医学にあまり興味がない。今ではなぜ理数系を選んだのだろう?あー文系が向いてなかったから。そもそも学校の勉強があまり好きじゃなかったんだな~って思います。

でもそれ以上に、私の仕事で人の健康に手助けしてるとは思えなかったからです。病院での栄養指導は限られています(時間の制限と入院してる患者は治療に集中してそこまで余裕がない方が多い)。限られた栄養指導で退院後健康的な食生活が送られるのか、自信はありませんでした。

それと、指導だけではなく、心のケアの必要性に気づきました。いずれヨガのトレーニングを受けてより強く感じました。当時は何がしたいかよくわからず、とにかく毎日が苦痛でした。

出世という選択肢・フードサービス

そのうち、管理職に興味を持ち、マネージャーの道を選びました。
マネージャー(栄養長)になるのは意外と簡単でした。
なぜかというと競争率が少ないからです。私の周りではマネージャーになりたい人が殆どいませんでした。

なので、管理職に興味をしめして、手伝いなどさせてもらっているうちに
別の病院で(同じ会社)空きが出来たときには当時のマネージャーに積極的に手伝ってもらいました。

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2つ目の病院は最初の大きな病院とは違い、比較的小希望で貧乏な病院でした。

ここでは栄養長と患者サポートマネージャーをしてました。
臨床栄養士は15人と比べて、4人でした。その代わり厨房の管理もしていたので、私の従業員は大体15人くらいいました。

私は細かい仕事が好きじゃない、やらされることが嫌い(笑)なので自分で考えながらのスタイルが向いていることが分かりました。

病院の仕事はIT系の仕事が多いです。カルテやメニューが電子化するので、ITと常に会議してました。

マネージャーの仕事の一つはデータの管理(大きな病院だと秘書などがやってくれますが)
病院はコンプライアンス調査が多いので、とにかく記録表が多く
問題解決にも自分で様々な調査を行います。

その中で私は医師のダイエットオーダー入力の正確率を調査して論文にしました。社内のメンターに手伝ってもらったので、とても簡単でした。

その論文は栄養マガジンに載り、FNCEというカンファレンスに会社に行かせてもらいました。

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なぜか白黒写真しか見つからず・・・(2015年)

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この病院には1年半しかいませんでした。会社のポリシーとして18ヵ月間一つのポジションで働けば次のステップに応募できたので、次の機会にすぐ飛びつきました。

私は仕事が出来るのではなく、この会社・職業は出世しやすいと思いました。なぜかというと、出世したい管理栄養士が少ないからです。

臨床が向いている人はそこでスキルを磨き、ベテランになって行く。臨床が向いてない私みたいな人は管理職に向いているのかもしれないです。

マネージメントのメリット:スキルが広がる

病院関係者、医療関係者との交流が多い
プレゼンや会議に出る機会が多い
社交的になれる
問題解決・クリエイティブな思考
自由
給料の上昇

次はもっと小さい病院で栄養士長(Food Service Director) になりました。

偉そうに栄養士長と言いますが、間のマネージャーやシェフもいなく、秘書もいなく、事務作業も全て自分でするような仕事でした。

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こじんまりとした小さな(ド貧乏な)病院で、スタッフは家族みたいでとても楽しく仕事が出来ました。

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スタッフに誕生日を祝ってもらうようなファミリーでした (2016年)
前日日本から帰って来たばかりで時差ぼけMAX

はい、ではアメリカの病院食を紹介します

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メニュー作成は8年間で一度しか経験していません。メニューはもう決まっているものなので、新しいメニューに変えようというタイミングでした。

アメリカの病院は入院期間が短く(平均3日間)なので、基本的に一週間メニューが多いと思います。

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新メニューのお披露目会。病院スタッフに試食してもらいました。
日本の病院食は食べたことないけど、アメリカの病院職は美味しくないです。

それと、色んな人種に対応するため患者さんを満足させるのが大変です。メキシカン料理やアジア料理も取り入れています。

大企業で働くメリット

病院の社員ではなく、フードサービス会社で働くと給料はそこまで高くないですが、メリットはあります。

メリット① 出世しやすい

栄養士だけでなく、フードサービスのスタッフにもチャンスがあります。

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この方はお皿洗い→カフェテリアのレジ→コックになりました。
とても頭がよくて仕事ができ、積極的に働いてくれました。

その後会社のトレーニングプログラムに応募させ、シェフになりたい夢に向かうことが出来ました。この後スーシェフになったと報告があり、とっても嬉しかったです。

メリット② ネットワークが強い

会社がしっかりしている組織なので情報が沢山流れてきて、その通りにしていれば大丈夫、安心、楽。

分からないことがあれば他の病院で働いてる同僚に聞く事もできますし
病院に所属していない上司に相談できます。

そして、楽しい会社の研修旅行やイベントが多かったです。臨床栄養士の頃は、マネージャーがこんなに遊んでるという事を知りませんでした(笑)

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研修旅行in ラスベガス

管理職に就くためには何が必要か?

上司にやる気とマネージメントの興味を示す
プロジェクトに積極的に参加する

現状:管理栄養士でマネージャーになる人が少ないのでニーズがある
女性が多い職種なので男性との競争率が低い

最後はセレブな病院

では最後に私が辿り着いた病院はセレブなどが利用する病院で、以前働いていた病院とは違いお金が溢れているようでした。

VIPの病室やVIP食事も提供しています。

そして自分のオフィスに飾る絵を選べるんです。贅沢な話ですよね。
今まで自分だけの部屋も無かったので・・。

ここでは病院の社員になったので、給料もとても良かったんですが、ネットワークが強くない分、その人次第になります。基本作業が行われていない事も多く、栄養士も多かったのでそれなりに苦労はありました。

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最終日。ドーナツの差し入れ(2017年)

私は半年も続かずここでキャリアをやめる事になりました。

その理由と進路の続きは次回!

少し変わった進路というのはこれからのお話です。

続きはこちら

ヨガに出会い自分らしい、退職の決意
ヘルスコーチという職業
日本での活動
リトリート


後半米国登録栄養士の少し変わった進路 【病院退職後】

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