マガジンのカバー画像

[俳句編] 2024年ファイルしておきたい記事

97
勉強になったり、読んで面白かった俳句関係の記事をファイル代わりに集めました。勝手に集めてしまい、ご迷惑でしたらご一報いただければ、外します。
運営しているクリエイター

2024年7月の記事一覧

波多野爽波俳句全集を読む①

暁光堂俳句文庫「波多野爽波俳句全集」を読んでいます。最近気になる俳人さんの師系をたどると、波多野爽波に行き着くことが多く、また多くの方が波多野爽波を引用していることを感じて、一度眼を通しておこうと思いました。 俳句全集は全部を読もうとすると、途中で挫折してしまうのですが、句集ごとによめばよいということに気がつき、それごとに読むことにしました。とても読みやすくなりました。 また、句集を読んでも、自分でアウトプットすることがなかったので、このようなプラットフォームを頂いてるこ

波多野爽波俳句全集を読む②

第二句集「湯呑」(1981年、現代俳句協会) 第二句集は、第一句集以降の26年間の句から、300句近く掲載。三島由紀夫が角川「俳句」に寄稿した文章「波多野爽波・人と文章」(1968年11月)と草間時彦による解題付き。編年体で構成されています。 前回同様に、年代とともに感銘を受けた句を挙げます。 1954年から1981年の出来事を巻末の年表とともにまとめます。 1957年 「山火」(福田蓼汀主宰)、「菜殻火」(野見山朱鳥主宰)、「年輪」(橋本鶏二主宰)、と四誌連合会発足

あの夏の句を凍らせて

冷蔵庫が熱をもっております あれやこれを冷やすのに大忙しな上に パターンパターン せっかく冷えた空気も たびたびの開閉に ぐんぐん冷蔵庫の外側はあちちです さらに夏も本番 氷を使う事が増え 製氷機の氷だけでは間に合わない日々 仕方なく氷をなるたけお安いお店で購入してまいります 氷が溶けてしまわないように 1日の用事を頭の中で組み立てて 買い物の1番最後に「氷を買う」 を、忘れ無いように 正直、中々面倒であります が 家族はそんな小さな苦労をつゆ

炎天という季語     

もう言いたくないのに「暑い」と発してしまします(;'∀') 10年前、いや15年前くらいは 次男のスポ少野球チームのお世話で 日焼け止めしながら応援しまくってましたが もう、無理…です 近年は派手な酷暑ですよね(;´Д`) 俳句の季語で私が一番暑さを感じるのは やはり 「炎天」です 「真夏の燃え上がる太陽が頭上に来て、 じりじりと大地に照りつける。 日盛の天のことである。 空は輝き、灼熱の太陽は炎のようにゆらめいている。 水分は蒸発し、路傍の雑草は枯れ縮むようである」

結びの告白|言葉に病んで俳句にかける

▶ 初めて知った 俳句の面白さとはこういうことだったのか…  以前から俳句に親しんできた身ではありますが、制約に向き合う中で、表現とは何ぞやという疑問が生まれ、言葉に詰まってしまうことが多々ありました。その都度、芭蕉や子規へと帰るのであります。  特に子規の提唱した「写生」は、行き詰まった身に光を投じてくれるものとなりました。ありのままを言葉でなぞり、見える景色をシンプル化する…  しかし、写しとることへのこだわりは、技術論へと行きつき、次第に視点が不明確になっていったもの

句歌集『此処に咲く〜ラグビー2023/24を詠む🏉〜』

1.試練再び  🏉ラグビー🏉  W杯2015で南アを撃破した『ブライトンの奇跡』で一躍脚光を浴び、  自国開催W杯2019のベスト8進出で人気沸騰❗️  しかし、、  熱狂冷めやらぬ翌年からのコロナ禍が状況を一変させました。  リーグ戦は1シーズン中断、再開後も相次ぐ試合中止、さらに代表の海外遠征や国内でのテストマッチも長期に渡り中断しました。    長い空白を経て迎えたW杯2023フランス大会。    15人制ラグビー日本代表は、『世界』との差を再び突きつけられ、予選リー

俳句 旧暦 の輪越し祭

   旧暦を生きる媼の梅干す手       輪越し祭翁奮闘のち酒杯            私の住む所では 斑に旧暦が活きています。  全国的には六月末日に夏越の祓をして、茅の輪をくぐり 一年の折返と、厳しい暑さを越せるように…の儀式です。  その輪越し祭がありました。 天神祭と同日開催でした。   とはいえ、正式な旧暦とも違い 約ひと月遅れで 他の農事等の兼ね合いで日を決めている様です。学校行事などから、自然な流れで新暦に移った行事が多いのですが、神事は旧暦で執り行なわれる

口語俳句 俳句の目標の探究 〜全11項目のまとめ〜

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介していく記事です 6月から個人的な俳句の目標として下記の11項目について時間をかけて探っています。 「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」 「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」  「ものごとの花」「沈黙の美」「内的宇宙」 「三物一句」「風情の継承」「平明深遠の詩」 これらの俳句の目標について、簡単な解説と実際の作品を全10回にわけてnoteに投稿してきました。 今回の記事はそのまとめにな

俳句のいさらゐ ⋄♾⋄ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十八。「風流の初めやおくの田植うた」

「風流の初めやおくの田植うた」の須賀川の章を読むと、道行き文を連想する。道行き文の典型は、『平家物語』に見ることができる。 『平家物語』巻第十 「海道下(かいだうくだり)」を例に引く。 たどり行く順に過ぎる土地の名、名所の名を並べ、調子を整えて、文に勢いをつけるのが道行き文である。 芭蕉が、須賀川の下りで道行き文を思わせるような書き出しにより、「風流の初めやおくの田植うた」につなげているのは、次のことを意図しているのだろう 田植うたが、道行唄であったとは思わないが、芭蕉は田

口語俳句 俳句の目標の探究 〜『一句新世界』について〜

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介していく記事です 口語俳句 俳句の目標の探究 『一句新世界』について はじめに、口語俳句の基礎基本・つくり方については自分自身ほぼわかりました。 ですので次は内容、口語俳句で「何をどう詠むのか」についての探究を進めています。 6月から個人的な俳句の目標として下記の11項目について時間をかけて探っています。 「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」 「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界」  「

口語俳句 俳句の目標の探究 〜『表現の新と万象の真』について〜

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介していく記事です 口語俳句  俳句の目標の探究 『表現の新と万象の真』について はじめに、口語俳句の基礎基本・つくり方については自分自身ほぼわかりました。 ですので次は内容、口語俳句で「何をどう詠むのか」についての探究を進めています。 6月から個人的な俳句の目標として下記の11項目について時間をかけて探っています。 「表現の新と万象の真」「驚きと感動の詩」 「一新一真」「都市詠の探求」「一句新世界

歳時記を旅する52〔夕立〕前*狛犬の口濡れのこし初夕立

土生 重次 (昭和五十七年作、『扉』) 墨田区向島の三囲(みめぐり)神社の雨乞の話。元禄六年は大変な干ばつで、秋の収穫を心配して困りきった小梅村の人々は三囲神社に集まり、鉦や太鼓を打ち雨乞いをしていた。ちょうど三囲神社に詣でた俳人其角が、このありさまをみて、「夕立や田を見めくりの神ならは」と詠み、翌日に雨が降ったと伝えられている。(榎本其角『五元集』) 其角の句は、能因法師が伊予国一之宮大山祇神社での雨乞いの和歌「天の川苗代水にせきくだせ あま下ります神ならば神」(『金葉和歌

俳句のいさらゐ ∔✴∔ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十四。「夏山に足駄を拝む首途 ( かどで ) 哉」

『奥の細道』の俳句の特徴として、物に魂がこもる、あるいは霊験が宿ると信じる思想が、かいま見える点が挙げられる。もちろんそれは芭蕉特有の思想ではなく、近代以前の人々は、違和感なく持っていたであろう思想である。いわんや今日でもそれは、人々の精神の底流にはあると言っても間違いではないはずだ。 では、『奥の細道』の特徴だと指摘したのはどういうことかというと、信奉の対象となる物が、芭蕉の俳句では、俄然類例を見ない個性的な把握になっていることである。そしてそれが、物語への架け橋になってい

山本たくみの皆もすなるエッセイを(5) 【金曜日記事】

あなたは俳句界最大のタブーをご存じだろうか。 季重なりや切れ字の重複? 違う。 他人の句を自分のものとして発表すること? 違う。 そう。ディズニーに行って俳句を作ることである。 理由は明白。俳句なんか作らなくてもディズニーは楽しいからである。先日句友がXでディズニー吟行の参加者を募集していた。大盛会となったようだが言語道断である。正直羨ましかったのはまた別の話。何を隠そうわたしも今年の3月某日、諸事情でひとりディズニーシー吟行を遂行してきた。今回は身を挺して最大のタブーに挑ん